表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/2

プロローグ

一人称視点。状況描写はありません。人物の説明はありません。今回は勉強しません。


 自転車を漕いでいたら、転んでしまった。

 ゆっくり漕いでいたのが仇になったのだろう。小さな段差を越えられず、バランスを崩して横転。

 幸い怪我はなかったが、膝と手が痛い。籠に入れてあったケーキは無事だろうか。考えないようにしよう。

 交差点で停止しているトラックの運転手が見てる。すごく見てる。恥ずかしい。逃げるようにその場を後にした。

 手が痛い、膝が痛い。なんかテンションが上がってきた。叫びたい。でもさすがに恥ずかしい。

 おかしなテンションのまま目的地に到着。ケーキは大丈夫かな。箱がへこんでる気がするけど、見ないふりをしておこう。

 インターホンを鳴らす。

 「もうみんな来てるよ。早く入って。」

 許可ももらったことだし、玄関から家に侵入。

 「おじゃまします。」

 挨拶はする。でもこれは侵入なのだ。

 廊下を渡って、リビングのドアまで来る。ちょっと呼吸をして、ドアを開け放つ。

 「ケーキが来たぞ!」

 なるたけ、偉そうに言う。

 「遅いぞ。」

 「やったあ、ケーキだ。」

 「ありがと。」

 「・・・」

 四者それぞれの反応を見せる。

 「ねえ、箱へこんでない?」

 ちっ、目敏い奴め。食べ物に関してはうるさいからな。素直に謝っておこう。

 「すまん。転んじゃった。」

 「ケーキは無事なのか!」

 「確認してないからわからん。」

 「ばっか。貸せ。おお、ケーキよ、無事か。」

 せわしい奴だ。箱を手渡す。そのまま、中身の確認を始める奴をおいて、自分の定位置に着く。

 「大丈夫なの?」

 「え?」

 「転んだって、怪我とかない?」

 相変わらず天使だな。結婚したい。

 「見ればわかるだろ。まったく、ドジだな。」

 相変わらず口悪いな、ぶん殴りたい。

 「ああ、大丈夫だよ。ドジとは失礼だな。」

 適当に返事をしつつ、準備を始める。

 「みんな聞いてくれ。」

 おお、ケーキの確認が終わったようだ。

 「残念なことに、ほぼ全滅と言っていいだろう。だが、一つだけ奇跡的に無傷なものがある。」

 ほお、それはよかった。ん、でも誰がその一つを食べるんだろうか。

 「公平を期すために、じゃんけんで決めようと思うのだが、異論はないか?」

 「私はいいよ。4人でじゃんけんして。」

 「辞退はだめだ。俺は気持ちよくケーキを食べたい。気持ちは嬉しいが、本当は食べたかったのに遠慮された、とかだったら後味が悪くなる。」

 「そっか。ごめん。」

 異論はないか、と聞いておいて、異論を認めないんか。わからんでもないが、そこまでこだわるとこかいな。

 「いいよなんでも。早くやろう。」

 「よし、じゃんけんポン!」

 「む。」

 あらら、負けちゃった。ケーキは別にいいけど、負けるのは悔しいなあ。

 「・・・、勝った。」

 おっ、今日初めて声を聞いたかも。いつも思うけど、きれいな声だよな。もっと喋ればいいのに。いや、あまり聞けないからこそ価値があるのか。ううむ、悩みどころだ。

 「ぐおおおおお、負けだ。」

 あっちは大変そうだ。甘いもの好きだもんな。全部つぶれたことにして、こっそり食べればいいのに。まあ、あいつはそんなことしないか。

 「ケーキはもういいだろ、本題に移ろう。」

 うむ、今日は誰だったっけか。

 「今日は、私だね。」

 俄然やる気が漲ってきた。

 「それでは、力学を始めます。」

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