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悪魔堕ちの聖女様 〜転生お嬢様が推しの未来を切り拓いて魅せます〜  作者: 鰐之川 犬太郎
Ep.1 お嬢様、異世界転生致しました。

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22/81

<第22話> お嬢様、知らせを受け取ります。

「え…皆様どうしてお揃いに…?」


未だ眠気まなこのローラは、自分の目の周辺を軽く擦る。

そしてその視線の先に、目を覚ました私がいた。


「お嬢様!?もう、お目覚めならお声をかけてくだされば宜しかったのに!!」


そう素っ頓狂な声を上げて、跳ね起きる。

それを見て、また皆思い思いに笑い声を上げる。


「み、皆様も起こしてくださらなかったんですか!?」


それを聞いたカミラは、すかさず喝を入れる。


「あら、ローラ?私とジェシーは貴女にお嬢様のお側を任せて、外の仕事をしていたはずですよ。何故貴女がお嬢様のお目覚めに気付くのが、この中で一番遅かったのでしょうね?」


「そ、それは…お布団が暖かかったものですから…」


「冷たいお布団があるものですか!」


そのやり取りで、また笑う。

もう皆、元気を取り戻したようだ。


ローラには少し悪いとは思うものの、あの騒音の中起きなかったものだから、ついどうしたら起きるのかと注目を集めさせてしまった。

今度のティータイムでは、彼女の好きなお菓子を分けてあげることにしよう。

そう心の中で、ひっそりと決めておく。




「皆様ごめんなさいね、私が倒れたせいで苦労をかけたでしょう?」


そう言葉を投げると、真っ先にカミラが反応する。


「いえいえ、とんでもございません!私の不注意でお怪我をさせてしまい、大変申し訳なく…」


「あれは事故よ、仕方がないわ。それに倒れた私の面倒を見てくれていたのは、貴女たちでしょう?感謝こそすれ、責めることなんてないわ」


「このカミラ、お嬢様の寛大なお心に感謝致します」


「ローラとジェシーも、面倒かけてごめんなさいね。ありがとう」


「も、もったいなきお言葉です…」


「とんでもございませんわ、お目覚めになられてなによりですもの」



これでメイド三人衆にお礼は言えたわけだが、そういえばどうして…


「ところでアベル、貴方はどうしてガードナーに抱っこされていたの?」


「えーっと、それはね。おねーさまに、おみまいのお花をえらびたくて、ガードナーのところに行ったんだ。そうしたらカミラさんと、お仕事のお話し中だったから、じゅんばんまちでそこにいたの!」


「そこにジェシーが来たから、一緒に来たってことね」


「うん、そーだよ!ジェシーさんったら、すっごく早く走って来たんだから!!」


「そ、そんなことありません!」


アベルに名前を挙げられたジェシーは、即座に否定しようとする。

「キャー!!」と叫んで走っていったことは、みんな知らないようだ。

ジェシーにはお世話になっただろうし、そこは私の中での秘密にしておこう。


「ガードナーもありがとう、アベルを抱っこしてくるのも大変だったでしょう?」


「いンや、まだまだ坊ちゃまは仕事道具に比べりゃ軽々ですだよ」


そんな中で、カミラが私に言葉を投げかけてくる。


「お嬢様の方はご容体はいかがでしょうか?お医者様のお話では、特に異常はなく、すぐに目覚めるだろうと仰っていらしたのですが、それから1週間眠っておられましたもので…」


うーん、体を動かすのはまだキツそうだ。

メイドの三人にはそのことで面倒をかけるだろうし、先に行っておいた方が良さそうだ。


「正直なところ、まだ体がうまく動かないの。1週間も眠っていたのだから、体が怠けてしまったのだと思うわ」


「おねーさまのお体、なまけもの?」


「そうよ、たった1週間で…困ってしまうわ」


敢えて大袈裟に、冗談混じりに言っておいた。

カミラの方に目線をやれば、縦に小さく首を振ってくれた。

良かった、少なくともカミラは察してくれたようだ。



そうしていると、ドンドンドンと壁が叩かれる。

ずいぶん乱暴なノック。

誰か来たのかと扉に目を向けて見れば、なんと扉は開け放たれたままだった。


「コホン、皆様御喜びになるのは分かりますが、次からは扉は閉めて下さいますよう…」


そう言って姿を現したのは、セバスだった。


「なんでも他の使用人から、お客人がたが廊下を走って行かれたとお聞きしましたので、このセバスめも言伝と共にご挨拶に参りました」


そう前置きをしながら部屋に入り、しっかり扉を閉めてから、いつも通りの礼をしてみせる。


「ロベリアお嬢様、寛解とは行かぬようですが、まずはお目覚めになられて安心致しました。どうか今はご無理のないよう、ご自愛頂けますと幸いでございます」


「セバスまで来てくれるなんて思わなかったわ、お言葉は有り難く胸に刻んでおきます。流石はお屋敷の異変を見逃さない、一流の執事でいらっしゃるわ」


「フォッフォッ、お嬢様は人を煽てるのがお上手ですな」


「あら失礼ね、本心を伝えただけよ?」


「それはそれは、ご無礼を…このセバス、どうやらお嬢様にはしてやられてばかりですな」


そう言い、また柔らかく笑う。

しかしセバスの言葉は、そこでお終いではなかった。



「お嬢様、ご容体が優れぬ中大変申し訳ございませんが、至急こちらのご確認だけ頂いてよろしいでしょうか?」


セバスは先程までと打って変わり、厳格な声でそう言う。

するとどこから取り出したのか、銀のトレーの上に乗った封筒を見せる。

それはどこの家門から分かるように、ご丁寧に封蝋が表に向くように差し出された。



裁ち鋏に紬糸、ザクロの花の紋章。

これは…


「王族からのお手紙ね?」


「左様でございます。近日中に王妃殿下と奥様で茶会を開催する為、お子であるロベリアお嬢様にもご同席願いたい、との言伝を預かって参りました」


セバスはその表情を、少しばかり曇らせる。


「お嬢様はお体が回復した後のご参加かと思います。ですが王子殿下ご両名も参加されるとの事でしたので、お話があった時点でお伝えした方が宜しいのではないかと思い、こうして参った次第でございます」


「…そう、ありがとう。助かったわセバス」




まだ体が回復していないのは幸か、不幸か…

ローレンスはともかくとして、ノワゼットも同席する。

ロベリアとしては初対面ではないが、私ことミヤビとしては初対面だ。

あの暗闇の中でロベリア様から頂いたお言葉が、まだ小さな胸に響く。

転生して初めての茶会、さてどうするべきか…。

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