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レイ先輩と新米魔女たち

アヤ先生の腹黒い過去を、レイ先輩が大暴露。

そして、ついに明らかになるリョウ先生の第一師匠「共鳴のグイ・シェン」のフルネーム……魔導連盟に所属していないのも納得な、その正体とは。




 レイ先輩は、マイとモモの護衛のためだけに、図書館に来たわけではないという。公的には社会人になった先輩であるが、「魔女」の「魔法」、「魔術師」の「魔術」を、共に学ぶ「魔道士」として、今でも日々こっそりと課題に追われているそうだ。

 この道に足を踏み入れたら、永久に勉強が追ってくる運命なのよ。

 先達の言葉は、実に重かった。

「そのジュエリーは『工芸』の課題ですか?」

 マイが、横から図鑑を覗き込みながら、レイ先輩に問う。

「そうといえばそうね。次の分野で『卒業制作』する時のイメージの蓄積」

「『卒業制作』?」

 妙な形容に、二人揃って首を傾げる。

 そうよ、と先輩は、親指と人差し指を順々に折っていく。

「私は『絵画』と『木工』からスタートして、次に『細密彫刻』……今度の『彫金』で四つめ……で、一応『工芸』の魔女集団では、三部門で『卒業制作』をしたら、他の師匠に移れるんだけど、手先不器用だから……何かまだ『工芸』に師事しました、なんて言える気がしないのよ」

 細密彫刻をやっといて、不器用?

 と、新米二人は、無言のうちに目で語り合った。

「なんていうか……他の流派の人たちへの配慮? がある感じでね……『水晶の魔女』として『工芸』に師事した、って名乗るためには、やっぱり自分の『適合水晶』の装身具を作れてこそ、な気がするの」

 おや、とモモは目を開く。

「ってことは、そのペンダントは?」

 レイ先輩の胸に光る、紫水晶アメジストに銀細工のペンダント。

 先輩はそれを示して、自分たちに存在を示したはずだが。

「エリカさん製作の『厄災避け』機能付き」

 なんだって?

「頼りになりそうな気がしますが?」

 マイの言葉に、モモも全力で同意する。

 伝説級の魔女が製作した、厄災避けペンダント。効かないわけがない。

 だが、レイ先輩は首を左右に振った。

「この程度じゃ、マイちゃんの『美味しさ』の前には無力な気がするのよ。だってこれ『表』の店に出されてた商品だし」

「美味しさ……」

 マイが、己に対する、あんまりな形容に口を開く。

 だが、モモが引っ掛かったのは別の語だ。

「『表』がある、ということは、つまり『裏』もある?」

 ええ、とレイ先輩は頷いた。

「このぐらいだったら、ちょっと鋭い『野生の魔女』でも作れるのよ。つまりはその程度の機能」

「え? あのエリカさんが作っても?」

 チッチッ、とマイの言葉に、レイ先輩は指を左右に振る。

「だから『表』の店なの……『裏』の店は、もっと強烈な機能を持った商品があるけど、そっちの品をね、無自覚につけてたら、下手をすると『黒魔術師』に狙われちゃう」

「……?」

 首を傾げる新米二人に、あーこの二人は本当「実戦」未経験なんだなぁ、という感じで……ゆるふわ系お姉さんは、見た目にそぐわない物騒な例えを挙げた。

「熟睡している警察官の隣に、装備万端の拳銃が置きっぱなしになっていたら、悪い輩は大喜びで盗んでいくと思わない?」

 その例えで、ああ、と二人は納得した。モモが答えを言う。

「つまり『裏』の商品って、もはや『武器』なんですね」

 なんという物騒さ。実に『裏』である。

「正式には『補助礼装』っていうけど、まぁ、こっちの世界の人間にしてみれば、半分は『武器』とか『兵器』みたいなものね。つまり『世界』との交信を円滑化する『補助道具』よ。あなたたちの『杖』もその一種だけど、実際に使われる『補助礼装』は……戦闘特化型の術師だったら『武装呪具』って呼ぶそうね……何気ないアクセサリーだったり、服とかの刺繍とかだったりして、いかにもな『杖』とは違って、見る人が見ないと分からないものが多いわ」

