出会い
今日もいつも通りのサイクルを繰り返している、そんなことを思いながら帰り道を歩く。
瑞希は帰り道が違うからいつも1人で帰っている。
1人は苦手だ、寂しさを感じてしまう、心の寂しさを、埋まらない空白のような感覚を。
なんとなく空を見上げてみたが、空を見上げても僕の心と同じく、一面に空白が広がっているだけだった。
家に帰った僕は今日もネットに呟きをする。
「1人は寂しい、誰かいませんか」と。
その時、珍しくメッセージが来た。
驚きを孕みつつメッセージを開けてみる。
「こんにちは、私も今暇してたので良かったらお話しませんか?」
唐突なお誘いに一瞬戸惑ったが、すぐに返信した。
「メッセージありがとうございます、ぜひお願いします」
僕は寂しさを紛らわしたい一心でやり取りをした。
「うさぎさんはどうしてメッセージをくれたんですか?」
ふと聞いてみた、そうすると、
「私も寂しかったんです、家には私の居場所がないので、学校でいじめられちゃって、両親がちゃんと取り合ってくれなくて…」
なんとも反応しにくくなってしまった。
「それはお辛いですね、良かったら僕がいつでも相談相手になりますよ」
そんな言葉しか出なかったが
「本当ですか、ありがとうございます」
こう言ってくれたのは幸いだった。
こうして僕はうさぎさんというネット友達ができた。
ここから僕の人生の歯車が動き出した気がした。