第一話
星野高校に入学した杉野凌也。だが、正門に入った瞬間足元が爆発した!!闇が多すぎるこの学園で凌也は生き残れるのか!?
「───さん…──のさん…───杉野さん」
うるさいなーもう少し眠らせてくれよ…
「大丈夫ですか!?杉野さん!!」
目の前の美女に思わず目を見開いた。
「…だ…誰?」
「あ、すいません。正門の前で倒れてたからつい…私の名前は清水 愛梨です。」
「痛た…ていうか何で俺の名前知ってるの?」
「服…」
「あぁ、そっか服に載ってるのか。」
「えと…私も今日入学なので一緒について行ってもいいですか?」
「え?逆にいいんですか?」
「はい!」
登校初日からこんな美女に会えるなんて…俺は運がいいな!学園ハーレムなんて展開もあるのかも!?
歩いていると前から友人がやってきた。
「お、凌也じゃん!…てかその女の子誰だよ?早すぎんだろ彼女作るの!!」
「彼女って…ちげーよ!!ご、ごめん清水さん。」
清水さんはフフフッと笑っている。余計なこと言いやがって!
「それにしても可愛い子だな〜。俺の名前は高橋 篤弥。彼氏になってやってもいいぜ?」
「ちょ…馬鹿!こっち来い!」
「お?」
篤弥と肩を組んで、清水さんに聞こえない所まで歩いた。
「あのな…さっき会ったばっかなんだよ…!流石に失礼だぞ!全くお前はそういう節が…」
「凌也こそビビりだな〜、こういうのは自分からアタックするんだよ!」
「ちょアタックって…」
目を離した隙に篤弥は光のように一瞬で清水さんのところに行っていた。というか、本当に光なんだが。
「清水ちゃんっつったけ?俺の魔法は『光』、光の速さでどこへでも連れててってやるよ!」
「篤弥!」
「次はなんだよ、凌也?」
「違う、アイツらが来た!」
「げっ…」
“アイツら”は正門から偉そうに歩いてきた。制服の前を開け、周りの生徒にちょっかいをかけている。
「誰ですか…?あの人たち…」
「アイツらはいわゆるヤンキーだよ、清水ちゃん。俺らと同じ中学校だったけど、みんなから怖がられてた。でも、実際に強さは本物だよ。朝宮校長の部下の数十人を一人でボコボコにしたらしい。」
「なるべく関わらない方が…清水さん!?」
話途中に清水さんは歩いてアイツらの前まで行ってしまった。
「あなた達、弱いものいじめは駄目ですよ!!」
「…は?何だテメェ!!」
「私は注意しに来たんです!自分よりも小さい人を押し倒して…」
「うるせぇよ、女だからって許されると思うなよ!!」
リーダーのタカジマが清水さんに殴りかかった。だがその拳は寸前で止まった。というか、止めた。
「お前ら…女に手出して恥ずかしくないのか!?」
「あぁん!?テメェ誰だ!?」
タカジマの取り巻きが次々に叫び出すが、タカジマは真っ青な顔で膝から崩れ落ちた。
「すすすす…すいません!リョウヤさん!!俺ら本気でやるつもりじゃ…!!」
「清水ちゃん、こっち来な。」
「え…?杉野さんって何者なんですか…!?」
「まず、アイツらの説明をしよう。アイツらは『緋舞割組』って名前のグループ。とはいえ、あの中じゃリーダーのタカジマ以外ボスの名前も知らない雑魚だけどな。」
「ボスって…誰なんですか?」
「ボスはあいつさ。」
「え…あいつって…」
「そう、杉野凌也。あいつがボスだ。」
「タカジマさん!アンタいきなりどうしたんだよ!?」
「あんなヤツぶっ飛ばしちまって下さいよ!!」
「黙れお前らぁ!リョウヤさん…女に手を出すなんて男の恥っす…高校来て調子乗ってやした…!」
「分かったならいいよ。」
「くそ…どうしちまったてんだあのタカジマさんが!」
「許せねぇ!俺許せねぇ!よくもタカジマさんをぉ!」
飛びかかった部下たちは空中で、突然何かに引っ張られたかのように吹き飛んだ。
「!?じ…地面から離れねぇ!!タカジマさん俺らどうなっちまったんすか!?」
「待てこのやろぉぉぉ!!タカジマさん!!説明してくれよ!!」
「テメェらァ!!何してくれてんだ!!俺らは“あの人”の名前を借りてこの町仕切ってんだぞ!!」
「え!?」
馬鹿な奴らだ。タカジマもちゃんと教育しておけ。
そそくさと清水さん達と学校に入った。
「あの人の魔法は『磁石』、決めた場所同士をS極とN極にしてくっつけれる能力だ。」
「そんな能力…タカジマさんの『怪力』に比べりゃ大したことないじゃないすか!!」
「大したことない?ふざけてんのかテメェら!その能力でお前らは今動けねぇんじゃねぇか!」
部下達がバタバタ暴れるが、地面から離れることはない。
「効果時間は一時間、お前ら入学式遅刻だな。」
「入学式遅刻はまずいっすよ!タカジマさん!」
「校長先生が可哀想じゃないすか!!」
「何でテメェらが可哀想とか言ってんだ!ヤンキーだろバカタレェ!」
「清水さん、アイツらがダル絡みしてすいません。入学式遅刻しないと思いますけど…」
体育館に走りながら言った。
「いいんです、私から話しかけちゃったので…私の方こそごめんなさい。」
「いえいえ。」
こうして俺の学校生活は始まった。確かな不安を残しながら。
第一話 終
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