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神の声③

 WC-001の救難信号は<フロンティア号>にも届いていた。 

 副操縦席で啓作に操縦を習っていた美理はマイクのスイッチを入れ、叫ぶ。

「明さん!明さん応答して!麗子!」

 啓作は隣りで操縦桿を握る。

「緊急発進!アスク星に降下する」

 その時だった。

 ズズウウウウーーーンン。爆音と共に震動が伝わる。

「格納庫で爆発!」

 シャーロットの報告が終わるより先に、マーチンとピンニョが飛び出して行く。


「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 麗子の絶叫と共にボードは降下して行く。

 地下空洞は宇宙船が戦闘できるほど広い。

 ふたりは5000mを一気に落ちる。

 麗子は明の後ろにぴったりとくっついている。胸が当たってる♡至福の瞬間。 

 スラスターを噴射しレグルスが追う。マシンガンを構える。

 ガガガガガガガガガガガ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 明は巧みに避ける。

 地上が近づく。

 ボードの上で明は左腕を掲げる。次の瞬間、

 ピカッツ!腕時計から強烈な光が放たれる。

 目が眩んだレグルスは地面に激突。その隙に明たちは逃走する。


 <フロンティア号>の格納庫は火の海だった。

 いち早く到着したピンニョは消火装置のボタンを押す。

「作動しない?」

 自動消火装置は故障ではなく破壊されていた。誰に?

 影がピンニョの背後に迫る。

 鞭が彼女に伸びる。

 マーチンが駆け込んで、間に割って入る。その腕に鞭が巻き付く。

 ビリビリビリ・・・ 電撃!!

 侵入者の口元が緩む。背中の曲がった小男。名はアルタイル。ニアミスした小型宇宙船から来た。

 帯電体質のマーチンに電撃は通じない。アルタイルは動揺する。

「電撃には電撃だ!」マーチンの反撃。

 バリバリバリ・・・・ 電撃の応酬。

 勝負はつかない。

「あ!」

 マーチンの視界に入ったものは、格納庫の隅にある焼け焦げた段ボール箱だ。

「お、俺の、隠していた食いもんが!!」

 バリバリバリババババババ・・・・・・ 電圧が増す。

 食い物の恨みは強い。たまらずアルタイルは鞭を放す。 

 すかさずマーチンは銃を抜き、撃つ。

 アルタイルの肩に命中。 

 追い詰められたアルタイル。その口元がさらに微笑む。

「!」

 危険を察知したピンニョは格納庫の開放ボタンを押す。 

 ゴウン。足元の扉が開く。外は大気圏外、真空だ。

 猛烈な風と共に空気が抜ける。

 固定されていない物が外へ吸い出されて行く。炎が消える。

 マーチンは手すりに摑まる。ピンニョは必死に羽ばたく。

 アルタイルも手すりに摑まるが、その手にピンニョの羽根手裏剣が突き刺さる。

 手が離れ、アルタイルの体は船外に飛ばされる。

 ピンニョは羽根手裏剣を投げ、扉開閉ボタンに当てる。

 扉が閉まっていく。

 パアッ。眩い光が<フロンティア号>の近くで輝く。

 遅れて爆炎。さらに爆発音。

 自爆した。

「なんて奴だ」

『マーチン!ピンニョ!どうした?大丈夫か?』コクピットから通信が入る。

「侵入者だ。何とか退けたが・・なんてこった。反重力ミサイルが・・」

 そこには黒焦げになったミサイルがあった。

「航行に支障なし」 

 <フロンティア号>は明たちの救援のため大気圏に突入する。

 その時もう一人の侵入者はコクピットに向かっていた。


 砂上のプロキオンは銃を乱射する。

 ボッケンには当たらない。走りながら距離を縮める。

 小型艇が頭上で旋回する。ヨキは上空から戦況を眺めていた。

 一気に近づいたボッケンがプロキオンに斬りかかる。

 が、プロキオンはスラスターを噴射させ空へ逃れる。上空から銃撃を続ける。

「あぶない!」ヨキが叫ぶ。

 間一髪。ボッケンは飛んで来たブーメランを避ける。

 脳波誘導ブーメラン。かつてヨキがベムハンター時代に使っていた武器と同じだ。

 だがそれは2m程もある巨大な物で、しかも一つではなかった。

 三つの刃がボッケンを襲う。

「野郎!」

 ヨキは本体のプロキオンにレーザーバルカンを掃射。

 当たらない。後方からブーメランが来る。

「!!」

 小型艇の左翼が切断される。

 落ちて行く機体。

 とどめを刺すべく別のブーメランが。

 ボッケンがそれを追う。ジャンプ。

 切断。ブーメランは真っ二つになる。

 それもつかの間、別方向から二つのブーメランが迫る。


 <フロンティア号>が雲の切れ間から姿を現わす。日はかなり傾いている。

「明くん!明くん!」美理は呼びかけを続けている。 

 応答はない。 

「大丈夫。見つからないようにしているだけだ。むしろ心配なのは明の理性だ」  

「な、何言ってんのよ。兄さん」顔を真っ赤にしながら美理が言う。啓作なりの冗談?

 その時コクピットの扉が開く。“死神”が来た。


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