表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/67

宿屋アニータにて その2

 洗濯を終え、就寝前のルーティンに入る私。


 目を閉じて神経を集中して『ハイラー』を唱える……が、何も起こらない。


 そりゃ、そうだ。『ハイラー』が使えるようになったら天からの啓示が下りてくるはずなのにまだ降りてないのだから。


 エルウッドさん達のパーティーに加わって3カ月、レベルは12を超えたというのに、一向に『ハイラー』が使える気配が無い。


 一体いつになったら使えるようになるのだろう。


 てっきりレベル10を超えたら使えるようになるのかと思ったのに、「天からの啓示」は「『GDグランドデボ』が使えるようになりました」だってさ。


 なんじゃ、そりゃ!!


 てっきりバリア系かなにかできると思ったら『GDグランド デポ』ってなんすかそれ?聞いたこと無いんですけど。


 しかも、使用MPが50って、なんじゃい、そりゃ。私のMPマジックポイント、マックスで53ポイントしか無いのよ。

 それ使っちゃったら、「ヒーラー(5ポイント)」使えなくなっちゃうじゃないのよ!!

 しかも、使用できるようになって1週間、一度も休みが無いので試しに使うタイミングすらない。(ちなみにMPは一晩寝ると大体80%くらい回復できます)


 MP満タンになるには少なくとも二日続けての休みか、それこそ、この町の最高級のホテル、王国ホテルinリョージュのスイートあたりに泊まらないとMP満タンなんかになりはしまい。


 まあ、ここの宿屋もそんなに悪くはないけどね。なんてったって素泊まりでもOKなんですから。その上、ここのおかみさんであるアニータさんの料理もなかなか悪くはないのだ。


 そうそう、話は戻るけれど、「天からの啓示」によれば、MP50無い場合は、残りのMP全てと引き換えに部分的に使用できるらしいけれど、嫌ですよ。そんなおっかないこと。


 そもそも、生まれてこの方MPが0になったことなどありやしないのに。大体HPが0になったら死んじゃいますからね。どうなるかもわからない上にどんな効果があるかもしれない魔法だなんておっかなくって使えやしない。


 そもそも、その『グランド デポ』とやらの魔法(もしかしてスキル!?)自体、エルウッドさんはもちろんの事、ナジームさんもノエルさんもそして私たちの周りにいる他のパーティーの人すら聞いたことがないんですから。


 あっ、ちなみに、私がその『グランド デポ』が使えるようになっただなんて言ってませんからね。


 会話の切れ間に「そうそう、ところで『グランド デポ』って魔法(もしかしたらスキル?)知ってますか?」と何とはなしに聞いただけなんですけれど……


 だって、そうじゃないですか、もしエルウッドさんにばれてしまったら、「てめー、ヒーラーすら満足に使えねークセしやがって『グランド デポ』なんてわけのわからんスキル手に入れやがって、おまえ、さてはエセ白魔法使いだな」とか詰められてパーティーから追放されてしまうかもしれないじゃないですか。


 というわけで、わたくし、元悪役令嬢兼、実家から追い出されたホームレス白魔法使いこと、サファイヤ・ローレンスは、パーティーのリーダーであるモラハラクソ野郎こと、黒魔法使いのレオン・エルウッド様様のご機嫌を取りながら今日も糊口をしのぐのであります。やれやれ。トホホ

作品を気に入って下さった方はブックマークをしていただけたら幸いです。

あと、感想も書いてくれたらうれしいなー。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