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悪魔堕ちの聖女様 〜転生お嬢様が推しの未来を切り拓いて魅せます〜  作者: 鰐之川 犬太郎
Ep.1 お嬢様、異世界転生致しました。

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35/81

<第33話> お嬢様、夜分に秘密の考え事です。

今日は怒涛の1日だった、と思う。

アベルが訪ねて来た時もそう思った気がするけれど、今日はより多くの人が訪ねて来て。多くの出来事があって。

やっぱり、静寂が哀しく思えてくるくらいには。




セバスに忠告を受けた私達は、そりゃもう急いでやり残していたことを片付けた。

とは言ってもメイド三人衆は真面目で、手を抜いたりはしなかった。

湯浴みでもしっかりマッサージまでされたくらいだ。

しばらく寝込んでいたからと、念入りに手入れしてくれた。

おかげで気分もスッキリさっぱり

 …とまではいかないけれど、軽くなったのは確かだ。


その後も4人で夕食を食べて。

同じ4人なのにね、食堂での昼食よりもずっと充実していた。

お互いにくだらない話をして、美味しい食事を取って。

やはり食卓は、明るいに限る。



そんなこんなでメイド達が仕事を終え、夜も更けたところで。

3人は当然ながら「また明日」と言って、去っていった。


良くも悪くも話の尽きることがない人達だから、居ないと少し、もの寂しさがある。

私が転生してから日は浅い。

そもそも彼女達に出会ってからも日が浅いのだが、既に彼女達が居ることが、自分の中で前提になりつつあるのかもしれない。

今度買い物に行く時は、私も一緒に行けたらいいな。

そんな風にすら、考えてしまう。

だってきっと、楽しいから。



布団に潜りながら、1人で考えを巡らせる。

今日はもうすっかり遅くなってしまったから、ルリと話そうにも、また「早く寝なさい」と怒られかねない。

無理に話そうとして「もうあなたと話さない」と言われても寂しいし。

今晩は諦めるしかないだろう。



今日はこうして、1人で色々考えるのも悪くない。

ちょっとした目標が出来たから。


この世界のことを、もっと知りたいんだ。


ロベリア様のことだけじゃない。

魔法や魔道具だけじゃない。


もっと広い世界のことを、知りたいんだ。



…折角大好きだった世界に転生したんだ。

楽しまなきゃ、損だよ。うんうん。


それでね、ロベリア様が幸せになれる道を切り拓くんだ。


前世で死んじゃったの、今は少し残念で。

両親を思い出したからかもしれない。

やっぱり恵まれてるとは思えなかったけれど、死にたいわけじゃ、なかったから。



なら、さ。

まどプリの最新作、続編の世界までは生きなきゃ。

プレイ出来ないまま死んじゃったんだから、この世界で生きて、この世界でそれを見よう。


続編の世界に、きっとロベリア様は居ない。

主人公や攻略対象達に、()()()()()()()()()()から、未来には居ない。

そういう運命にある、ゲームキャラクターだと、私は知っている。


けれどロベリア様は、少なくとも私の前では、()()()()()()()()

だから、ロベリア様…

 ルリには『あなたはゲームのキャラだ』なんて言わない。

 ましてや『殺される役回り』だなんて、以ての外。

私だけの、秘密にしよう。

この先は私だけの、内緒のお話。



でも、黙って殺されてなんかやらないんだから。

そうよ私。

しぶと〜く生きて、幸せになるの。

ロベリア様にも誓ったんだもの、幸せにならないなんて手はないわ!!


でもそれを実現するには、現実的に考えて、どうするか…。



やはりその(キー)になるのは、攻略対象達

 ー 特に『ノワゼット・エクラ・ニマ=ティオシス 第二王子』だろう。



彼は、ロベリア様の婚約者だった。

今からそう遠くない未来に、同様に婚約が果たされるだろう。

えっと、時期は…

記憶が確かなら、7歳くらいだったと思う。

となると、今から2年経つか経たないかの時期になる。


それまでに、どう立ち回るべきかを考えておく必要がありそうだ。

何故かと言うと、


ロベリア様の悪魔堕ちの発端は、ノワゼット王子に起因するから。



ノワゼットはどのルートでも共通で、ロベリア様を『悪魔だ』と糾弾する。

え、と。どんなシーンだったっけ。

ヒロインのエレナの前で、他の攻略対象も居たのは覚えてる。

あとは…銀髪の人、も居た気がする。誰だっけ。


まあ簡単に言えば、ゲームの重要人物の前で、

 「〜〜しているのが証拠だ!悪魔め!!」

…みたいな感じだったと思う。

何十回とプレイしたのに、なんでこんなに曖昧なんだろう。


その糾弾がきっかけで、ロベリア様は失意に暮れてしまう。

そうして、皆の前から姿を消す。

それがキッカケになって、悪魔だと断定されて、指名手配されちゃうんだ。


なんというか、たとえ悪魔じゃなくても、傷付くよね。こんなの。

しかも幼馴染で、初恋の人に言われるなんて。

乙女心とかそういう問題じゃない、人間としてって感じ。


そりゃ、逃げたくもなるよね。

私も、婚約者が別の人を愛していると知った時、都合のいい存在でしかなかったと知った時、ショックだったもの。

彼を特別愛していなくても、だよ?

それが愛していた人なら、尚更思うものはある。



えっと、それでその後。

人気のない場所で1人で過ごしていたんだっけ。

そこが元々お屋敷だったこともあって、ゲーム的には『魔王城』みたいな扱いだったかな。

悪魔になったロベリア様は、ゲーム本編のラスボスだったから。



()()()()()()

どうして? いつだ。それは。

ノワゼットに糾弾された時点では、ロベリア様のスチルに変化は無かった。

()()()()()()()()悪魔と呼べる存在になってはいなかった。


なら、どこで?

なにが、原因で?



そ、うだ。

ロベリア様視点のファンディスクがあったはず。

全てのセリフを丸暗記するくらい、プレイしたはず。

そこには全てが描かれていたはずだ。

6歳になる少し前から、悪魔になるまでの、彼女の全て。

ヒロインも知らない、王子様も知らない、悪役令嬢の舞台裏。


…なのに。 なのに、さ。



チリっと、頭の節が痛む。


()()()()()()()()()()


しかし、今は。



…それを、思い出せない。

あれ、どうしてだろう。いつから忘れていた?

ただただ、頭が、痛むだけ。



どうしてこんな大切なことを忘れていたのか。

忘れていたことに、今になって気が付いた?




どうして、だろう。

私は何十回とプレイしたはずのゲームの内容を、

本編を、鮮明に思い出せない。


それどころか。

ロベリア様の輪廻の輪、その元であろう"ロベリア視点ファンディスク"に関しては、そのほとんどを思い出すことが出来ない。


これは、ゲームの知識だけでは、

太刀打ち出来るとは、最早思えない。


だってその知識が欠けていると、今になって気が付いたから。

生きて、いけるだろうか。

唐突な不安から逃げるべく、私はその夜を、もう終えることにしたのだった。

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