 と、いうことは、ひっくり返せば、だ。

「見てそれと『分かる』相手で、なおかつこっちに敵対心を持っている相手、は、イコールでとってもヤバイ相手、ということですね?」

「そのとおり。そういう時は、撒いて逃げるのが一番」

「え? 戦闘は?」

 せっかく「兵器」を装備しているのに、とばかりにマイが尋ねる。

 レイ先輩は、苦笑交じりにアクセサリー図鑑をめくった。

「不必要な戦闘は極力避けるのも、護衛の仕事」

「なるほど」

 マイはキラキラした目で納得しているが、お姫様、もとい「ヒメミコ」様が、それでいいのか。今晩「ヤバイ目に遭う」と予知されたのは、お前自身だぞ。

 ……と、四冊目の参考文献の該当箇所を写し終えながら、モモは内心で呟く。市の図書館の『古事記』研究のうち、これでそろそろ、例の『伊弉諾尊いざなぎのみこと黄泉平良坂よもつひらさかから戻ってくる』くだりだけなら、開架図書はほぼ当たり終えた。残るは閉架図書になるが、さすがに閉架になるとハードルが高い。

 ううむ。ここらでレポートに取り掛かるべきか。

 今までのメモをずらりと並べ、構成の考えに入ろうとしたところで、ゆるふわ系お姉さんから、またも強烈な一撃が飛ばされてきた。

「『古事記』はともかく、モモちゃん、学校の宿題の進捗状況は?」

 そっ、とモモは目を逸らした。

 数学をやりたくなくて、原典まであたっていたなんて、言えない。




 さすがに、館内でお昼ご飯を食べるわけにはいかない。外食を連日するのは、高校生のお財布には厳しい。というわけで、このところは図書館中庭の日陰を取り合いしながら、お弁当でお昼だ。ちなみに日陰にも序列があって、館内の冷房が流れてくるベンチが一番取り合いになる。

 モモとマイは基本的に、コンビニのおにぎりかパンである。

 だが、今日のマイは弁当箱を持参していた。

 それも、古式ゆかしい、鈍い銀色に輝く、アルマイトの弁当箱である。

「おばあちゃんがね、栄養偏ったらダメでしょ、って。戦中戦後は食糧難で食べたくても食べられなかったのに、食べられる時代でちゃんと食べないのはダメでしょう、って」

「うおぅ……その世代に言われると、反論できないね」

 時は8月。連日の戦争特集番組。

 戦中世代の声が、ある意味最もメディアに露出する季節だが。

 よもや、身内からこんな方向で声が来るとは。

「ウチのばーちゃん、元々は田舎の大きな寺の家系だそうで、なんか学童疎開がどーのこーのと、喋り出したら長いよー。まぁ末娘だったから、跡取りとか関係なく戦後の雰囲気で結婚したっぽいけど」

 マイの言葉に、思わぬ反応を示したのは、弁当箱を開けていたレイ先輩だった。

 なんだ? いったい何なんだ?

「マイちゃん、あなたのおばあさま、お寺の娘さんなの?」

「え? あ、はい……本山は本願寺とか何とか……それが何か?」

 小首を傾げる後輩に、うわああぁ、と何故か、先輩は突っ伏した。

「あー、理解した。超理解した」

「何をですか?」

 マイの追求に、先輩は素直に白状してくれる。

「『術者血統』なんだわ。だからそんなレア適性なのね」

 二人揃って「???」である。

 とりあえず食べながら話しましょう、とレイ先輩は言い、見た目に違わぬ女子力見せつけ弁当を、かぱりと開いてくれた。三種おにぎりにお洒落カット野菜。キャラ弁とか作らせたら上手そうだ。ついでに言うとデザート付きだった。恐るべき女子力。

 だが、話題はゆるふわな女子力とは無縁である。

「えっとね、まず『術者血統』っていうのは、特定の呪術に適性を持つように、遺伝的に確率操作されている家系のことよ。端的に言うと『品種改良』なかけ合わせをしている、そういう一族ね。魔術師の共同体では普通の話なんだけど、ウチの流派ではあまり出てこない」

「何故です?」

 マイの問いに、先輩は即答する。

「親と子でも、適合水晶が違ったら、『世界』へのアプローチの方法が変わるから。それに、同じタイプの水晶だったとしても、やっぱり一人一人の『個性』に応じた『聴き方』のクセって出てくるし、ウチの流派はそういうのを否定しないし。でも『術者血統』っていうのは、そういう差異をできるだけ抑えて、特定の目的のために作出された家系で、神職とか陰陽師に多いんだけど……明治時代まで、千年以上『神仏習合』をやってたし、マイちゃんの系譜らしい浄土真宗は、鎌倉の昔から僧侶でも結婚できるから、やっぱ『霊験あらたか』な家系が残るように、自然と作用しちゃうのよね」

