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姉のミニスカート♡ ①ミニスカートとコタツ


 高校二年の春。


 家には、僕ひとりだった。


 両親は買い物、姉は友達と出かけている。


 静まり返った家で、僕は宿題もせず、居間をうろうろしていた。

 ふと、洗濯物が目に入った。

 

 姉の服だ。

 別に、普段から気にしているわけじゃない。

 ただ――そこに、ひらっとしたミニスカートがあっただけだ。


「……はくわけないよな」

 

 そう思った次の瞬間、

 なぜか手に取っていた。

 誰も見ていない。

 本当に、……誰も。

 

 恐る恐る、足を通す。

 

 ――軽い。

 思っていたよりずっと軽くて、

 動くたびに、布がふわっと揺れる。


「……なんだこれ」

 ズボンとはまったく違う感覚に、

 思わずその場で一歩、二歩と足踏みしてしまう。

 ちょっと楽しい~♪ ルンルンという気分ってこれかも。

 

 いや~、かなり楽しい♪

 

 ――その瞬間だった。

 ――ガチャ。


「ただいまー」

 玄関のドアが開く音。


「え?」

 脳が一瞬、固まる。

 

 続けて、別の声。

「雨降りそうだったから早く帰ってきたー」

 姉だ。

 

 しかも――

「お父さんも一緒だぞー」


「お母さんもいるわよー」


 全員帰宅…? まっ、まさかの……、

 最悪のフルコンボ。

「ちょ、ちょっと待って待って待って!」

 

 反射的に居間へ駆け込み、

 コタツにダイブ。

 スカートの下半身を、勢いよく突っ込む。


 ――セーフ。

 たぶん。

 いや、見えてないはず。

 お願いだから見えてないでくれ。

 ドクン、ドクン、心臓が、コタツの中で暴れている。


「どうしたの? そんな慌てて」

 姉が不思議そうに覗き込む。


「い、いや! 急に寒くなった気がして!」


「暑いでしょ、今日は。それにお顔に汗ビッショリだし」

 正論はやめてほしい。


 父が新聞を置いて言った。

「こたつ、もう片付ける時期だな」


「だ、だめ!!」

 叫んでから、はっとする。


「……え?」

 家族の視線が集まる。


「い、いや……なんとなく……」


 母が首をかしげる。

「その“なんとなく”で叫ぶの?」


 コタツの中で、スカートの裾がもぞっと動いた。

 動くな。

 お願いだから、動くな。


 姉がふっと笑った。

「優斗……あんた、なんか隠してるでしょ」


「か、隠してない!」


「じゃあ出てきなさいよ」


「無理! ムリムリ~」


「無理ってなに…」


 沈黙。


 数秒後、姉はため息をついた。

「……いいわ。今日は見なかったことにする」


「え?」


「でも」


 にやっと、いつもの意地悪な笑顔。

「今度、洗濯手伝いなさい」

 その言葉に、家族全員が「???」となる中、


 僕はコタツの中で、全力でうなずいた。


「やる! 絶対やる!」


 その日以来、

 姉は時々、意味深にミニスカートを眺めて見せる


 僕はもう、絶対に触らない。

 ――たぶん。


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