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楽園  作者: 夜崎
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一話「分からない」

一話一話短めです。

「私は貴方と私だけの楽園を創る」

そう宣言したのはいつの頃かの姉だった。

「だから悠翔、貴方は安心しなさい」

「うん、姉ちゃん」

僕の頭を撫でてくれる姉ちゃん。

姉ちゃんはいつだって優しくいつだって僕に笑いかけてくれる。僕は姉ちゃんだけいればいい。

何でも器用にこなす悠奈の弟ってだけだ。僕は基本姉ちゃん以外に褒められたことがない。周りは悠奈の弟なんだからできて当然と思っているから。

「悠翔、私にはあの人たちを止める力はないの、ごめんね」

「姉ちゃんは悪くない、僕なら大丈夫だから」

「ありがとう、悠翔」



あれから何年経ったろう。悠奈が行方不明になってから。

「どこにいるんだ、悠奈」

悠奈から貰ったペンダントを無意識に触っていた。

もしかしたらもう死んでいるかもしれない。何年も経って生きてるって言われた方が驚きだし。

「さてそろそろ学校行くか」

俺は高校1年だ。高校には親に懇願して試験を受けさせて貰った。

そしてまだ入学して数日しか経っていない。

「行ってきます、悠奈」

俺は家を出る。

そういえば今日から部活の仮入部期間だったけな。部活どうしようかな。

「悠奈ならどの部に入るかな」

考えながら歩いていた。

「おはよー、悠翔」

「おはよ、コウ」

コウは俺の小学生の時からの親友だ。俺がどんな環境で育ったかも、悠奈のことも知っている唯一の存在だ。

「悠翔は部活どーすんだ」

「さあ、迷ってるよ」

「悠奈さんのこともだが、お前の気持ちも大事にしろよ」

分かってる、分かってるけどさ。

「姉ちゃんは俺以上に大事なんだ」

「シスコンとブラコンで丁度いいのか」

真面目な顔して真面目に言ってきた。

「うっせえ」

「じゃあ俺バスケ部見たいから付き合えよ」

バスケ部か、まあバスケは楽しいからいいんだけどさ。

「分かったよ」

見たい部なんてないし、だったらコウに連れ回された方がいい。

「コウは相変わらずバスケ好きなんだな」

「バスケは俺の人生の一部だからな」

コウは昔からバスケをやっていた。俺はバスケをやってるコウを見るのが好きだ。イキイキしていて俺に光をくれる。自分でやるのはあんま得意じゃないけど。

「とりあえず放課後な」

「ああ、分かった」

そこで俺らはクラスが別なので別れた。

今日はろくに授業もないのでさっさと終わった。

「やっと終わったか、悠翔」

コウは俺より早く終わってたらしい。

「じゃあ体育館行くか」

「ああ、コウ」

俺らは体育館に向かった。

「もうすぐ健康診断だな」

「そう、だね...」

内科検診、身体を見せなければいない。俺の身体は母さんや父さんに殴られたりした跡がくっきり残っている。

「サボるか?」

「どうしようか迷ってる」

さすがに見せるのは怖い。この傷跡を見せられるのは悠奈とコウくらいだ。でもまあな。

「行くよ、逃げたく、ないからね....」

「そうか、それで何かあったら言えよ。すぐ駆けつけるから」

「ありがとう、コウ」

本当にコウは優しい。優しすぎるくらいだ。

そんなことを話していると体育館についた。

「悠翔、早く見ようぜ」

俺らは入口から見る。

そうしたら先輩がこっちに来た。

「ねえねえ!君たち仮入部にきたの!?」

な、なんだこの先輩。めちゃくちゃテンションが高い。

「はい、そうです。俺は昔からバスケやってて。こいつは俺に付き合ってくれただけですけど」

コウすげえ。俺じゃこんな対応できないわ。

「仮入部来てくれるなんてうれしーなー!」

「先輩は部長なんですか?」

「ん?違うよ、部長は2年生」

何か猫みたいな人。耳と尻尾がありそうな勢いで。

「悠奈ー!仮入部だって」

悠奈....偶然だよね。うん偶然、偶然。だって悠奈がこんなとこにいるはずない。

「悠翔、大丈夫だ」

コウが俺を安心させるように言う。

俺は悠奈って人が来るまで目を瞑った。

「仮入部?私は部長の暁悠奈、よろしくね」

俺はゆっくりと目を開ける。そこにいたのは俺の知ってる悠奈だった。

「よろしくお願いします」

「ええよろしく奏汰君、悠翔」

「悠奈、知り合い?」

「まあ、そうですよ」

俺がずっと求めていた人はここにいた。嬉しい、だけど凄く複雑な気持ちだ。

「悠奈、会いたかった、よ....」

「そう、悠翔」

接し方が分からない。俺はどうやって悠奈と接していたんだろうか。

「先輩、私は練習に戻ります」

「あ、うんありがとう」

呼び止めたいけど、けど.....声が出ない。

「悠奈さん、少しいいでしょうか」

隣でコウが悠奈を呼び止めた。

「何かしら」

「いや、やっぱいいです」

「そう、じゃあ適当に見ていって」

悠奈、行かないでよ。

「悠翔、これでも悠奈さんを求めるか?」

悠奈はいつの間にか俺の届かないところに行ってしまった。

「求めたらコウはどうする」

「お前に無理はさせないと約束しよう」

「ありがとう、でも俺は大丈夫だから。コウは見守ってて」

コウは俺のためなら自分のことは考えないでなんだってする。どうしてかは分からないけど。

「そうか、じゃあ俺は見守ってるよ」

「コウ、俺強くなる。ずっとコウに守ってもらってるばかりじゃダメだから」

「俺は.......けどな」

コウは何か小さく呟いた。

「コウ?」

「悠翔、お前はお前のままでいろ。俺も俺のままでいるから」

「う、うん」

よく意味が分からないけどとりあえず頷いておいた。

短いのでなるべく早く書きたいと思います

読んで下さりありがとうございます。次回も是非読んで下さい

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