七十五話 変化後の学校生活
実話を少し練り入れてます。
後女子に対する偏見が凄いです。
就寝後…また奇妙な夢を見た。
多分大人になった俺が、大きくなったお腹をさすりながら、みんなと笑い合っている。
相変わらず夫らしき男の顔は見えない。それどころか、姿形すら靄がかかって見えない…が、大人になっている私にはちゃんと見えているかのように話している。
そこでふと思う。あの自分は、『自分の魂』なのか、『女の魂』なのか。俺は子作りは頑固としてお断りなので、多分、自分じゃない魂がやったのだろうか。
多分、なんらかの事情でその魂が固定されて、俺という人格…魂が消滅し、元あった魂がちゃんと定着したのだろうか。ただの俺の考察にしか過ぎないのだが、それも捨てきれない。
…まず、俺の姿は猫耳に、狐の尻尾。今は妹達やツリスに受け入れられているとは言え、多分現代社会のまともな男性は、俺となんか付き合わないと思う。ましてや隠し事をばらしたらそれこそ付き合う人は居ないだろう。
自分が結婚して子を仕込むなんて事はないと信じたい…俺が『男』に恋をしても、ないと思いたい。
これは、まだ相談しなくてもいいと思うが、連続して見るのであれば、相談してみよう。
目を開ける。いつもの見慣れたベッドの上。両隣にはツリス以外の可愛い妹達。
「朝か…」
ふと、今着ている服に着目してみる。
なんとも年頃の女の子が着そうなパジャマだ。
「まだ短いとは言え、私も充分女の子やってるんだなぁ。」
一回染まってしまったが、心は男だ。今思えば、俺は女性の身体の皮を被った年頃の男子だ。
「こんな事クラスの女子にバレたら、総叩きに合うんだろうなぁ…ハハ…」
今の女子は怖いと聞く。偏見かもしれないが、すぐグループを作り、気に入らない女子は叩き、自殺するまでどんな手を使ってでも追い詰めるという残虐非道ないじめをすると聞いた事もある。
俺がマイペースなのかもしれないが、仲良く平和的に出来ないものかねぇとキャーキャー騒ぐ女子に思ったりするのだ。
「えっと、今の時間は5時45分…多分ツリスは起きてるよね。」
ベッドから降り、リビングに行くとツリスが居た。
「おはよう。今日は学校行くんだよね?」
「何その私がニートやってます的な言い草…まぁニートかもしれないけどさ…今日は行くよ。」
「わかったー。コーヒーあるけど飲む?」
「ん、じゃ砂糖マシマシで。」
「あいさー。」
テレビをつけ朝のニュースを流し見しながら注いでくれたコーヒーを飲む。
ツリスがトーストを焼いてくれたのでそれを頬張りながら朝のテレビを見る。
○○殺人の容疑で18歳の女性逮捕…○○、○○と交際疑惑!?…○○が○○○事務所に所属…とまぁ、一日もしないうちにネタがどんどんと湧き出てくるから、テレビ業者はがっぽがっぽだろうなぁと思い食べ終わる。
「ひーあー、そういや今日オリィちゃんどうするの?透明化魔法掛けて連れて行くの?」
「んー…どうしようかな、とりあえず連れてった方がいいかな?」
「じゃ、起こしておくよ。あ、今日の時間割は……」
時間割を聞き、スクールバックに教科を入れ準備する。オリィちゃんは起きたみたい。後ソフランちゃんがいつの間にか人格として戻っていた。
「ご主人ー…多分オスゴーちゃんから、透明化魔法を私に掛けてもらっても主人にだけ見える魔法をかけてもらったから、掛けてみてー。」
「あいよー…って、掛けた途端に小さくなったオリィちゃんの周りに靄がかかったね。これで私だけオリィちゃんが見えるのかな?」
「そうみたいだねー。じゃ、私はご主人が準備終わるまでのんびりふわふわしてるよー。」
さて、荷物の準備は終わった。後は…
俺は制服のスカートを持つ…
「や、やだなぁ…」
と言っても、制服を着ていかないと色んな意味で不味いので、我慢して履く。
(あー…スースーする…)
なんとなーくそう思いつつ、スクールバックを背負いドアに向かう。
「行ってきまーす。」
「行ってらっしゃーい、似合ってるよー!」
…追撃された様な気がするが、学校に行こう。
少しだけ変わった登校時の風景。そして、俺の後をふわふわしながら付いてくるオリィちゃん。
やがて飛ぶのに疲れたのか、私の尻尾にしがみ付いた。幻覚魔法で見えない様にしてたんだけどね。
校門に着き、挨拶運動をしている生徒達に挨拶を返す。俺は一応挨拶されたら必ず返すという事にしているのだ。
男子生徒が俺を見て目を逸らしているのを見逃さなかった。あれ?俺、ちゃんと幻覚魔法で耳と尻尾とか隠してるよね?