 何となく二人にも分かった。うん。そうか。

 ようするに、マイの家系には元々そういう「霊験」の才能があったのだ。

 だから珍しい「空」適性を発現したのだろう。

「……つまり、マイは日本土着呪術だと、やんごとなき家系?」

 モモの質問に、いやそこまでじゃないわね、とレイ先輩は苦笑する。

「日本土着宗教関連の呪術の場合、やんごとなさすぎる家系が現存するから、せいぜい、ほどほどの家系、ってレベルでしょう」

「やんごとなさすぎる家系?」

 首を傾げるマイとは対照的に、モモはピーンと来た。

「皇室ですね!」

 伊達に日本史志望ではないのである。

「正解~。あの家系は、少なくとも日本国内で、ヤマトの土着呪術を使う分には、どう足掻いても勝てないラスボス血統よ。とは言っても、千五百年かけて血統は拡散してるから、いわゆる『先祖返り』的な存在が出れば、いわゆる『総本家』との『呪術戦』でも、引けは取らないかもだけど……まぁ、そういう事態自体ありえないわね」

 うん、さすがに総本家様たる皇族と呪術戦なんて、一生あるまい。

「先祖返り、かぁ……」

 マイは、己に関係するかもしれないことからか、神妙に聞いている。

「超レアだけどね。ただし、その超レアの中の、さらに稀少種が、エリカさん」

「へっ?」

「『色』適性は、『術者血統』の『複合型先祖返り』の特徴よ」

 表現が難解すぎて理解できない。ということを、二人は目で語り合う。

「……かみ砕いてお願いします」

 マイが軽く頭を下げる。

「えっと、たとえば雨乞い能力の家系とか、星占いの家系とか……そういった、色々な『適性』に特化されていた先祖の血が、混じりあってるの。で、普通は相互に打ち消されちゃうところを、全部のせのスペシャル盛り状態になってる状態」

「つまり、遺伝子レベルのチートってことですか?」

 モモの形容に、ぽん、と手を打つレイ先輩。

「あー、なるほど。その表現いいわね……ただエリカさんの場合、遺伝情報組み換えとかで生まれたわけじゃなくて、完全に天然モノだけど。あの人の生まれた時代に組み換え技術ないし」

「でも『術者血統』なんですね?」

 ようやく、例のアルマイトの弁当箱を開きつつ、マイは確認する。

「うん。バリッバリの。しかも、自在にスイッチ切り替え……って、何それ?!」

 素っ頓狂な声をあげたレイ先輩の視線は、マイの弁当に注がれていた。

 モモも思わず「戦時中?」と呟いてしまった。

 雑穀米のおにぎりにタクアン。高菜の漬物。女子高生には渋すぎる組み合わせだ。しかも、眼前には女子力全開弁当の、ゆるふわ系お姉さん。なんという格差。

「……おばあちゃん的ご馳走ですヨー」

 そう言うマイの目は、ここではないどこかへ向けられていた。






 図書館内へ帰ると、三人揃って課題に戻る。マイは数学と理科で息抜きをしながら、ひたすら『対話篇』を読み進め、モモは『古事記』の分析レポートの構成案を組んだ。そして、退路がなくなったので、逃げてきた数学の問題集に手を伸ばす。

「ぐへぁ……数学めんどい」

「そのうち喜びが溢れてくるよ。答えが出るんだから」

 哲学にのたうつあまり、数学に感動するようになりはじめた友人の言葉に、いや、自分は多分その境地には到達しない、という気分になる。

「そんな日が来る気はしない」

「苦手でもできないとダメだけどねー」

 サパッ、と横から切り込んできたのはレイ先輩だった。

「……必須教養なんですか?」

「実戦級の『高等呪術』行使になったら、最低限数学ⅡBの知識が」

 先輩は、気に入ったアクセサリーのデザインを、クロッキーに描き写しながら、とんでもないバッドニュースを投下してくれた。

「嫌だ……ⅠAでのたうっているのに……」

「まぁ、複素数平面クラスは、文系魔女なら使えなくても問題ないけど、基礎のベクトルが分からないと、術の燃費で無駄遣いするリスクが高まるし、あと三角関数ぐらいは使えないと……魔方陣で困る」

「魔方陣……」

 それは、確かに数学が要りそうだ。

 モモが人生で初めて発動させた「防壁」展開は、失敗時に備えて、魔方陣の上で実験された。黒い紙に金色のポスカで描かれた、妙にチープなブツだったが、複雑な工程を経て描かれているだろうことだけは、確かだった。

「コンパスと定規さえあれば、描くだけなら難しくないし、最悪、先生が描いた下絵をトレスすればいいんだけど……どうしてこの線がこの順番でこの位置にこの角度で……とか、色々と細かい理論を理解して描くと、ただトレスした時より、威力上がるのよね、明らかに」

 ああ、それは少し、文系魔女の魔法にも通じる。

 呪文の意味を正確に理解せずに、曖昧なイメージで発動した魔法の威力は、理解して明快なイメージをもって発動させた魔法の威力とは、比べ物にならない。同じ詩を朗読しても、マイやモモの読み方ではアキ先輩はちっとも揺るがないのに、アヤ先生の朗読だと即座に潰れる。

