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悪魔堕ちの聖女様 〜転生お嬢様が推しの未来を切り拓いて魅せます〜  作者: 鰐之川 犬太郎
Ep.1 お嬢様、異世界転生致しました。

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17/81

<第17話> お嬢様、"ひとり"は卒業致します。

拝啓


慣れるのに時間がかかるかもしれないと思った私へ


確かに裸を見られるのは、同性であっても恥ずかしいものでした。

しかしその後のお風呂は絶品でした。

泡が多く、香りも良い湯船。

丁重に()かれていく髪の毛。

そしてなんといっても、顔や肩、手足から指に至るまでのマッサージ付き。

これは心身ともに、健康になる。

心の洗濯と呼ぶに相応しいものでした。

こんな経験ができる、しかも毎日だなんて…。

裸であることには慣れないかもしれませんが、その先のパフォーマンスの魅力には抗えませんでした。


敬具




湯船から実に爽快な気分で戻ってきた私は、すっかりお肌ツルツル髪の毛トゥルットゥルの美少女。

お湯の温度も実に心地よくて、魔法で温められたからなのか、湯冷めする事もなく、ホクホクの状態。

メイド三人衆も一通りの仕事を終えて満足しているようで、全員笑顔で部屋に戻ることとなった。


カミラは魔術に長けているのか、髪の乾燥まで魔術で行ってくれた。

彼女曰く、『年の功』だそう。

平均寿命が長く、老化も遅い王国民の中で、おばあちゃんに見えるカミラ。

…これは実年齢を知ったら、目玉が飛び出すような数字であっても納得してしまうかもしれない。



メイドたちは、一通りの仕事を終えると、部屋の中で待機していた。

物を整頓し終えた後はほとんどやる事もなく、立っているぐらいしかすることがない。

新しく作ってくれた湯浴み用の部屋に対して、この部屋は実に簡素なのが大きな理由かもしれない。

労って椅子に座らせようにも、椅子だって一つしかない始末だ。


ただ少しだけ、明確に変わったことがある。

それは『一人の食事』でなくなったことだ。

朝食の際、私の朝食だけが運び込まれ、昨日と同じく一人で食べることになった。

しかし食べている間も、メイドたちは側に控えていた。

そこで食事を共にして貰えないだろうかと、私から提案したのだ。

メイドたちも、私が一人で食事していることは気になっていたようだった。

特にジェシーに関しては、食事風景を改めて目の当たりにしたことで、ひどく動揺していたほどだ。

そうして私のメイドとして、食事を共にすることも彼女たちの仕事の一つとなった。

本来食事などの際に与えられる休憩時間は、別途交代で休んでもらうという形で。

私がそれらの内容を紙に認め、それを持参してセバスからも許可を取って貰っている。



そうして私たちは、四人で椅子を持ち寄り、午後のティータイムを嗜んでいた。

実に穏やかで、平和な茶会だった。

お菓子は何が好きだとか、お茶はどこ産が香りが良いのだとか。

そんなごく平凡な会話を楽しんだ。

メイド達は私の所作に舌を巻いていたが、私こそ彼女らの知識を分けて貰うことが楽しかった。



そんな中だった、扉をノックする音が部屋に響いたのだ。

すかさずローラが応対に向かったが、朝に続き、昼の訪問者もセバスだった。


セバスはまたも謝罪を含めた仰々しい挨拶をしようとしていたので、それは私が制した。

要件は何かと問えば、どうやら今朝伝えようとしていた事を伝えに、再び部屋に訪れたとのことだった。


セバスは今朝からのことについて、説明を始める。


「私めはお恥ずかしい事に、いつしか傲慢になっておりました。それを気付かせてくれたのは他でもない、アベル坊ちゃまとロベリア様でございました。それを踏まえまして、何かできる事はないかと模索させて頂いたのです」


「それが隣のお部屋?」


「そちらはなんとか実現できたものの一部にございます。」


「一部?他にもあるのかしら」


「はい、多くはありませんが…先ずはおっしゃる通り、昨日のうちに部屋の改装を行い、お嬢様専用の湯浴み場を作らせて頂きました。ですが急ぐ為に多くの者を動員致しました故、使用人の出入りが多かった事でしょう。もしその点でご不快な思いをなされていたら申し訳ございません」