とまぁ、どうせ大丈夫だと思いつつ、自分の教室に向かう。廊下で見知ったクラスメイトにやぁと声をかける事も忘れずにやっておく。
教室に着いたので、スクールバックの荷物を全て机に移し、バックをロッカーに入れて椅子に座る。多分俺の席はここで合っているはず。
「あれ?こんな子居たっけ?」と陰ながら言われているが、別にいいや。俺だって俺好みの姿になるとは思わなかったし。
オリィちゃんは幻覚で隠した尻尾で寝たようだ。時たま尻尾を揺らしていたので、それが気持ちよくて眠ったのだろう。
やがて朝学習の時間になり、ペンを取り出しプリントを解いて行く…が、苦手教科だった英語がスラスラと書けることに驚いた。答えを見たがスペルも間違えず全問正解。学力上がってるのかなとちょっと疑問を持っていたが、本当だったようだ。
朝の時間が終わり、10分の休み時間。とある女子に声を掛けられた。名前は…男子だった頃に積極的に話しかけてなかったので覚えてはいない。キャーキャー叫んでうるせぇなぁと思ってた女子だ。
「良かったら連絡先交換しない?」
「は、はぁ、別にいいけど…」
あんまり赤の他人の女子と話しかけたことがなかったので、どのように話せば良いか分からないので、普通に話してしまった。そして、了承して良かったんだろうか。
「じゃ、連絡先のカード。帰ったら登録よろしくね。」
「は、はぁ。分かりました。」
それ以降は特に何もなく、持参した本を読んだり念話でソフランちゃんと話して1、2時間目は過ぎていった。
休憩時間の時、男の頃よくいじられていた女子から話しかけられた。苦手だから早くどっか行ってほしい。
「ちょっとあんた!本とか読んで頭いいアピールとかやめてくれない?腹立つんだけど。」
圧倒的理不尽な理由…てか、俺の他に5人くらい本読んでる女子居るよ…これはわざとだよね?
「私じゃない方に言ってくれないかな?他に本読んでる人居るよ?ほら。」
「うっわ、サイテー!この人指差したー!」
…この人、精神年齢大丈夫かな?このネタ、小学中学年くらいだよ?受けたの。
「どうやれと…」
「どうせ少女漫画とかでしょ?見せてみなさいよ!」
あー…取られた…いや、別に取られたっていいんだけどさ。適当に買った長編小説だし、それ取られたってソフランちゃんと話せばいいんだし。
と思ったらその本をビリビリに破き、もう散らかしたのだ。
これは…なんとなく察した。
「これ片付けておいてよね!」
やっぱりねー…言い返すと面倒なので、誰も見てないところで破けた紙を焼却処分しておこう。ついでに腹も立ったからその女子の教科書、全部跡形もなく焼き尽くそう。
3時間目が終わり、俺の本を破いた女子が慌てている。まぁ、これまで溜まった鬱憤を晴らせたし、丁度いいダメージになったでしょ。
これも全て魔力石によって火力調整が出来るようになったお陰だね。一瞬でジュってやって跡形もなく消したから、 便利である。
しかし、4時間目の授業が変更になり、急遽アンケートを取られるようになった。といっても証拠は残してないし、無詠唱でやったから次の時間の準備をしていた女子が紙を一瞬のうちに燃やし尽くすなんて考えもしないよね。
その女子が私の教科書を俺が隠したとかなんとかほざいていたが、当然アリバイもある俺がとやかく言われる事もなく、女子が聞かれても無いことを言い盛大に自爆し、先生に説教されに連れていかれるところを見るとそれはもう愉快な事でしょう。
残りの4時間目は自習となり、担任教科である社会を自主勉強する事になった。
もう面白い程に覚えなきゃいけない単語、歴史偉人の名前がスラスラと頭の中に入っていく。ちょっと楽しくなってきた。
そして説教を食らった女子が戻ってくると同時に4時間目の授業を終わらせるチャイムが鳴り、給食の時間に入った。
《給食+昼休みが終わる頃…》
次の時間は保険体育なのだが、天津は居るかどうかをちらっと確認したが居なかった。どうやら今日も休んでいるらしい。
さっさと外に行き、5時間目をスタートし、準備運動を終わらせる。
今日は走り幅跳び。あんまり慣れない女子列に並び、走って飛ぶ。
目の前の女子が運動部で2m以上飛んだ。それくらい飛ぶ人は少ないみたいだが、俺も少し飛んでみる。
…結論から言うと、2m75cmくらい飛んじゃった。平均値を超えているらしく、驚かれた。
…これ、去年の男だった頃の記録に近いんだよね…目標記録より50cm届かずにがっくりしたんだけど、女子達には驚かれた。
たまに3m近い記録を出し、大会に出れるんじゃ無いの…との声を聞いたが残念俺は文化部なのだよ…フハハ。
そんなこんなで5時間目は終わり、掃除の時間…なのだが、質問責めに合った。『なんでそんなスタイル良いのに運動神経がいいの』だの『勉強なんで出来るの』だの俺はアイドルじゃねぇんだからと思いつつ適当に流していた。
たまに今日家に遊び行っていい?と聞かれたが人には言えない秘密が沢山あるのではぐらかして断った。
そして掃除も終わり帰りの会を済まし帰る。久々に行ったような気もするが、地味に大変な学校生活だった。
あ、平均値とは適当にサイトから拾ってきたものなので『そこおかしいだろ!』とか思ってとも気にせずスルーしてください。