お金が無いの! その2
「というわけで、第一回予算会議を開催します」
(ワードンドンパチパチ)
「はい、静かに!」
(ピタッ)
皆さんのテーブルの上には、先程まで飲んでいた『スーパー カライ』は取り下げられ、紙コップの水だけがおかれていた…………ゴポンッ。
「というわけで、議長を務めさせていただきますのは私、サファイヤ・ローレンスになります」
(ワードンドンパチパチ)
……果たしてこの人たちは、予算会議と言うものを分かっているのだろうか。
「というわけで、正面のスクリーンを見てください」
(オオオオー)と声が上がる。
私は、スマホアプリの『デポデポ』を立ち上げて、口座残高をプロジェクターで正面のスクリーン(ただの壁)に写したのだ。(ドヤッ)
ちなみに先日無料でもらったこのスマホ『デポフォンX』にはプロジェクター機能が内蔵されていたのだ。(すごいねー、まじびっくり)
「順調に減って来てますねー」とため息をついてナジームさん。
「えーっと……半年で2/3使っちゃったのか!?」とびっくしのノエルさん。
「んー……いまだに、ピンとこないんだけど、1マニーで100円だっけ?」と首を傾げるベイルさん。
「まあ、厳しいわな」と先程、フードコートで既に内容を知っているエルウッドさん。すると……「アレ?なんかこれ、口座の毎月ちょっとずつ金増えてねーか?」
「はぁ、そうなんですよねー。なんか、毎月10万円前後の入金はずーっと続いてるんですよ、不思議なことに」と入金実績の所を指でいじる私。
「誰からですか?」とナジームさん。
「えーっと、振込先が『ぐるぐる』ってところなんですよねー」と首を傾げて私。
実は以前から気が付いてはいたのだが、毎月ずーっと、10万円前後の入金が、この『ぐるぐる』ってところから振り込まれているのだ。
一体何なんだこの『ぐるぐる』という振込先は……
「ちなみに、この『ぐるぐる』さんってどなた?」とナジームさん。
「さぁ……」と首を傾げる私。
「ってことは、アレか。ちゃんと節約すると、毎月10万円以内で納めれば、ずーっと『グランド デポ』で買い物続けられるって訳か」
「……まぁ、そういうことになりますね」
すると、(ザワザワーザワザワー)とそこかしこでおしゃべりが始まる。
「えーっと、コレってもしかして金の卵を産むカード?」
「いや、金の卵の割には、毎月10万だとしょぼくねーか?」
「金の卵っていうより、銀の卵?」
「銀の卵って言ったら、10万あったら毎月『スーパーカライ』と『パワフルゼロ』好きなだけ飲めるな」
「はいはいはい、おしゃべりはそこまでー!!」(ピタッ)「はい、よろしい」
「まあ、そう言う訳で、10万円前後の入金があるので、節約しながらダンジョンの攻略はできなくはないのですが……私の考えといたしましては、なんとかして、こちらのお金をあちらに持ってけないかなーと」
「「「「うんうんうん」」」」
「だよねー」とノエルさん。
「正直、こっちで金使うのって、『グッドルーザー』の飯代と『アニータ』の所の宿代くらいだもんなー」とベイルさん。
確かに、それ以外のものは大体『グランド デポ』でそろえている。
そして、この倉庫においてある(あっ、倉庫って言っちゃった。秘密基地なのに……)『グランド デポ』で買ってきた大型金庫には私達が『ダンジョン204高地』で稼いだお金がわんさかと入っているのだ。でも、使い道がねー……
「まあ、ベストといたしましては、こちらに貯めてあるお金をあちらの世界で使えるようになることですが、そのためにはどうしたらいいのか?と言うのを皆さんに考えてもらいたいのです」と私。
「「「「うん、うん、うん、うん」」」」
「たしかに、それが出来たら、言うこと無いのですが」とナジームさん。
「なーんか、いい方法無いのかねー」とベイルさん。
「まあ、こちらの世界の金とか宝石とかを向こうで買ってくれる人がいたらいいんだけれどねー」とノエルさん。
「「「「だよねー」」」」とみんな。
まあ、皆さん考えることは大体一緒なのだ。
「とりあえず、皆さんもいろいろ考えてください。私もなんかいい方法考えますので」
「「「「りょうかーい」」」」
そんな感じで、第一回目の予算会議は終了した。




