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降りやまない雨
衝撃のせいか、心臓が苦しくなった。
「大丈夫か?」
少しよろけた私を、陽太が優しく支えてくれた。自分の身体なのに、いつどうなるかわからない。その恐怖が、人魚を探す焦りに繋がった。
「大丈夫じゃないかも、急いで人魚に会わないと。」
焦る気持ちが言葉になってしまった。
「少し、休んだほうがいいんじゃないか?」
陽太はそう言ってくれるが、休んでいる暇はなかった。
「ユタの所にいかなくちゃ。」
降りやまない雨が、さらに強くなった。
「よし、分かった。」
そう言って陽太は私をおんぶしてくれた。最初驚いたが、素直に甘えることにした。
「傘しっかり持って濡れないようにしろよ。苦しくなったらすぐに言うんだぞ。」
その言葉が凄く嬉しかった。胸の鼓動が伝わるんじゃないかと心配になった。
広い背中だった。なんならこのままこの背中でとか馬鹿なことも考えてしまう。
雨の中、陽太は何も言わず私をおぶって歩いてくれた。
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