ああ、そういえば。

確かにアベルと歩いた庭園から部屋への帰路では、部屋の周辺でも使用人を何度か見かけた。

笑うような者もいた気がするけれど、あの時は気にしていなかったし、そんな不確かなことでの処罰を望む気もない。


「特になんの問題もなかったわ」


「左様でございますか、それであれば何よりです」


「他と言いますと、この3名のメイドを専属として選任した点でしょうか。先ずは立候補者を募り、専属の三名のみで湯浴みが出来るようにと配属させて頂きました」


なるほど、通りで湯浴みの役割分担が綺麗に分かれていたわけだ。


「それは見事な人事だわ、おかげで湯浴みは文句の付けようがなかったもの」


「それは良うございました。あまり多くの人員を割く事は出来ませんでしたが、ご満足頂ける者らであったならば幸いでございます」


私とティータイムを続けていたメイド三人衆に、セバスは目配せをする。


「ロベリアお嬢様は貴女がたを評価してくださっているようですな。今後も、その評価を裏切る事がないようにお仕えするように」


その言葉の最後、一瞬彼の目が鋭くなった気がする。


おかげで「当然です」と息巻くローラの後ろで、ジェシーがむせ込んでしまっている。



「まぁセバス、その辺りにしてあげて頂戴」


「お嬢様の仰せのままに」


「ところで、内容がそれだけであれば、貴方がここまで訪ねてくる必要があると思えないわ。他にも用件があるのかしら?」


「これはこれは…お嬢様のご慧眼には感服致します」


そう言って、セバスはもう一度礼をする。

そして姿勢を正すと、話の続きを語り始めた。


「先ずはお嬢様には謝罪を」


「謝罪?もう受け取ったはずだけれど…」


「いえ、別件でございます。本来私めはお嬢様のお部屋を在るべき場所、2階に移す事を進言致しました。しかし家令のバトラーは頭の硬い男でして…そちらの許可を得る事が出来なかったのです。大変不甲斐のうございます」


部屋を2階へ?

移すのも面倒だし、私は案外この部屋を気に入っている。


「この部屋で差し障りないわ。私はこの部屋に差し込む朝日が好きなの」


「そうでしたか、これは逆に無礼となってしまうところでございました。しかしお嬢様、代わりと言ってはなんですが、別の許可を頂いております。こちらはお役に立てるやもしれませぬ。」


「まぁ、一体どんなものかしら」


「はい。この部屋の近くには、使わなくなった家具を収納している部屋がございます。まだまだ使える新品に近いものから、凝った意匠のアンティークなどの装飾品も帳簿にございました。お嬢様のお部屋には、家具が少なくお見受けします。宜しければ見繕われてはどうかと思ったのです」


「特に椅子など、ご入用ではないでしょうか?」


そう言って彼は、蓄えた髭を撫でながらフォッフォと笑う。


うぐ、確かにこの部屋はあまりに質素だ。

家具自体の数も、片手に収まってしまうほどだ。

彼の言う通り、そもそもの数が足りずに食事の度に持ち寄っている椅子に関しては、あった方が良いだろう。

飾り気の一つもなければ、趣味が表れているようなものもない。


「セバス、それは私たちで自由に見繕って良いのかしら?」


「ええ。既に許可は頂いておりますから、持ち出したもののみ、メイドを通じてお伝えくだされば充分かと」


「そう、ならば何か良いものがないか探してみるわ。ありがとう。」


「滅相もございません。お気に召されるものがあれば、幸いでございます」


そう言うと彼は深く礼をし、別の仕事に戻る旨を告げ、立ち去っていった。




セバスが立ち去ったその後、メイド達は思い思いの反応をする。

しかし全員に共通して言えるのは、「目指すは掘り出し物発掘」という認識。

これはまた新しい楽しみができた。

一体どんな掘り出し物が眠っているのだろうか、そう考えただけで胸が高鳴る。


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