 多分、そこいらへんの違いと似たようなものだろう。

「『魔方陣』の第一人者って、『理系四科クワドリウィウム』の『幾何の魔女』ですか?」

 いかにも幾何学だし、と問うたモモに、レイ先輩は首を捻った。

「基礎理論を一番把握しているのは、多分『幾何の魔女』だと思うけど……使い手ごとに求める効果が違うから、皆それぞれオリジナルの術を編んでるのよ。だから、特定の目的に応じて陣を組むなら、最後の最後は自力計算になる……アヤ先生やサヤさんは、考案した陣とその理論を、結構『学会』に発表してるけど」

 ああ、そういう落とし穴が。

 教科書通りに、とは、本当にいかないようである。

「……数学からは逃げられないんですね」

 モモの絶望に、レイ先輩は清々しく追い打ちをくれた。

「求める効果を得るために必要なエネルギーを計算し、それを作り出すための基礎理論を構築し、図案にいわば『翻訳』し、修正し……死ぬほどメンドいわね」

 うん、聞くだに死にそうに面倒くさい。

「理論構築には『代数の魔女』も関与するし、まぁ『魔方陣』は、理系魔女の一番わかりやすい業績ね。サヤさん……『天文の魔女』に至っては、『立体魔法陣』なんてモノも考えるし。いや、『幾何』と『代数』も考えるんだけど、古い時代からの研究蓄積は『天文』が一つ強いから」

 たしかに、天体運行は立体だ。しかし「立体魔法陣」……二次元の計算でも死ねそうなのに、三次元の陣の計算だなんて、文系魔女の自分には到底無理だろう。うん。

 モモは想像することから逃亡した。

「『代数の魔女』の最大の強みは、魔法の効率的運用の計算ね。ただ、説明が数式過ぎて、文系魔女にはイマイチ理解されてなかったんだけど……そこらは最近は、エリカさんとアヤ先生が色々と手を加えて、我々のトリ頭にも理解しやすいようにしてくれている」

「……トリ頭」

 ひどい形容に、不服の声がこぼれたが。

 レイ先輩は、やけに鋭い目つきで、二人を見やった。

「アヤ先生は偏差値80オーバーだけど、勝てるのあなたたち?」

 ぐうの音も出ない。

「……無理です」

「無理です」

 自分たちの偏差値は、65ちょいである。学校の中では優等生に入る方だが、全国レベルで見れば、どこにでもそれなりにいる程度の「かしこさ」だ。そして、二浪してでも合格しようと粘る人もいる名門大学に、十日の勉強で合格した変態が、アヤ先生である。

 机のお勉強で、勝てるわけがない。

「モモちゃんの得意な防御魔法は、魔方陣の補助で効率一気に上がるから」

 だろうな、とモモは自分でも思う。

「つまり、マイを守るためには、数学ができないとダメ、と」

 マイは哲学の苦痛から数学に目覚めたようだが、モモも罠に嵌ったらしい。いつ開花するかわからない、憑依体質の親友を守るためには、自分が頑張るしかない。

「どうしてこうなった……」

「その答えが、アヤ先生がマリ大先生門下最大派閥を構成できた理由」

「……どういうことです?」

「『言葉の魔道士』っていうことよ。ただでさえ言語系に強い『修辞の魔女』が、催眠系技術を学んだ『魔術師』とくっついて、人に囁く力も手に入れたら?」

 レイ先輩の言葉に、はたとモモは気がついた。

 そして、マイは思い出した。

「『教育とは洗脳の美名である』……?」

 学校の教室での一時間目の授業で、先生がさりげなく言っていたフレーズ。

 それが今、妙に克明に蘇る。

「そういうことよ」




 重い沈黙の中、素知らぬ顔でレイ先輩は、ペットボトルのキャップを捻り、緑茶を飲む。この図書館は、ペットボトル飲料に限り、持ち込み可能である。

「私たち『ファースト・カルテット』は、どうしたって合格したかった。先生たちに、お前らがあの大学に受かるわけがない、って思われてるのは知ってた。だけど、やりたいことがあった……見返したかった……アヤ先生は、厳しい道を歩く覚悟があるか、って問うてきた。私たちは『はい』って答えた。地獄の小論文特訓があったことは、あなたたちは知ってるでしょうけど……」

