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魔界その二 人ではないものとそれから勇者と(作者:木之下 朔)

深い森は木々が茂り陽が射し込まないのか少し薄暗い。

森は、何者にも侵されない絶対の自信を持ってその入口を

ポッカリと開けている。

 森に踏み込みしばらく歩くと自分の鼓動が聞こえてしまうような静けさとスポットライトであてたかのような古い屋敷がポツリとあった。


 その屋敷の主人、リベラ・ツィツェルト辺境伯。この屋敷の他に小さな城も所有する権力者だ。

 今はのんびりとお茶を楽しみながら勇者と適当に遊んでいる。


『つまらぬなぁ。勇者よ、その程度で私の休暇を邪魔しに来たのか』

「クソ! 覚えてろ! ……なんでラミアなのに強いんだよ。チクショウ」

勇者は帰って行った。

 リベラは魔王ではないものの、城を離れるときはその旨を国に伝えなければならない。


倒しに来る勇者のために。


 普通の魔物だったのなら、勇者であれば倒せるだろう。しかし、リベラは名前とその地位に負けないほどの存在である。

 リベラはエルフと精霊の間に生まれた異端であった。……ついでに蛇の尻尾が生えただけの。気が付いたら周りよりも強かった、それだけだ。


 この国は、人とそうでないものが平和条約を結んだために共存をしているが、昔の名残か勇者というものがいる。その勇者のために魔王はいつでも相手になるというのだ。その配下も働かなければならない。だから、勇者のために国に連絡を入れておく。

いい暇つぶしにしか今の所ならないが。


 リベラは屋敷をあとにする。

リベラは精霊の性質か森の深い場所でないと落ち着かない。

 普段の蛇の尻尾を脚に変えて森を歩く。蛇の尻尾で泳ぐように森を漂うのも気持ちがいいが。二本の脚で土を踏みしめながら歩くのも心地がいいからだ。


 風がリベラの長い髪をサワサワと通り過ぎる。鳥のさえずりや、四つ脚で歩く動物の鳴き声も微かに聞こえてくる。なんだか花の妖精達も騒がしい。笑い声がいつもより多い気がする。


 リベラは笑い声のする方へ脚を進めた。歩いた先には澄んだ小さな泉があった。妖精達が集まっている方へ近づくと木にもたれるように眠っている人の女がいた。

 ここにいるということはこの女も勇者なのだろう、寝ているが。

 とりあえず黙っていては始まらないので、起こそうと思い手を伸ばした。


 とその時、リベラの視界が揺らめいた。


リベラの視界だけではない世界が揺れているような感覚に襲われた。


妖精達には影響がないのかいつも通りだった。


リベラと勇者にだけ歪みが襲いかかる。この気持ち悪さはいつまで続くのか……。

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