姉のミニスカート♡ ④ 友達が惚れたかも
インターホンが鳴った。
「……来た」
鏡に映るのは、もう完全に“知らない女の子”だった。
短めの髪も、軽く整えれば女の子のショートカットにみえる。
姉のブラウスにスカート。
薄く乗せただけのチークとリップだけれど、自分でも可愛く思えた。
(やばい、これはやばい……)
ピンポーン。
「はーい♡」
声、声だ。
一段高く~でもやりすぎない。
姉を真似すぎない。
――“姉の友達のお姉さん”くらいの距離感を狙ってみた。
ドアを開けると、立っていたのはクラスメイトの 拓也 だった。
「あ……♡」
固まった。
(あ、やばい、…この反応)
「えっと……弟の友達? …かな?」
拓也は一瞬視線を泳がせ、それから妙に丁寧な姿勢になった。
「あっ、先日はどうも。悠斗の……お姉さん、でしたよね?」
「う、うん。そう。今日は家で……」
(何言ってるんだ俺は…)
拓也はなぜか少し照れている。
目線が合うと、すぐ逸らす。
(あれ? からかうつもりだったのに……マジかよ)
部屋に通すと、拓也は落ち着かない様子でソファの端に座った。
「悠斗くんは……?」
「出かけてるよ」
(今ここにいるけど^^; )
沈黙。
気まずい。
……と思った次の瞬間。
「……あの」
拓也が、真剣な顔で言った。
「失礼かもしれないんですけど」
(来た…バレたか ^^;)
「悠斗くんのお姉さん、すごく……かわいいですね」
──頭の中が真っ白になった。
(え? え? え??)
「え、あ、そ、そう?」
声が裏返りかける。
拓也は耳まで赤くなっている。
「実は……どストライクという…あの、すごく好みのタイプなのですが、
も、もしよろしければ……」
(やめて、続けないで ^^; )
「なんか……ドキッと、して上手く言えませんが。
お姉さんのこと好きになってしまったかも」
(ちがうちがうちがう!!)
その瞬間。
ガチャ。
「ただいま〜」
母の声。
(来たーーーー!!)
拓也が立ち上がる。
「あ、こんにちは! お邪魔してます」
母は一瞬こちらを見て、にこっと笑った。
「あら? お客さん? 優斗は……」
「……」
「ふーん……」
母は首をかしげながらも、特に疑わずキッチンへ。
(助かった……)
……と思ったら、さらに。
ガチャ。
「おー、今日は早く終わったぞ」
父。
(フルコンボやめて!!)
父は一瞬こちらを見て、
「お、拓也くんだっけ? そちらは…えっと、
優斗の姉ちゃんか? こんにちは」
それだけ。
(鈍感すぎるでしょ、この家)
そのとき。
「ただいまー」
姉。
(終わった)
姉はリビングに入るなり、すべてを察した顔をした。
私(俺)と、拓也と、両親。
そして――
「……あんた、何やってんの?」
氷点下の声。
(あ、でも助けてくれる立場だよね? いつも助けてくれるもんね?)
拓也が、ぽつりと呟いた。
「もうひとりお姉さん?……やっぱり、綺麗な人ですね♡」
姉の眉がぴくっと動いた。
次の瞬間。
「――は? 何言ってんの、この子。まっ、いいか。
ごゆっくり」と姉は、ほかの部屋へ消えた。
(守ってくれるんだ!?)
私は心の中で、全力で土下座した。




