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悪魔堕ちの聖女様 〜転生お嬢様が推しの未来を切り拓いて魅せます〜  作者: 鰐之川 犬太郎
Ep.1 お嬢様、異世界転生致しました。

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44/81

<第41話> お嬢様、大公家はほぼ初見だったもので。

この王国で、王族に続いて尊ばれる血族。

 それは"エウノミア大公家"。


その始まりは、建国史上では始祖の補佐を務めたとされ、女神が創った2()()()()()()()()()()()とされている。

後に王の子と補佐の子が婚姻を結んだことで、大公の爵位を賜る御家となったという。

王家に次ぐ魔導適性を持ち、代々大公家当主が"魔導大臣"を勤めるのが慣習となっている。


"魔導大臣"とは、各魔導分野の"宮廷長官"の更に上で統括する地位らしい。

我がクロートー公爵家は、当主のお父様が現宮廷魔法長官であり、つまる所その上司に当たる。

魔導三部門に対する正しい知識・判断力などが求められる難しい役職であり、それを代々務め上げてきた大公家は、王家に次ぐ権力を持つとも言われる程だ。


現当主は、アルダー・リヒト・エウノミア様と仰ったはず。

その娘に当たるのが現王妃であるヴァイオラ様と、クロートー公爵家夫人のダリア様だ。


しかしアルダー閣下は奥方様が亡くなって久しく、それ以降は独り身を貫いている御方。

息子には恵まれず、娘も嫁いで行ってしまったが為に、まどプリのヒロイン"エレナ"の後見人でもあった。

但し後見人となったのは、エレナが魔導学院:高等部に入学した際であり、今現在の情報は無いに等しい。

それに加えてゲーム本編でも、公式行事で映り込みくらいの出演しかない、ご多忙な方だったと記憶している。



ゲームを周回した私でも、知り得る情報はこれだけ。

他の御家や人物に比べれば、ヒロインに関わる立場でありながら、かなり情報が少ない。

だからまさか、そんな御家と面識がある者がいるとは思わなかった。




「ねえバトラー、アルダー閣下とご家族はどんな御方なのかしら」


純粋に、とても気になる。

ヒロインの強い後ろ盾でありながら、謎に包まれた御方。


いや。確か…


「"氷土の主君"と謳われていたかしら」


「お嬢、よく知ってるんすね。社交界に出してもらえないご身分なのに」


そのフレーズが、何となく頭に浮かんだ。

私が忘れている、ゲームの記憶なのだろうか…?



「このニマ=ティオシス王国は、その領土に魔物が出没するのは稀じゃないんすよね。その脅威から民を守るのが、貴族のお務めっす。その魔物の群生地、最も活発だと言われているのが〜?」


「北方領土…だったかしら」


「またまた正解っすね〜!やっぱ悪魔だから魔物とか分かっちゃう感じなんすか?」


「またそんなこと言ってると、セバスにどやされても知らないわよ」


「ウッ…」


バトラーは周囲に目線を泳がせ、わざとらしい咳払いで場を凌ごうとする。



「え〜、それで、北方領土なんすけど。あの辺りは魔物が出るだけじゃなく、寒冷化も進んでるんすわ。王都と比べたら、そりゃもう寒いっていうか!とにかく、暮らしていくにはとても不便な土地なんすよ」


「今話に出たってことは、その厳しい土地を治めているのが、アルダー閣下なのかしら」


「そーいうことっすね。代々魔法適性も高く、魔術的技術にも長ける御家柄ですんで、それを引き継ぎ、その地を見事治めていらっしゃる。その上、絶世の美丈夫だと社交界ではその容姿も大人気!実際にかなりハンサムな方なんすよね。



「…故に"氷土の君主"と呼ばれてるってなわけなんすよ」



「へぇ…お若くはないであろう御方なのに、そんな人気があるなんてね」


「やっぱ血筋なんすかね?他のお方よりもお若い印象はあったっすよ。奥方様が亡くなってからというもの、その人気が再燃しているとかなんとか」


「あら、奥様が…再婚はされてないのね」


「あ〜。アルダー様は奥方様をそりゃもう愛してらっしゃいましてね。亡くなった今でもその愛は変わらないんだとか。他の方が押し寄せるわけなんすけど、ま〜ぁご興味がないらしいっすね。皆さん玉砕したってよく聞きますし」


「純愛って感じ…」


「貴族としては、後継がいないもんで困ってるって話もあるんすけどねぇ」


未亡人純愛ハンサムイケメン…属性つっよ…

これは何故ゲームに出なかったのか、という疑問を考えるまである。

出てたら絶対人気出たでしょ…!?

それとも覚えてない? いずれにしても勿体無いって…



「お嬢、どうかしたんすか?あ〜そういう恋愛に憧れちゃう的な?いやまぁそれは分かりますよ、俺も閣下みたいにモテたいなって思ったり…」


「なんでもないわ」


「ウッス…」



「それで、そんなアルダー閣下の娘であるヴァイオラ殿下とお知り合いだったの?」


「あーはい、そうなんすよ。姉さんの仕事を見て学ぶ〜みたいな機会があったんで」


「へぇ、そんな機会があったのね」


「ま〜アルダー様とヴァイオラ様のご好意あってっすけど。特に奥方様が好意的で、迎え入れてくれたんすよ。『良い使用人になるなら、より良く多い経験を』ってねぇ」


「…まだご存命だった頃、なのね」


「えぇまぁ。既に床に伏せってらっしゃいましたけどね。俺もまだ小さかったんで、仕事見て覚えるのに必死で、あんまりお会いしたこともなかったんすけど」


「そう…」



「まぁそんな感じで、ヴァイオラ様にはよくして頂いたんすよね。今でも茶会にたまには顔を出したらどうだって、ダリア様からも言われてますけど」


「あぁ、夫人…ダリア様とも仲が良いの?」


「そういやそっすね。仲の良い姉妹でしたし、妹君のダリア様とも元々ご縁があったっていうか。まぁ俺はクロートー家に仕えるのは決まってたんで、今もってのは偶然なんすけど」


「なるほどねぇ」




「…お嬢様」


「はい?どうしたの、セバス?」


「バトラーめに、他に聞きたい事があったのではありませんか?」


「あっ…えっと…」


いけないいけない、私としたことが。

ついエウノミア家に興味が出てしまって…話がやや脱線…

王子殿下のことを失念……


…大丈夫。まだ巻き返せる。

というかむしろ、拾える情報は全部拾っておきたいというか。


「これから聞こうと思ってたの!!」


 …ね? 大丈夫よ。うん。

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