 飲み終えたボトルに、きゅっと封をするように、手首を捻る。

「私たちが受けた特訓は、小論だけじゃないわ。出題者の意図を読み取る『受信』能力の強化……受験勉強が終わって、合格通知を受け取って……それで終わりだと思ってた」

 でも、違ったのよ。

 レイ先輩の声が、苦い重さを滲ませた。

「受験勉強から解放されて、でも、私たちは気づいたの。自分たちにだけ、何かが『聞こえてる』ってことに……強化された『受信』能力は、後戻りできるラインを越えていた。その速度で強化しないと、私たちの頭で、あの学校の合格ラインには到達できなかった。今なら分かる……でも、その時私たちは、本当に困ったの。戸惑ったの。だからアヤ先生に訊いたの。あの勉強は一体、何だったんですか、って」

 最新の弟子である二人からは信じられない、強引な勧誘だ。

 カルトの手口もいいところである。

「答えは『潜在能力を開花させただけ』だったわ。元々持っていた能力で、他の人は眠っているままのものを『起こした』だけだって……でも『目覚めた限りは使いこなせないと辛いでしょう』って言われた……そう、私たち四人は、その時点ではもう選択の余地がなかったの」

 大学受験と引き換えに、私たち、人生を売ったのね。

 ふふっ、と笑う顔は、どこか悲しそうだ。

「私たち四人の全力抗議で、その翌年からはこういう手法は使われてないけど……でも、あなたたち、気をつけなさいね。アヤ先生は、スカウトする弟子の地力をどんどん上げてる。先天型退魔体質のモモちゃんに、稀少適性『空』のマイちゃんは、まさに典型……アキちゃんもね、あえて開かないようにしているだけで、必要になったら一気に開花できる『脈』がある。私たち四人の一致した見解では……」

 今のアヤ先生は、戦闘要員としての素質で、弟子を選んでいるわ。

 脅すような声色に、ぞくり、と二人は、背筋を粟立たせる。

「モモちゃんは、そのまま普通の人間として生きていくこともできるわ。害なすものを退ける素質があるんだからね。でも、マイちゃんは無理。っていうかマイちゃんに関しては、いずれどこかでその『適性』が発動して、事件に発展する」

「事件?」

 物騒な単語に、モモは眉をひそめる。

「ええ、事件になるわ。誰が『守護者』になっていたのか分からないけど、マイちゃんは小学生でも見ないぐらい綺麗な状態の『器』なの……たとえば、何も対処を取らずに、夏のリゾートで南洋地域とかに行ったりしたら、そこで無残な死を迎えた人たちの『残念様』に入られる可能性は、かなり高い」

 残念様、とは、文字通りに「この世に残された念」であり、俗に、浮遊霊とか地縛霊とか、あるいは、彷徨える魂とか形容されるアレである。

 これがマイに入る、というのは初耳であるが、言われてみればあり得る。

「あとウチの学校、修学旅行の行き先、どこだったかしら?」

 はっ、とモモが目を見開く。

 アジア太平洋戦争中、現在の日本領となっている都道府県の内、唯一全域が戦地となる、激しい地上戦が繰り広げられた地域。それは……

「沖縄戦の……」

 その答えに、ビンゴ、とレイ先輩は返す。

「だから、マイちゃんに限っては、防衛能力強化も兼ねてのスカウトだったと思うわ。けど、それにモモちゃんを巻き込んでいるのは、マイちゃんが『敵対者』の『媒体』にされた場合、極めて強力で危険な存在になり得るから、その妨害を兼ねてでしょうね」

「マイは友だちです!」

 モモの言葉を、マイは嬉しく思ったのだけれど、レイ先輩はため息をついた。

「そういうところを、読み切ってスカウトするから、性質が悪いのよね」

「でも先生は、私は守るつもりもあってスカウトした、とも言える、わけですよね?」

 マイの質問に、少し苦い顔で、レイ先輩は、ええ、と頷いた。

「修学旅行では戦跡も回るけど、その頃には最低限の自衛は出来るようになっているはず……モモちゃんの防御能力もアテにしながら、だけどね」

「でも、毎年のように戦没者慰霊をしてるのに……」

 レイ先輩の口ぶりでは、あの熱心な祈りが無駄なように聞こえる。

 モモの言葉に、それを察したのだろう。いやいや、と先輩は首を振った。

「団体様ご一括の慰霊では、納得できないぐらいの無念を抱えているから、『残念様』なのよ。遺族も残っていない状態だったら、供養もまともにされなくなるから、尚更ね……沖縄は一族の結束が強いから、あるいはまだマシかもよ」

 マシ、だと?

