姉のミニスカート♡ ⑤ 最近、娘が増えた気がする
夕飯の支度中、母がぽつりと言った。
「ねえ……最近、うち、娘が増えた気がしない?」
(来た…^^;)
優斗――いや、優香( 最近、こう名乗っている…)は、コタツの中で足をぎゅっと縮めた。
スカートの裾が少し揺れる。
「増えてないけど?」
姉が即答する。
その声がやけに早口。
母は鍋をかき混ぜながら、首をかしげた。
「ほら、優香ちゃん? よく来るじゃない」
「来てない日もあるし」
「でもいるときの存在感が自然すぎて……」
(やめて、分析しないで)
父は新聞をめくりながら、のんきに言った。
「はは、友達なんだろ。娘みたいなもんだ」
(その理屈、雑すぎる)
母はふっと笑った。
「そうねぇ……」
少し考えてから、こう続けた。
「でもね、変なのよ」
優香の背筋が凍る。
「優斗がいない日に、優香ちゃんがいると、
『あ、今日は二人いるのね』って思うし」
「悠斗がいる日に、優香ちゃんがいると、
『……あれ? 人数、合ってる?』ってなるの」
(母の感覚、鋭すぎる)
沈黙。
姉がごくりと唾を飲む音が聞こえた。
母は、優香の方を見た。
「優香ちゃんって――」
(来る…^^;)
「――本当に、落ち着くわよね」
ずるっ。
優香はコタツの中で足を滑らせた。
「え?」
「なんていうのかしら。家族みたい、っていうか…
初めて会った気がしないの」
(それは、だって……)
母は優しく笑う。
「だからね」
一拍置いて。
「増えた気がする、ってだけなのよ」
……それだけ?
「娘が増えた“気がする”だけ」
父がうなずく。
「いいじゃないか。賑やかで」
姉が、ほっと息を吐く。
優香は、胸の奥がじんわり温かくなるのを感じた。
(……この人たち)
母が言った。
「優香ちゃん、今日は泊まっていく?」
「え、あ、いいんですか?」
「いいに決まってるじゃない。もう慣れてるし」
父が付け足す。
「布団もあるぞ。優斗の部屋の」
(それは俺の布団)
その瞬間、優斗は悟った。
――バレてない。
――でも、完全に他人でもない。
曖昧で、優しくて、
鈍感という名の受容。
夜。
隣の部屋から姉がネグリジェを手渡す。
「ちゃんと洗濯して返しなさいよ」
布団の中で、優香は天井を見つめた。
(いつまで、続けられるんだろう)
でも。
今日だけは。
「……おやすみなさい♡」優香のままでゆっくりと過ごす。
誤字報告ありがとうございます♪




