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【本編完結】堕ちた神獣伝~高貴で傲慢なジョゼフィーヌ~  作者: 頼爾@11/29「軍人王女の武器商人」発売
第一章 アタクチはジョゼフィーヌ

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いつもお読みいただきありがとうございます!

第一章はこれで完結です!

「僕のプログラミングミスかな。それともバグかな」


神は泉のほとりで泉の映る光景を眺めている。

その傍らには白い大きなヘビが寄り添っていた。シュルシュルと時折出す舌は虹色に輝いている。


「彼女はまだ自分の本当の名前を思い出していないみたいだ。だからネコの姿に戻ってしまうんだね。ジョゼフィーヌだと言うことで自分をネコという存在に縛り付けているんだ」


神はそっとヘビを撫でる。

神の眼下には、白い大きなカラスが地面に叩きつけられる前に白いネコを掴む様子が映っていた。


「僕がせっかくつけた名前を忘れたままだなんて。悲しいねぇ」


大して悲しくなさそうに神は言う。


「ボスコはどうしてあの姿に戻ったのかな? 彼女がボスコを違う名前で呼んでるのも気になるけど、この庭にいる時から彼女は違う名前で呼んでいたし……。ボスコは執着を凌駕する愛を見つけたのかな?」


神に問われた白い大きなヘビはコテンと首を傾げた。


「ふふ。人間界はそんなに居心地がいいのかな。早く帰ってきてほしいものだね。せっかく君がそそのかしてくれたのに」


神は穏やかな笑みを浮かべてパチンと指を鳴らす。泉の映像が消え、あるのはただの水面だけだった。


***


「まぁ! あんたも変身できたわけ?」

「うるさいィ! 知るカァ」

「いいじゃない! 高貴なるアタクチとおんなじ白なんだから。誇りなさいよ」

「うるせェ! お前何様のつもりだァ」

「ジョゼフィーヌ様よぉ!」


白い光に包まれた後、アタクチは白いカラスに体を掴まれていた。

白くて大きなカラス。あら、目はアタクチの大好きなリンゴと同じように赤いわ。

ゼノンも変身できるなら言ってくれれば良かったのに。


城から結構な勢いで出てきた羊たちは各々別れてどこかへ帰っていく。サルや牛もいるわね。城の窓からガの大群が飛んでいくのも見えるわ。

あら、あの鷹。うちにヤギを運んで来たやつじゃない? 今日もあの鷹はヤギを運んでいる。


掴まれたまま飛んで移動して、アタクチの屋敷が見えてくる。

ふと見ると、少し離れた場所に虹がかかっていた。


「あら、虹が出てるわ」

「ほんとだなァ」

「綺麗ねぇ。アタクチほどじゃないけど」

「こんの傲慢ネコォ」

「虹の上で追いかけっこできたら楽しそうね」

「……あァ。そうだなァ」

「あ、ギョクザに座るの忘れたわ! ちょっと戻って!」

「お前ェ! ほんとふざけんなよォ!」



その後のオーケをちょっと紹介しておくわね。

アタクチが引っかいた傷、なぜかいつまで経っても治らなかったらしいの。オーヒと第一オージと第二オージは引っかいているものね。第二オージの傷はアタクチの屋敷でやらかしてくれやがった時に首の後ろについたやつよ。

オージ二人の傷は服で隠せても、オーヒのは顔の傷だもの。隠せないわよね。


で、オーケの使用人とか騎士とかアタクチを指差していた平民たちを中心に「オーケは神獣様に嫌われている」って話が出回ったみたいね。そんなこんなで平民達からの支持を急速に失って、結局アタクチがカーテンを破く前にオーテーにオーイを譲ったみたい。


コクオーは会議中にサソリが現れた体験が怖すぎて、大好物のオマール海老を食べられなくなったんですって! ハサミ恐怖症ってやつ? きゃー、カワイソウ。


オーヒはドレス着替えようとしたら、全部ネズミにかじられてる上にガの鱗粉が付いてて肌がかぶれまくったらしいわ! ペットにも逃げられちゃったもんね。ハリネズミとモモンガはうちにいるわ。モモンガは相変わらず喋らないし、ハリネズミは「イエーイ!」ってずっと言ってて鬱陶しいわ。


第一オージは池に放られた後、すぐに騎士達に救出されちゃったみたい。つまんないわね。でも、カラス達は復讐できてご満悦よ。第一オージは鳥恐怖症になったんですって! スズメでさえも怖いみたいよ!


第二オージはハチにまた刺されちゃったみたいで。部屋で刺されたけど、外には虫がいっぱいいるから怖くて部屋から出られなくなっちゃったんですって!


サイショーはアタクチが屋敷に帰ってから、イシャリョーを持って謝罪に来たわ。サイショーに関してはアタクチ怒っていなくってよ。真珠くれたからサイショーってけっこういい奴よ。

重要書類が食べられちゃって、庭も荒れ果てて、文官や騎士達も怪我してて大変だけど頑張るんですって。「これが神獣様のお怒りですから甘んじて受け入れます」なんて言ってたけど。まぁ、せいぜい頑張って欲しいわ。トップがクズでなくなったらやりやすくなるでしょう。



「ゼノン、また変身しなさいよ」

「うるせェ! できねぇんだよォ!」


ゼノンはすぐ元の黒いカラスに戻ってしまった。もう一度白い姿が見たくて変身しろと言っているのだが、なかなかしてくれない。


アタクチは今日もリンゴをシャリシャリ食べる。

さぁ、下僕。食べ終わったらマッサージをなさい。その後、お昼寝してからアタクチと遊ぶのよ!

第一章にお付き合いいただきありがとうございました。

第二章からはジョゼフィーヌの過去がメインに明かされていく予定です。

「続きが気になるぜ!」「ボスコォ……頑張れ!」「ジョゼフィーヌたんカワイイ!」などありましたら、いいねやブクマや下の☆マークで評価など応援していただけると嬉しいです!!


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【書籍情報】

第9回ネット小説大賞で金賞を受賞した小説が2022年2月14日に書籍化されました!

「憧れの公爵令嬢と王子に溺愛されています⁉婚約者に裏切られた傷心令嬢は困惑中」

ラブコメディです。イラストは鳥飼やすゆき先生に担当して頂きました!


挿絵(By みてみん)


特設サイト↓ WEB限定SSが読めます!

https://www.cg-con.com/novel/publication/09_treasure/02_dekiai/


紙の書籍と電子書籍が好評発売中です。こちらも良ければどうぞよろしくお願いいたします。


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