 目をぱちくりさせた後輩に、先輩は説明を続ける。

「大空襲を受けた都市部になると、人の横のつながりが悪い意味でしか強固じゃなかった面もあるから、残念様も多かったみたいだし。ただ、都市部は人が多いから、憑依事件という形であっても、戦後の混乱期やら高度経済成長期やらに、粗方片付いてるのよ。むしろ、無念を訴える人も通らないような場所で死を迎えた人の方が、長い年月のうちに強くなってる……全土が戦場になった挙げ句、米軍に立ち入り禁止された地域も多い沖縄には、未回収の遺骨も多い。マイちゃんにとっては、危険地帯も危険地帯よ」

「げ……修学旅行、欠席したくなってきた」

 楽しい思い出づくりの場所で、60年以上を彷徨う「残念様」に憑依されて「事件」を起こすだなんて、それは実に参る。少なくともマイは御免こうむりたい。

「アキ先輩はどうするんだろう?」

 2年生のアキには、この後、10月に修学旅行が待ち構えているはずだ。

 モモの問いに、何もないでしょ、とレイ先輩は言う。

「彼女の適性なら『ホイホイ』はない。それに磁性干渉を使えば、インチキGPS機能が発動できるでしょうから、まぁ心配ないわよ」

「インチキGPS……?」

 大戦中の無念に対し、やけに現代的な表現が出てきた。

 モモのその反応に、要するに、とレイ先輩は解説を足してくれた。

「『残念様』って、自分の死んだ土地の位置情報をかなり強く『握って』いるらしいの。だから、磁性操作で向こうさんの『GPSデータ』を攪乱したら、自我的なモノを保つのでいっぱいいっぱいになるらしいわ。私は、そっち側の適性ゼロだから、ある仲間から聞いた話だけど」

「……『空』適性が、私以外に?」

 マイの問いに、レイ先輩は首を左右に振る。

「あなたはアヤ門下では初の『空』適性よ……ただ『カルテット』の中に一人、キリスト教系の『術者血統』の子がいたの。長崎の五島列島の、隠れキリシタン集落出身者がおばあちゃん、っていう」

「隠れキリシタンの『術者血統』?」

 想像がつかなかったモモだが、次の説明で納得した。

「催眠系に強いの。どうやら、取り締まりの役人から、自分たちを守るために開花した能力が、継承されてきたみたい」

 あ、それは実にありそうな話だ。

「地理学に進路を変更して、詳細を調査してた。彼女は真っ当に『魔女』してるわね。今は『地理の魔女』って名乗って、祖母の出身集落を中心に、催眠適性血統の研究もしてるわ」






 ちょっと、気になる表現が出てきた。

「『真っ当に魔女』?」

 モモの問いに、ええ、とレイ先輩は頷く。

「言ったでしょ? 私は『魔道士』で、魔女と魔術師の中間的存在だ、って……素質のあるあなたたちには、あんまり関係のない話かもだけど、純粋な魔女の世界は『天与の才』である程度伸びしろが決まってるの。対して魔術師の世界では、後天的な努力で伸びしろが増える」

「何故です?」

 マイの問いに、授業聴いてたか? という目を、レイ先輩は見せた。

「『水晶の魔女』は『世界の声』を『傾聴』することから、全てが始まる……でも、実際の『耳』の『聞く能力』を想像してみたら分かると思うけど、すごく個人差があるでしょ? 絶対音感がある人には、いわゆる『耳コピ』なんて楽勝だけど、ない人はすごい努力と時間が要る。つまり、そういう魔女としての『基礎力』は、基本的に、先天的に差がついているの。幼少期に英才教育をしたら、多少伸びるみたいだけど、闇堕ちした例の大師匠の息子と、エリカさんの事例を見れば、先天的な差が絶大だっていうことは、すごくよく分かると思う」

「……ですね」

 ものすごく、よくわかる事例だ。

 マヤ・マリ門下の「生存する黒歴史」である、例のアンリなる人物は、魔女である母のマリ大師匠によって、幼少期からそれなりの教育を受けていた。

 だが、先天チートのエリカ様は、その差をあっという間に抜いた。

 では、何故「魔術師」なら、伸びしろが変わるのだろう?

「『魔術師』は、人間心理に作用する……つまり人生の経験値が上がるほど、応用の幅が広がるの。加えて、そのために必要な理論も細かく研究されていて、先天的な能力差を、努力で補うノウハウも、かなり蓄積されているのよ。だから、私の第二師匠は魔術師のリョウ先生で、第三師匠に至っては『魔導連盟』所属ですらない、グイ老師なわけ」

 あ、とモモは、あの量産型触媒の作者への疑問を思い出した。

「はい、質問! そのグイ老師って、何者なんですか?」

 基本的に「水晶の魔女」が交流できるのは、魔法・魔術・呪術の類を平和的に活用することを目指す「魔導連盟」に加盟する一門の人間だけだ。リョウ先生が師事した、ドイツのローゼンブルク一門と、イギリスのゴールドスミス一門も、ともに「魔導連盟」加入組織である。

