表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【本編完結】堕ちた神獣伝~高貴で傲慢なジョゼフィーヌ~  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売
第三章 アタクチはジョゼフィーヌ??

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

54/92

14

いつもお読みいただきありがとうございます!

いよいよ明日の宴で後継者が発表される。

これまでユーインと一緒に寝ながら暗殺者が来たら相手をした。アタクチはオボロほど眠らなくっても問題ない。神力もほとんど使っていないから大丈夫だ。

というかオボロが寝すぎなのだ。あれは異常だ。


「オボロ?」


池の近くの定位置にオボロはいなかった。

まったく、どこ行ったのかしら。オボロが後継者決めなんてしてないことは分かり切っている。だが、それと大臣たちがオボロを利用しようとするのは別問題だ。


「オボロを利用しようとするのは相当難しいけど。一応、探りは入れておかないとね~」


オボロは自分さえ良ければオールオッケーなタイプだから利用などできない。オボロの好物を国中から集めて捧げても、オボロは全部食べてそれで終わりだ。見返りや感謝なんて期待してはいけない。


アタクチはキョロキョロしながら庭を歩き回る。白っぽい何かを視界の端に捉えた。


「オボロ」


こんなコーキューの近くで何してるのかしら。臭くてかなわないわ。

鼻の穴をすぼめて小さくしながらオボロの背中に近付く。


「オボ……」


呼びかけようとして思わず、途中でやめた。

オボロの前に色鮮やかな羽根が散らばっている。見覚えのある色だ。赤と青と黄色。

さらに近づくと、嘴を開けたまま虚ろな目をして動かないオウムの姿も見えた。よくよく見ると、血が出ている。


「どう……いうこと?」


オボロがこちらを振り返る。その目に光はなかった。

神力を使って運命の糸を見る。オウムの運命の糸は完全に切れていた。


二人で呆然としていると、コーキューから数名の人間が走ってきた。


「神獣様!」


なんなのかしら、こいつら。走ってきた人間たちはアタクチではなく、オボロに話しかける。というかオボロに向かって叫んでいる。


「この者が見ておりました! こちらの神獣様がその鳥を殺害するところを!」


走ってきた人間は三人。そのうちの一人がアタクチを指差す。


なるほど、そうきたわけね。

ユーインの暗殺がキアランとアタクチのせいでうまくいかない。アタクチやオボロを利用しようとしてもできない。

それで神獣同士を仲違いか。アタクチがいなくなったら好きに後継者を決められると考えているのか、それとも後継者選びを白紙にしたいのか。宴の前日にこんな形で仕掛けてくるとはね。ユーインの暗殺だけを警戒してたわ。


「ご覧ください! あちらの鳥には神獣様の爪の跡が!」


どうやってつけたのか、オウムの体には三本の爪のような跡がついている。失礼ね、アタクチの爪は五本よ。


オボロはぼんやりとオウムを見ている。アタクチもオウムを見た。

結局、名前はどうなったか聞けなかったわね。きっと『ユンファ』になったと思いたいわ。


アタクチが「殺害などやっていない」と口にするのは簡単だ。でも、ここでは悪手だろう。だって、やっていないことをアタクチは証明できないのだから。


アタクチの美しい毛に赤い血や羽根がついていないとか? いつオウムが殺されたかわからない以上あまり意味がない。


今この場で、呆然状態のオボロがアタクチと人間のどちらを信じるかに懸かっている。

こいつ、体が大きいのよね。人間の言葉を信じて、怒りでアタクチに向かってきたら……勝てるかしら。神力、こいつはどのくらい残っているのかしら。ほぼ使ってないはずよね。


オボロがゆらりと体を動かし、アタクチを見据えた。その目にはほの暗い炎が宿っている。

アタクチは頭の中で計算しながら、どちらに転んでもいいように足に力を入れた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