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ダンジョン「204高地」

初めての方も、初めてじゃない方もこんにちは。

作者の相沢孝です。

今回、趣味のホームセンター通いが功を奏して、このような作品を発表することとなりました。

気に入ってくれたのならブックマークといいねをよろしくお願いします。

 メーデー!メーデー!衛生兵は大至急ポイント3510に集合せよ!


 メーデー!メーデー!衛生兵は大至急ポイント3510に集合せよ!!



 ダンジョン内に緊急信号が鳴り響く



「サファイヤ!!てめー、なにチンタラやってんだよ、早く出血止めるんだよ!!」



 アンデッドウルフとの死闘を制し、血まみれになった黒魔法使い、レオン・エルウッドが私を怒鳴りつける。



「はい、すいません、エルウッドさん、ヒーラー、ヒーラー、えいえいえい!!」



 私は初級回復魔法のヒーラーを唱えると、出血の止まらないエルウッドさんの右足の太ももに魔法をかける。……が、悲しいことに出血が全然止まらない。


 

 メーデー!メーデー!衛生兵は大至急ポイント3510に集合せよ!繰り返す!

 

 メーデー!メーデー!衛生兵は大至急ポイント3510に集合せよ!!



「あー、もう、使っかえねーな、オメーはよー!!こういう時はとりあえず、紐と布をよこすんだよー!!」



 エルウッドさんはそう怒鳴りながら、私のバックを奪い取ると、中から紐を取り出し、右足の根元をぎゅうぎゅうに縛り始めた。



 メーデー!メーデー!衛生兵は大至急ポイント3510に集合せよ!繰り返す!

 

 メーデー!メーデー!衛生兵は大至急ポイント3510に集合せよ!!



「あーもー、うっるせーなー、ナジーム、とりあえずその緊急信号止めろっ!!」



「大丈夫ですか?助けを呼ばなくても」



 パーティーの最後列にいる僧侶のナジームさんがエルウッドさんに確認をとる。



「ふんっ、どうせ近くになんか、俺たち以外誰もいやしない。それにこれくらいの数のアンデッドウルフなら、俺達だけで十分だ」



 エルウッドさんはそう言いながら傷口の上を包帯でグルグルに巻き始める。



 その間、「うおらぁぁぁー、かかって来るなら覚悟しやがれ」と、戦士のベイルさんがスレッジハンマーをぶんぶん振り回してアンデッドウルフを威嚇する。



「グルルルルー」と私たちに向かって威嚇するアンデッドウルフの集団。



「とりあえず、傷口にヒーラー打っとけ、この役立たずが!!」といつものように私を罵倒するエルウッドさん。


 どうやら応急処置は済んだようだ。



「ヒーラー、ヒーラー、えいえいえいっ!!」



 私はグルグル巻きにした布の上からヒーラーを唱える。とりあえず消毒液の代わりくらいにはなる。……はずだ。



「じゃあ、緊急信号止めますからねー。必要だったらまた言って下さいねー」



 ナジームさんはそう言うと、またさっさと一人で岩陰に隠れていった。



 目の前には相変わらずアンデッドウルフの群れが唸り声をあげている。一体何匹いるのだろうか?



 すると、「サファイヤ、エルウッド、後ろに下がってろー!!」と、戦士のベイルさんがスレッジハンマーを振り回しながらアンデッドウルフの群れの中に飛び込んでいった。



「お前らみんな挽肉ミンチにしてくれるわー!!」



 ベイルさんはそう叫びながらスレッジハンマーでアンデッドウルフを1頭、2頭と倒していく……が、いかんせん、数が多すぎる。



 ベイルさんが3頭目のアンデッドウルフを倒したその時、後ろから4頭目のアンデッドウルフが襲い掛かった。



「ベイルさん伏せて!!」



 それと同時に、エルフのノエルさんが4頭目のアンデッドウルフを弓矢で射貫く。そして、勢いそのままに5頭目、6頭目と射貫いていく。



 すると、アンデッドウルフは標的を変え、今度はノエルさんにとびかかっていく。



「ノエルさん、危なーいッ!!」



 ノエルさんに向かって手負いのアンデッドウルフが襲い掛かって来たその時、



「ノエル、サファイヤ、伏せろー!!」



 出血の止まったエルウッドさんがすっくと立ち上がり、



「くたばれ、この犬っころがぁぁ!!」そう叫びながら、「ファイヤーウォール!!」と、中級火炎魔法を唱えた。



 直後、私たちの前に炎の壁が現れると、残りのアンデッドウルフを一気に焼き尽くす。



「ギャァァァァオーンッッ!!!」



 洞窟の中にアンデッドウルフの断末魔の雄叫びを上げる。



 恍惚とした表情でその燃え盛るさまを眺め続ける黒魔法使いレオン・エルウッド。



 流石は我がパーティーのエースなだけはある。……性格悪いけど。



 ぶすぶすとアンデッドウルフの死肉の焦げる匂いがあたりに充満してくると、段々と気分が悪くなってきた。



 思わず、「うっ、うえっ」と嘔吐き(えずき)始めるパーティー一同。



 すると……「じ、じゃあ、そろそろ、魔力も体力も底を尽きてきましたので、一旦ベースキャンプに戻りませんか?」とハンカチで口元を抑えながらナジームさんが声をかけてきた。



「そうだな、腹も減ってきたことだし」とお腹をさすりながらベイルさん。



「確かに矢の残りも心細くなってきたしなー」と矢筒を確かめながらノエルさん。



「たしかに……こいつの回復魔法じゃ、ちゃんと治ったかどうかも怪しいもんだ。変な病気にかかったらたまったもんじゃない。上でちゃんとした医者に診てもらうことにするわ」と毒を吐くことだけは忘れないエルウッドさん。左足も噛まれればよかったのに…………


「では、一旦、キャンプに戻りますよ。忘れ物は無いですか?」とナジームさん。


「アンデッドウルフのマナ(全ての生き物(モンスター?)が持つ固有のDNAのようなもの)忘れるなよ」とエルウッドさん。


「大丈夫、全部回収済みだよ」とノエルさんはそう言いながら大事そうにキラキラと光るマナを矢が入っている矢筒にしまう。


「では、いったん、地上に戻りますよ。『リターン!!』」


 ナジームさんが杖を掲げてそう叫ぶと、私たちの体が光に包まれいった。

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[気になる点] 一話目の序盤からすでにどういう場所でどういう背格好の人物が何をどうしているかの描写が無さすぎてさっぱり状況がわからん [一言] 作者の脳内には映画のように細部まで情景が描かれているので…
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