 だのに、かの「グイ老師」は「魔導連盟」には所属していないという。

 いったい何者なのか。

 ぐっ、と拳を握り込んだモモに、あっさりと答えは返された。

「道教の道士」

「……へ?」

 予想外すぎる答えがやってきて、モモは目を丸くする。

 知らない、と思ったのか、レイ先輩は解説を足してくれる。

「中国土着宗教である、神仙思想とか陰陽道とか色々なものがごたまぜになった、『タオ』を究めて仙人になることを目指す存在。フルネームは、リウグイシェン……通称は『共鳴のグイ・シェン』で、もくすい系統の術に適性の高い人よ」

「もく?」

 一瞬考え込んだマイだったが、伊達に一学期に中国史をしてはいない。

「あ、五行説のですね! もくごんすいの!」

「そうよ。アヤ先生は、西洋魔法だから、アリストテレス系四元素説だけど、貴老師は道教だから五行説。今サヤさんのところにいる、インド系呪術師のソーマって人は、ヒンドゥーの三形質説トリ・ドーシャ……三つの形質を基礎にして世界を分析してるわね」

「へぇ。インドって、三元素なんですか」

 マイは興味津々である。四元素でもかなり難しいのに、三で分類するとは、いったいどんなトリックなのだろう、という感覚である。その謎はすぐに解けた。

「正確には、三つの形質が重なって、こう……合計7種類出てくるけど」

 レイ先輩は、クロッキー帳の隅に、三つの円を描いた。

 AとB、BとC、AとC、AとBとC全部、それぞれの重なりが、単なるA・B・Cに加わるわけだ。数学で言う、集合の理屈である。

「……面白い」

「と、まぁ世界へのアプローチ方法は一つじゃないんだけど、あなたたちは向いていると判断された上でスカウトされてるから、魔術師に師事することはないでしょうね。私の場合は、本当に基礎力がなかったところを、強引に底上げされて『聞こえる』ようになったから、基本中の基本を押さえたら、即『カルテット』の中で一人だけ、リョウ先生に回されたわ」

「うわー」

「まぁ、途中からは、自分でも『魔道士』なのが楽しくなってきたのが、ある意味センセイの思う壺ではあるんだけども、救いっちゃ救いかしら、ね……魔女だと手順がややこしいことも、魔術師だったらすこい効率的にやれることもあるし。まぁ、私レベルじゃ、どっちも大したことないけど。でも、魔法だと世界にお願いをする手間がめちゃくちゃしんどいのが、魔術だとほぼ省略できるのよねー」

 小規模な術なら、魔法より魔術の方が楽ね、とレイ先輩は言う。

「でも、今日のマイの護衛、できちゃうんですよね?」

 稀少な「ホイホイ」であるマイを、危険事態から守るために来たはずだ。

「ああ……そりゃ、私が一番『聞こえない』から、二次災害対策で」

 マイは絶句し、モモは目を真ん丸にした。

 ナンダッテ?

「霊感低い方というやつですか?」

「そうとも言う」

「……大丈夫なんですか?」

「ヤバかったら即座に救援を呼べるようにしてある」

「救援メンバーは?」

「とりあえず、知ってる限り最強の魔女」

 その答えで、ナンダッテ? が再び炸裂した。

「……エリカさん?」

 うん、と軽く頷かれたが、モモはもちろん、マイだって内心で絶叫だ。

 マイとは正反対の適性を持つ、現在、史上最強の「水晶の魔女」。

 チート過ぎて「未知の魔女」から、名乗りが変わらない、天井知らず。

 何だろう。空襲犠牲者の「残念様」よりも、怖い気がする。

「日没後なら手を貸してくれるって。日が落ち切る直前の『逢魔が時』が、一番ヤバイんだけど、そこは何とかしのげるように、あれこれ小細工は用意してきた」

「さっきの桃の種とか?」

「うん。あとはアルミ缶とか」

 ???

 桃の種を超える、変な物体の名称が出てきた。




「アルミ缶?」

 問い返すモモに、いひひ、とレイ先輩は茶目っ気を滲ませる。

「『カルテット』の中では、『魔道士』の私だけが唯一使える術です」

 と、いうことは、魔法ではなく魔術、か。

「まぁ……正直、呪文が恥ずかし過ぎるシロモノではあるんだけど」

 恥ずかし過ぎる呪文? なんだそれ?

