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第六話

星野高校に入学した杉野凌也すぎもとりょうやと、幼なじみの高橋篤弥たかばしあつやと学園で出会った清水愛梨しみずあいり。犯罪集団『獣達ビーストズ』と戦闘になるも朝宮校長の圧倒的な力に対抗できるのは狂い人だけだった…

 狂い人の魔法、『魅了の炎』により朝宮校長の動きが止まった。

「『炎』とは見れば誰もがその美しさや危険さに魅了されてしまう。まるで踊り子の演技を見るかのように。とはいえ間一髪だったぞ、朝宮日向め。」

 ビーストズは捻れて崩壊しきった校舎から出て、先程の黒い渦に入って帰って行った。

「ありがたいぜ、狂い人。自分の魔法をペラペラと話してくれて。」

 数分後の渦の向こうのビーストズ本拠点、俺達はついて行ってしまった。そして狂い人に見つかった。

「ほう、何だこのガキは。」

 狂い人の怒りの籠った眼差しは、恐怖そのものだった。まるで狂い人の怒りだけでこの基地全体が揺れているようだった。

 隣で俺が小声で話しかけた。

「おい篤弥、なんで入ってんだよ!」

「俺が渦に入ったとこは木山先生が見てくれてる。俺達が基地の場所を確認したらテレポートしてくれるはずだ。」

「中々度胸のあるガキ共だな。そういえば鹿嶋タイキ、ガキに負けたと言っていたのはこのガキのことか?」

 狂い人が鹿嶋タイキに目を向けた。

「はい、情けねぇがこいつら相当やりますよ。」

 狂い人はもう一度俺達のことを見ると、乾ききった声で言った。

「そうだな。」

 瞬間、狂い人は尻もちをついていたはずの篤弥の首を掴んでいた。

「篤弥さんっ!!」

「もうひとつの魔法…!?でなきゃ光の速さに追いつくなんて…!」

「篤弥というのか…お前の魔法は『光』の速度を()()()というものらしいな。だが“出来る”のは能力であって、お前の体が光の速度に適応できるわけではない。目で物の動きを捉えるからこそ人は加速できる。目の力が優れていなければ光ではなくせいぜいマラソン選手より少し優れている程度だ。」

 すると狂い人は首を掴んだ篤弥を自分の横に吹き飛ばした。ガシャンと音をたてて壊れた木の棚から顔を出した篤弥が狂い人に話しかけた。

「『目』…だと…!?」

「スポーツ選手がそのスポーツだけでなく、食生活なども気をつけるように、当然生活上注意すべきこともある。」

「読めないな…なんでお前は俺達にアドバイスみたいなことをするんだ?」

「例えばだがそこの清水愛梨が俺を倒したらさぞかし面白いだろう?強大な敵を突然なんでも無いやつが倒すだなんて面白かろう。それは俺にとっても同じこと。敵とも思っていなかった人物が突如俺の天敵になれば面白いのだ。」

 倒れた篤弥が「どうでもいいぜ、俺からすれば」と言うと、もう一度飛びかかって狂い人に襲いかかると、狂い人と同じ黒服を着たクールなイケメン社員のような、俺たちと同い年の高校生の男が出てきた。

 篤弥が瞬発的に背後に飛び戻った。

「誰だお前…!」

「…ん」

 そう言って男は名刺のようなものを出した。

 名前欄に書かれていたのは“飛智(ひとも)ジシカ”という名前だった。

 名刺をしまうと攻撃を続行した。その姿を見て狂い人は話し始めた。

「飛智は昔ある男に一家三人、父母妹を殺されている。そんな恨みから一文字でしか話せなく、目も見えない体質になってしまった。その男を殺すという条件で飛智は仲間になってくれたのさ。」

「…あぁ」

 言葉を伸ばしたり、小文字や“ん”なら付けることは出来るらしい。見えなくなった薄水色の目を閉じ、気配で篤弥を攻撃し始めた。

「後は頼んだぞ、飛智。」

 そう言うと狂い人は前のような黒い渦に入って逃げていった。

「くそっ…木山先生も俺らのことを見えてなかったのか!?まだテレポートしてくれねぇ!」

 そんな愚痴を吐いている篤弥の手助けの為に、清水さんが、部屋中の石類のものを固めて岩にして飛智にぶつけた。だが、飛智は蹴りで岩を砕いた。

「なんて力だよ…!」

 磁力で天井と飛智をつけてから、磁力で砕けた石を全て飛智にぶつけた。だが体を少しずつ動かしながら全ての石を避けきった。

「…ん」

 そこら辺に散乱していた紙を取ると、飛智はそれをこちらに見せた。

“俺の魔法は『念写』。頭に思い浮かべた言葉を紙に念写出来る。だが絵などは不可能だ。”


挿絵(By みてみん)


「…ぅむ」

 コクリと頷くと、飛智は天井から降りてきてもう一度紙を見せてきた。

“俺に敵意は無い。狂い人のスパイとして昔から入り込んでいた。朝宮校長が『進魔法化』した今が最大の好機と思ったんだ。”

「え!?『進魔法化』したのかよ!?」

 『進魔法化』とは、魔法が進化する事。魔法の力を最大限引き出せたものが辿り着ける境地である!(二つの魔法を持っている場合は、引き出した方では無いものが進魔法化する。)

「…ぅん」

「校舎を捻ってた様子からするに進魔法化したのは『それでも地球(ザ・ワールド・)回っている(ローテーション)』だろうなー。」

「…ぅん」

 コクリと頷くと、指でハンドサインをした。

“あそこの扉で部屋から出て、右に曲がると落ちる穴がある”

「そこから学校に行けるのか?」

「…あぁ」

「さっすがー!ありがとな、飛智!」

「飛智も一緒に行こうよ!」

「そうですよ。行きましょう。」

「…ぇ」

 渋った飛智の手を篤弥が引っ張った。

「ほら、行こうぜ!」

 こうして飛智ジシカが仲間入りした。だがこの平和な空気も短いものだったことにまだ気づいていなかった…


第六話 完

「崖に激突して

 死ぬツバメがいる

 そうだ……


 そのツバメは得てして

 他のツバメよりも

 とても上手にエサを

 捕獲したりするの

 だが……

 

 宙返りの

 角度の危険の限界を

 親ツバメから

 教わっていないため

 つい 無謀な角度で

 飛行してしまう


 だが その親は

 教えないのではなく

 そのまた親から

 教わっていないので

 


 彼ら一族は

 短命な者が多く


 なぜ事故に

 あいやすいのか

 気づいてさえも

 いない」


「………

 ………」


「この平和な空気は

 短命だったな」(言いたかっただけ)


元ネタはジョジョの奇妙な冒険第6部のプッチ神父です。まじでジョジョ面白いから読んだことない人は読んでみてください。

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