第十六話
この小説、書くのが楽しすぎて、十話ぐらいの時から、十五話までストックがあったんですよ。
だから今回久しぶりに書いたんですけど、やっぱりこの作品書くの楽しい。
黒い闇の渦で、幻の廊下『第六廊下』に消えていった狂い人を追って、校舎を壊すような勢いで朝宮校長は入っていった。
それを追って俺も校舎に入っていった。瞬間、大戦争の幕開けのように突然大雨が降り始めた。「バケツの水をひっくり返したよう」とよく言うが、まさにその通りだった。
「こんな時に台風かよ……」
とにかく何かをしないといけない、と校舎を走っていると、窓が風で揺れた。それで少し前にニュースで見た『台風××号』の予報を思い出した。だがそんなことを考えていられるのも束の間、生徒が叫びながら前から走ってきた。
何かいる。そうとしか考えようがなかった。あえてそちらに向かうために、生徒の流れを押しのけていくと、そこには見覚えのある一人の男が立っていた。
「教頭……!!」
「よぉ、杉野凌也。」
そう言うと、教頭こと羅久司 動は地面に手をかざした。
「場所を移そうぜ。」
すると突然コンクリートの床が「ビキビキ」と音を立てて地割れし始めた。
そして数秒もすると、その場には完全に半径数メートルの穴が空いた。当然近くにいた自分は落下し、暗い空間に落ちた。
「地下は客用の駐車場になってんだ。まぁ、使うやつなんてほとんどいねぇけどな。」
ほとんど暗闇だったが、先程の穴から入ってくる一筋の光だけが視界を照らしてくれた。
「やろうじゃねぇか、クソガキ!!!」
「清水さんの恨みだ…!!」
先程まで、篤也は凌也を追いかけて、ジシカと走っていた。だが凌也を見つけたものの、地下に落ちていってしまったので、どうすればいいか分からず、その場に立ち止まってしまった。
「……ジシカ、ポケットからクロ出してくれ!」
そう言うと、ジシカはポケットから狂い人の目玉を出した。これがクロである。目玉を手のひらに乗せると、黒い煙と共に、クロが出てきた。
「で、どこ行きゃいい!?」
待ちくたびれかのようにクロは言った。目玉の状態でも状況は把握出来るらしい。
「クロは二年の担任、『木山』、『針月』、『砕斬』先生のところ、ジシカは三年の担任、『腐負不』、『麻神』、『明石』先生のところに行ってくれ。」
「ってこたぁ、てめぇは……」
「一年の『森』先生のところへ行く。」
篤也が戦う相手は一人だけだった。だが、実を言うとジシカのところよりも、クロのところよりも、森先生が一番大変だ。
森先生は『木』、『草』、『果実』など、森にあるものならなんでも操れる、『森』の魔法を使用できる。つまり、木で作られているこの学校は簡単に操ることが出来るし、単純に木や草を操ることも出来る。
クロとジシカに戦う場所を伝えてから、篤也も戦闘に向かった。だが、生徒が大量に逃げてきているので、流れに押しつぶされてしまう。かと言って全員を突き飛ばす訳にも行かない。そうなれば道は一つ。
篤也は壁を蹴って、天井を『光』の速さ(まだ完全な光の速さには到達していない。)で走った。学校なので、十分天井は高い。走るにはちょうどいい。
数秒走って、一年の階に着くと、そこには壁を塞ぐように木が張ってあって通れなかった。だが篤也には関係ない。光の速さならば、そんなもの簡単に破れる。
木の壁に突進して、壁を破壊すると、奥には森先生が立っていた。
「ケリつけよう、森。」
「生意気だ高橋 篤也ァ!!!」
学校じゅうが騒ぎに包まれた。普通ならば、今は国語の授業中。なのに廊下では生徒の悲鳴が飛び交っている。厨二病が想像する、犯罪者が襲ってくるというやつでも、こうもカオスにはならないだろう。
そう、まさにカオスだった。悲鳴、怒声、高笑、喜怒哀楽が混ざって、感情がおかしくなってしまいそうだった。
「休み時間になったんですかね?」
保健室の朝日奈先生が白々しく言う。コブラは、寝ているベッドのカーテンを開き、布団を取った。
「どうしましたか?コブラさん。」
ニコッと朝日奈が言った。一般人が見れば美しいとなる美貌であったが、笑顔の瞳の奥はちっとも笑っていなかった。
「こっちのセリフだ。朝日奈 百恵……!」
コブラはそう言うと、口から「シャー……」という低い音を鳴らした。すると保健室の壁の至る所から、キングコブラが壁を這って出てきた。
「……どこで知ったのかしら……余計な探りを入れるんじゃないわよ……!」
【現在戦闘中】
『杉野 凌也』VS『羅久司 動』教頭
『高橋 篤也』VS『森 駿司』
『飛智 ジシカ』VS『木山 圭』&『針月 部太』&『砕斬 仁志』
『クロ』VS『腐負不 腑譜振』&『麻神 斬』&『明石 東紀』
『コブラ』VS『朝日奈 百恵』
そして今また、一つ戦いが始まろうとしていた。
ここは幻の『第六廊下』。扉をこじ開けるように入った朝宮校長は廊下の奥に目を向けた。
「対面するのは初めてだな。狂い人。」
「会うのはこれで最初で最後になるがな。」
第十六話 終
今更どうでもいいんですけど、間違えて一話が終わる時の「第〇話 終」ってやつを五話からずっと「第〇話 完」にしてたので、今回直しました。