 レイ先輩は、いいわね?! と、二人にビシリと言いつける。

「笑うんじゃないわよ? 笑ったら泣くからね!」

「……そんな恥ずかしいんですか?」

 笑われたら泣くレベルに恥ずかしい、なんて、想像がつかない。

 いかにもそう言いたそうな顔で問うマイに、レイ先輩は乾いた笑いをもらす。

「魔女適性を早々に見放される程度の国語力を見せることになるわね」

 おそるおそる、モモは質問してみる。

「……つかぬことをお伺いしますが、現役時代の国語の偏差値は?」

「全国? なら、現代文52、古文45、漢文49よ」

 すげぇ。平均下回ってる。

 その成績で、あの一応は名門扱いの私立大学に、論文試験で合格したとなれば、そりゃあアヤ先生に「小論の超人」の二つ名もつこうというものだ。

 という、モモの心の内を見透かしたかのように、レイ先輩は顔を歪める。

「そういうモモちゃんの、期末の成績は?」

 正直に言ってもいいのだろうか。

 そんな顔をしてしまうと、正直におっしゃい、というプレッシャーがかかる。

「現代文93点、古文50点満点48点、漢文は満点50です」

 ポカーン、と、レイ先輩は口を開いた。

「文系魔女の弟子に相応しいわね」

「恐縮です」

「1年生に『古事記』の原典当たらせるなんて、鬼畜な課題だと思ってたけど、モモちゃんぐらいの成績なら、別に大変でもなんでもなかったか」

 いえ、本当は大変でした。

 ……なんて、なんか言い出しにくくなった。

 原典まで当たれという明確な指示は出ていない。ただ、数学がやりたくなさすぎるあまり、ついつい原典まで遡ってしまっただけの話である。平安や鎌倉の古文と違い、上代じょうだい古語てんこ盛りで、辞書を引くのも結構苦労した。

 そこまで苦労しても、数学の方が面倒くさかったのに。

(2学期のテスト、マイに数学抜かれそうだなぁ)

 1学期期末試験では、モモは数学Ⅰが73点、数学Aが70点で、マイは数学Ⅰが67点、数学Aが72点だった。一勝一敗だが、僅差でモモの勝ちと言えなくもない。だが、数学に現実逃避の道を見つけ出した友人は、2学期で大いに挽回しそうである。

「あれ? マイちゃん、物理苦手?」

 とうとう数学をやり尽したらしいマイが、さすがに嫌そうな顔をしながら、物理基礎の課題プリントの束を取り出した。

「私もモモも、物理基礎は期末51点です……」

「ありゃ。じゃ本当に、魔術師の適性は低いのね」

「……魔術師って、物理学要るんですか?」

「魔法系の現象を起こそうと思ったら、脳みその中が方程式で埋まるぐらい、物理が要る。ちなみに、私の時代は物理ⅠBだったけど。あ、私は理系クラス物理選択」

 一つ、確実に敗北する教科が見つかった。

「尊敬します……」

 掛け値なしの敬意を込めて、マイとモモは、レイ先輩を称えた。

 物理ⅠBということは、前の学習指導要領だ。つまり、ゆとり前の。

 ん? ということは、ゆとり前指導要領の先輩の成績は、ゆとりっている自分たちのそれと、安易に比較はできないのでは……と思ったが、先輩が教えてくれたのは全国偏差値だった。ということは、全国の高校生たちがゆとりしていなかったワケで、まぁ全国順位としては差はないのかもしれない。

「ちなみに理系クラスは、化学ⅠB必修、かつ数学はⅢCまで」

「死ねる……」

 眼前の先輩は、モモには到底歩む気になれない、恐怖しかわかない道を踏破した猛者であったのだ。国語がアレであろうとも、もはや尊敬に値する。

 その、アレな国語力が紡ぎ出す「恥ずかし過ぎる呪文」が気になるが。

 とりあえず、モモがレポートの骨子と、数学Iの問題集の、最初の単元の課題を。そして、マイが物理基礎のプリントの2枚目を終わらせたあたりで、閉館間近のアナウンスが流れた。窓から差し込む光はもうオレンジ色に染まって、夏休み延長期間中とはいえ、18時半を過ぎれば、立派に夕方である。

「さぁ……臨戦態勢よ」

 レイ先輩は、ゆるふわな見た目の割に、大容量の鞄を抱え上げた。






さて、次の話から戦闘です。残念様より恐いのは生きてる人間ですが。

……モモの桃の種と、アルミ缶の謎は次で解ける。多分(まだ書いてない)

とりあえず、頭良さそうに喋っているのは長年の訓練の賜であり、レイ先輩の地の日本語力はお察し……ということはよく分かる呪文。


劉貴深老師は、フルネームからして、普通は「リウ老師」だけど、あえて「グイ老師」なのは、本人の意向というか趣味。

所属は全真系ではなく、太一系なので、大規模な道観(※道教寺院)はないのですが、他に劉姓の道士がいたのが最初のきっかけ。


その後の事情は、話の展開によっては出てきます。ちなみに老師は、第一世代ではない華僑。日本語と中国語普通話のバイリンガル設定。

……しかし、自分は中国語ができないので、カッコで誤魔化す予定。



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