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エースの矜持 その5

 そこからのエルウッドさんの活躍は圧倒的だった。


 どんな手強いモンスターが立ちはだかろうと、全て指パッチンで一瞬のうちに倒してしまう。


 アイスゴーレム、スノーサキュバス、アイスガーゴイルにブルーミノタウルス、はてはこのダンジョンで最強レベルと思われるアイスリザードでさえもだ。


 私達はヒーターウェアでもこもこになった格好のまま、無人の野を行くが如くのエルウッドさんの後をトコトコと付いていくだけ。


 かつてこんなにもらくちんな討伐はあったであろうか……いや、無い!!


 ってか、ほんとにエルウッドさん半端ないわねー。


 すると、フロア14の探索を1時間も過ぎた頃……「おい、原因分かったぞ」とエルウッドさん。


 そういってエルウッドさんの指差す先には、大氷柱の中に眠る、ものすごくでっかいスノードラゴンが……ヤッバ、こんなんいるの反則じゃね?


 ちょっとこれは我々の手に余る代物ではない。たしか、これって軍隊の要請が必要なモンスターですよね。


 確か以前どっかの街でスノードラゴンがやって来て一夜のうちに町のすべてが凍り付いてしまったとかしまわないとか。


 あっ、そっか、エルウッドさん達が昔シンさん達とやった『スノードラゴンの掃討』ってそれの事?


 だったら、こんな民間の5人パーティーなんかじゃ絶対に太刀打ちできないって。


 じゃあ、一旦帰りますか?と踵を返そうとしたところで……


「んー、これくらいならいけるんじゃね?」とノエルさん。


 いやいやいやいや、バカ言ってんじゃないの。モノには限度ってもんがあるでしょう。どう考えてもこのダンジョンのボスって言っても過言じゃないスノードラゴン。


 もっとも下のフロアがあるので、この下にはさらに厄介な魔物がいるのは確かなのだが……


 下のフロアに行くにしても、幸い氷柱の中で眠っているアイスドラゴン。わざわざ火中の栗を拾うようなことをしなくてもいいのではないか。


「じゃあ、間取って、ほっぽって下のフロアに行くってのはどうですか?」と私。


「そうすると、このスノードラゴンからマナが出っぱなしだから他の探索者に被害が出るぞ」とエルウッドさん。


 それは確かに寝覚めが悪い。


 うちのパーティーにエルウッドさんがいたから楽勝でここまで来れたけれど、もし居なかったとしたら……きびしいなー。


 それに『働くマン』で買ったヒーターウェア等の諸々が無ければ私達もここまでは来れなかっただろうし……


 すると、「あの『スノードラゴンの掃討』の時に比べりゃ、これ、子供の個体だろ」とベイルさん。


「まあ、子供かどうかは分かりませんが、あの時に比べてもだいぶ小さいですね」とナジームさん。


「いけそじゃね?」

「いけるんじゃん?」

「いってみましょうか?」

「いざとなれば、『エスケープ』頼むわ」


 そんな感じで1分ほどの作戦会議の末、このフロアのボスであるスノードラゴン(睡眠中)を倒すことに決まったのだ。


 ……私、もう帰ってもいいですか?

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