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お金が無いの! その1

 私はスマホを取り出して、『グランド デポ』のアプリ、『デポデポ』をタップする。


 そして口座残高を確認すると……ハァーとため息を一つ。


 気が付いたら残高が100万円を切っていた。


 ……どうしよー。


 いや、心当たりはいろいろあったんですよ。『デポ吉』君もけっこうしたし、電動キックボードに、コンパウンドボウ、それに米軍放出品の暗視スコープに赤外線スコープ。なにより、『グランド デポ』に来るたびにビールやら食べ物やらを見境なく大量に買っていたし……


 とりあえず、今日は気持ちばかりの節約として、普段なら『グランド デポ』に来たならば必ず寄っていた「サバンナコーヒー」には寄らず、フードコートの水で我慢している。


 はぁ……調子に乗り過ぎた。そういや、発電機とかバッテリーも結構したよなー。


 すると、「おう、サファイヤ、どうしたー?」と『グランド デポ』のフードコートコーナの名物、1本100円で売っている『デポドッグ』を買ってきたエルウッドさん。


 先日、フロア12を制覇したご褒美に久しぶりに『グランド デポ』に連れてきてあげて、「何でも食べていいですよー」と言ったら、「じゃあ、これ」と名物の100円の「デポドッグ」を指さしたエルウッドさん。


 まぁ、確かに100円で食べられるからラッキーっていやラッキーなんですけど、ホントにそれでいいんですか?


 いいんですよ、もっと値段の高いもの注文しても。


 しかし、エルウッドさんはその100円のホットドックと同じく100円で飲めるドリンクバーをいたくお気に召し、結局その日はホットドック3本とドリンクバーで満足してしまったのだ。


 その上、ノエルさんやベイルさんにいろいろ言われたのだろう。


 なんと、自分から「俺が荷物持つよ」と言ってくれて、買い物のお手伝いもしてくれたのだ。


 なんだよ、やりゃー、できんじゃん、おめーよー。サファイヤびっくし。人って変われるんだねー。


 そんな感じで、エルウッドさんを『グランド デポ』に連れて来ても、200円で済むので、最近では簡単な買い物にはちょくちょくエルウッドさんを連れてきている。



 すると、エルウッドさんは私のスマホを覗き込んで来て、


「ってか、もともといくらあったんだよ、サファイヤ」とエルウッドさん。


「……380万円」


「…………半年で280万円かー、使ったなー、おまえー」


「いや、その中には結構あんたのビール代も入ってんだけれど……」


 私がそう言うと、「ちょっと、コーラお替りしてこよー」と言って席を立ってしまった。ク〇がー!!



 私達はいつものようにショッピングカートをコロコロ転がしながら、ガスボンベやナジームさんの「カットソー」やペットボトルロケットを作るための為のペットボトル、ベイルさんの手斧にノエルさんの矢を作るためのカーボンパイプ、それにあちらでは買えない食料品を購入してると、ふと、エルウッドさんがいつものように『ユウヒ スーパー カライ』を持ってきた。


「うーん、『スーパーカライ』買うの当分やめませんか?」と私。


 いきなりものすごいショックを受けた顔をするエルウッドさん。


「えっ、ダメなの、これ!!」


「うーん、だって、ビールはあっちにもあるじゃないですかー」


「だって、ビールと『スーパーカライ』は違う飲み物じゃん、サファイヤだって言ってただろう!」と魂の叫び。


 いや、確かに言ってましたけれどねー……


「じゃあ、とりあえず、ワンケースだけですよ」とシビアになり切れない私。


「うんうんうん」とまるで九死に一生を得た感のエルウッドさん。


 すると、今度はまたいつものように『パワフルゼロ』を持ってきたエルウッドさん。


「えー、『パワフルゼロ』もやめにしませんか?」と私。


「えっ、もしかして、これもダメなの?」とさっきと同じように、ものすごいショックを受けた顔になるエルウッドさん。


 いや、確かに、仕事終わりに氷を山盛りにしたジョッキに『パワフルゼロ』はたまらないですけれどねー。


「じゃあ、1ケースだけですよ」


「うんうんうんうん」と再び九死に一生を得た顔をするエルウッドさん。あんたどんだけ、こっちのアルコール好きなんだよ。ホント、アル中とかじゃあないですよねー。



 とりあえず、買い物が終わって秘密基地に戻り、みんなで『グランド デポ』で買ってきたお寿司を食べながらお話をした。


「貯金が無くなって来たので、当分、お寿司はやめにします」


「「「「えええええー!!!」」」」


 予想以上の反応にちょっとびっくりな私。


「『スーパーカライ』や『パワフルゼロ』はいりませんから、お寿司はどうにかなりませんかね?」とすっかりお寿司大好きになってしまったナジームさん。


「そうそう、頑張って自分で矢とか作るからさ、『スーパーカライ』とお寿司はどうにかならないかな?」とお寿司とビールという魔の組み合わせを知ってしまい、もう戻れなくなってしまったノエルさん。


「チェーンソー使わなかったらガソリン代とか少しは浮くかな?」と口座残高を心配してくれるベイルさん。


「ってか、こっちのお金を向こうで換金出来たりはしないのか?」と至極まっとうな質問をしてくるエルウッドさん。おやおやまるでリーダーみたいな発言ですね。ってリーダーか、この人。


 というわけで、このパーティーを加わって初めてと言っていい、予算会議をすることとなった。

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