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はじまりのルーチン



 おはようございます。今日も新しい朝が来ました。

 俺の胸の中ではシロが規則正しい寝息を立てている。

 いや、ただ寝てるだけだよ。襲う訳無いよ。天使を堕天させる系の話って読むけど実際に天使を見てしまうと、ねえ。あの神々しさに邪気は全部消滅するから。マジだから。俺が証明。

 俺が布団から這い出ようとするとシロは半分だけ目を開けておあようごあいあずと言った。

 この子、朝が弱いみたいなんだ。治してあげようと色々と試してみたけれども全く改善しないので、もうそう言う物だと割り切る事にした。

 まだ寝てていいよ、と手を振って俺は寝間着のまま冷蔵庫の前に立つ。

 現在午前5時。洗濯はコインランドリーのおかげでカネはかかるが楽々だし、掃除はシロが一生懸命にこなしてくれている。料理は、まあまだまだだ。お互いに。

 

 さて、朝食といえばパン。パンパパン。

 と言う訳でトーストを作ります。

 まずは卵と牛乳と砂糖を適当に混ぜてそれに豪快に千切った食パンを浸す。

 バター、は無いのでマーガリンをフライパンに投入し溶けてきたら食パンを投入。何度作っても液が微妙に余るのでそれもフライパンにぶち込む。

 程よく熱が通ったら完成。

 今日も出来たぜ、トースト!

 起きたか確認しようと後ろを振り向くと既に机の上には鍋敷きと皿が置かれ、まだ眠たそうな顔のシロが待っていた。よだれ拭け。

「おはよう、シロ。今日もまだ眠いか?」

「う……ん、ねむい」

「目を擦るな、またものもらいになるぞ」

「眼帯好きだらかなってもいいかなって」

「目薬をひとりで出来るようになったら大手を振って言って良いんだがなあ」

「目薬はいや」

「俺も目薬は嫌だから気持ちはよーく解る」

「あ、病院もいやだった」

「なるべく病院に行かないような生活しよう、な?」

「うん」

「さて、手を洗ってきてくれ。朝ごはんを食べよう」

 プライパンに入ったトーストの塊をそれぞれの皿に取り分けているとシロが「フミさん。タオルがない」と声をかけてきた。

 え? マジで? と振り返ると頬に冷たいものが当たった。

 シロの真っ白な顔が目の前にあった。

 俺の心臓が跳ねる。

 このまま唇にキスを! と左から声を張り上げる黒い俺。

 手をとって額か頬にキスしてあげたら最高じゃない? と右から声を張り上げる白い俺。

 どっちの俺もキスしろって言ってる……。

 両側からわーわー言うなと困惑する俺の心をよそにシロはにへっと笑って言った。

「フミさんも目が覚めました?」

 ええ、醒めました。キミの笑顔で今朝も浄化されました。両隣でキス! ほらっ! と押してくるふたりの俺は今日も綺麗サッパリ消えた。

 な? マジで邪気は消滅したろ?

 

「手を合わせて?」

 俺の号令にシロはパチッと手を合わせる。

「「いただきます」」

 今日も一日がはじまる。



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