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最終話 『闇の果てに見えるもの』

一週間に一話という遅い投稿頻度でしたが、ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございました!!

 天から突然、光の筋が差してきた。サンは倒したはず。なのに何故この世界に()()()()んだ?太陽がある訳でもないのに。

 木曜日の主が全員を自身の能力で治癒しているのを横目に見つつ、光の筋を注視していた。すると、光の筋を通ってくるように、一人の男が現れた。

 皆が困惑して周りを見渡す。そんな時男は口を開いて話し始めた。

〖僕は……この世界の次なる主です。〗

 近くで音が聞こえるのに、どこか遠いような、不思議な聞こえ方だった。その男は、こちらのことなど意に介さず、淡々と話し始めた。

〖今世界は曜日ごとに七つに分れています。そしてここは日曜日の世界。そしてこの世界は貴方がたの世界に悪い影響を及ぼしています。〗

 何を話すのか、そう思いつつもとりあえず頷いた。すると、男はまた口を開いた。

〖そこで、この日曜日の世界だけを周りの世界から()()()()()()。〗

 主たちの中でザワッと困惑が走る。切り離す、そんなことが可能なのか。

〖これ以上放置する時間はありません。今すぐに切り離させていただきます。〗

 困惑に包まれる中、突然この世界全体と言った方が正しいのだろう。【ゴオオオオォン!!!】という轟音が鳴り響いた。途端、視界が突然崩れていくように黒に染まっていった。そしてそのまま俺は意識を失っていた。



「はぁっ……!?」

 真横で爆発が起きたかのような衝撃で飛び起きると、そこには今起きたばかりの様子の篤弥とクロが居た。

「サンを倒したのか。」

 ニヤリと笑みを浮かべながらクロはそう言った。あぁ、と返事したくなったが、その返答を一旦飲み込んだ。

 何故クロは俺達がサンを倒したことを知っているんだ?そういえば先程まで寝ていたかの様子も気になる。その考えを読めとったかのように、いつの間にか合流していたコブラが口を開いた。

「なんつうか、夢見てるみたいな感覚で日曜日の世界の出来事を見てたんだよ。」

 その回答に対して篤弥やクロも頷いて、「同じ」という意志を表明した。

「ってことは……」

 ようやく全てが終わったのだ。今までの全てを含めた疲労が一気に体を襲ってきた。

 十数年。ずっと呪縛のように付きまとっていた恐怖が全て無くなったのだ。

 他地域では魔法による犯罪が相次ぎ、隣接する街ひとつが獣達(ビーストズ)に滅ぼされたこともあった。

 生まれてからずっとかけられていた呪いが今、ようやく解けたのだ。お祭り騒ぎというよりも、全ての疲労に脱力するというのが強かった。

「清水さん……ようやく終わったよ……」

 寝転びながら、でかいため息と共にそう言った。何人の犠牲者を払っただろう。何人の涙が流れただろう。

 そう考えていると、いきなりあることを思い出して飛び上がるように立ち上がった。片付けは終わらせないとな。



 あれから十数年が経った。今では魔法は社会に溶け込んだ必須のものとなり、俺達は全員立派な大人になった。そして、魔法と結びつきの強い、クロのような存在も不自然では無くなっていった。


 自慢のようになってしまうが、十数年も経てば次第に昔の功績は伝説のようになっていく。俺達は狂い人を筆頭に、獣達(ビーストズ)を倒したとして、まるで勇者のように扱われていた。ジシカやコブラも今ではこちら側として扱われることが多くなり、英雄の一人とされた。

 そして現在俺たちが就いている仕事は、いわゆる警察のようなもの。特別魔法警察特殊科、通称『特別魔警』。ジシカとコブラは、獣達(ビーストズ)だったこともあり、遠慮していたが、最終的には俺と篤弥、ジシカ、クロ、コブラ、タカジマなど、多くのメンバーが特別魔警として活動するようになった。

 今日は俺が有給を取ったので、()()()()に来ていた。

「もう十何年か経ったな……」

 線香をあげ、手を合わせた。目の前には清水さんと朝宮校長のお墓がある。今日は月に一度ということで、お墓参りに来たのだ。

「朝宮校長ビール弱いし酒癖悪かったらしいですね。」

 そう言って自分と朝宮校長、二人分のビール缶を開けた。車で帰るので飲むのはやめておいて、少し手を合わせて、ポケットに零れないように入れた。

「コブラに聞いたら清水さん、プリンが好きだったらしいですね。スーパーのやつしかなかったんですけど。」

 プリンを一個置いて手を合わせた。コブラによると、「プリンが好き」というのは可愛気があるからだそうで、本当は豚骨ラーメンが好きだったらしい。隠していたなら失礼かと思って持ってくるのはやめた。プリンは持ち帰らずにその場で食べた。

「じゃあ、行きますね。二人共。」

 そう言ってお墓参りを終えた。全てがこれで終わった。そして、ここから新しい日々が始まるのだ。

「学園ハーレムなんかじゃなくても今が一番の幸せだよ。」

 昔の自分に返すようにそう言うのだった。


『学園ハーレムかと思ったら闇が多すぎる』 完

ここまで読んでくださった皆様、改めてありがとうございました!ここまで続いた作品が終わるとなると、何か熱いものがこみ上げてきます。

本当に皆様、ありがとうございました!次回作も是非チェックしてみてください!

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