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第8話 お披露目

 魔法の杖は魔術師になる上でも必須アイテム。

 いずれ買うつもりではあったが、まさか貰える日が来るなんても思ってもいなかった。


「本当に貰っていいのですか!?」

「貰ってください。それが私たちからのお礼です」


 セレナの父親が優しそうな笑顔でそう言ってくる。

 ここまできたらありがたく貰うのが礼儀であろう。


「わかりました。ありがたく使わせていただきます」

「ぜひ、そうしてください」


 次はセレナの母親が優しく語りかけてくれる。


 家へ来たときから思っていたが、セレナの両親はどちらも礼儀正しく優しい。

 これならセレナの将来も安心だろう。


「話の途中すまんがちょっといいか?」

「ん?なんでしょう?」


 声の方を見れば、セレナの両親の後ろに立っているバーゼルが少し申し訳なさそうに手を挙げている。


「もし良かったら魔法を見せてくれんか?できればモンスターを倒した魔法を」

「親父、娘を助けてもらった人にこれ以上迷惑かけるんじゃない」


 バーゼルのお願いに対し、真っ先に苦言を呈すはセレナの父親。

 薄々勘づいていたが、やはりセレナの父親とバーゼルは親子のようだ。

 性格は少々違うようだが。


「頼む。どうしても孫を救った魔法が気になるんだ。1回でいいから見せてくれんか?」


 再びのお願い文とともに、顔の前での合掌までしてきた。

 ここまでされて見たいと言われると悪い気はしない。


「わかりました。ぜひ、ご覧に入れましょう」

「いいのか!」

「もちろんです。俺も杖の使い心地が気になっていましたし、お披露目するくらいなら問題ありません」


 せっかくの機会だ。

 杖を使った初めての魔法でもお披露目しよう。


──────


 俺はハイゼンとゼレーナ、アルステンド家御一行を連れて村の外れにある小さな丘へと向かった。


「バルトくんはいつもここで練習を?」


 セレナの父親がちょっとした疑問を投げかけてくる。


「はい。ここなら魔法を使っても村に影響がありませんし、モンスターにも出会うこともありません」


 実際、ここで何回か魔法の練習をしていたがモンスターに出会ったことは無い。

 多少、森の方からモンスターの遠吠えが聞こえるけどね。


「よし、じゃあこの辺りで魔法を使います。

ただ、この魔法はかなり威力が高いので空に向かって放つことになります。それでもいいですか?」

「空に撃つのか?別にその辺の木を試し台にしても構わんぞ」

「いいのですか?」

「どうせこの辺りの木は冬季が来れば薪になる。むしろ切ってくれるなら好都合だ」

「わかりました。じゃあそこの木に向かって撃ちましょう」


 丘の上には森の木よりも一回り大きい木が生えている。

 こいつの木陰は涼しくてお気に入りだったから切りたくないが、薪になるならせめて俺が切ってやろう。

 

「では僭越ながら⋯⋯」


 しっかり杖を握り、杖先を目前の木へと向ける。


「暗黒を操りし闇の帝王よ。かの者を漆黒の斬撃で切り裂け!黒影の一閃(ダース・フィンズ)!」


 詠唱を終えると同時に黒い斬撃が飛翔し、木を切り倒す。

 一見するといつもの黒影の一閃(ダース・フィンズ)と何ら変わらない。

 しかし、その切れ味とスピードは初めて撃った黒影の一閃(ダース・フィンズ)を大きく上回るものだった。

 

「凄い!凄いよこの杖!」


 興奮冷めやまぬまま振り向き、周りの反応を見てみる。

 だが、俺の想像していたような明るい歓声はなく、皆硬直していた。


「ねぇ、しっかり見てた?」


 あまりにも反応が薄いので、ちゃんと今の魔法を見ていたのかをハイゼンに問いただした。 

 仮にちゃんと見ているとするならばもう少しリアクションが欲しいところである。


「⋯なあ、バルト。今のって闇魔法だよな?」

「うん。そうだよ」


 そういえば、俺の適性属性に関してはハイゼンやゼレーナにも話してなかったな。


「悪いことは言わない。今からでも魔術師の夢を諦めて剣士を目指せ」


 は?

活動報告にも書かせて頂きましたが、作品の投稿時間を平日の12時半に固定しようと思います。

ただ、相変わらず不定期投稿には変わりありませんのでご了承くださいm(*_ _)m

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