始まり
「不合格」
この文字を見た瞬間、私の人生が終わりを告げた。正直、死ぬ気でやったかと言われれば、やってない。それなりに頭がいい学校に通っていたし、受かるって思ってた。学校から帰っては本で埋め尽くされた床を見て後回し。カフェで勉強しようと思っても、やって2時間。何をやるべきかわからなかった。塾も行こうにも友達もいないし、お気に入りの先生もおらず、なんとなく復習して、気が向いたら行ってた。そう、これで受かると思った自分がおかしいのだ。親からは何度も怒られ産まなきゃよかったと言われる始末。それで余計にやる気しないのに….。
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こうして始まった浪人生活だが、私は正直もう人生を諦めかけていた。だけど、一人の大切な、大好きな、愛おしい男性に出会うことで私の人生は終わることはなかった。
「君物理苦手なんだよね?初めまして。物理を担当している平井です。とりあえず君の担当になったからこれからよろしくね。」
その人は40代のスラットした男性で、名前は平井洸人という先生だった。落ち着いた雰囲気のあるいかにも女性に困ったことの無いような感じ、ではなかったが、優しそうな感じの人だった。