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育児放棄かよ、天使かよ



「クソメガミ(ビッチ)!」

 寝転んだまま手紙を読んだ俺は天に向かって中指を立てた。両手で。

 手紙を要約すると、この子をあげる、だ。

 あげる? もしかして育てる? カツカツ生活な俺にそんな事できるかよ!

 しかも、この子は俺とメガミサマの子じゃない。

 ヤることヤッたから俺との子かも、まさか俺もカミサマに? なんて淡い期待はすぐに打ち砕かれたよ。

 この子はメガミ(ビッチ)と色々なカミサマが交わって出来た子たち、の正しく子になれなかった余りカスの様な存在だ。

 端的に言えば育児放棄だよ!

 クソメガミ(ビッチ)め、俺とヤッたのはその行為を盾にする為か。

 この子、百面相する俺の顔をじっと見つめて表情を変えない。

 感情は無いのか? 赤ちゃんからじゃないだけ……。

 カネが、養育費を要求する。天井を睨んでみるが返事はない。

 どうしよう、どうしよう。

 クソッ、生活費以外は全部貢物に回していたし余分なカネなんて……。

 マジでどうしよう。

 相変わらず無表情で俺の顔を覗き込む子を見ていて俺の体に電流の様なものが走った。

 あれ? でも、待てよ? この子は無垢な、言わば産まれたばかり。真っ白な布。

 俺色に染めて、良いんじゃないか?

 ヤツはこの子を放棄した。

 なら、俺の好みに育てて俺の嫁にしてしまえば。

 あわよくば客を取らせて。

 よし、善は急げ。

 いや、急がば回れだ。

 ゆっくり外堀を埋めよう。

 

 

 万年床を片付けて白い子を座らせる。

「まず、そうだなあ。名前は?」

 聞くと、ふるふると頭を振った。

「じゃあ、性別。男? 女?」

 再びふるふると頭を振った。

 知らない? もしかして両性。両性……?

「えっと、服を脱いでもらってもいいかな?」

 冗談10割でそう言うとその子は素直に服を脱いだ。

 その体は大理石の様に白く、俺はただただ感動した。

 性的な思いが全く浮かばないほど神々しかった。

「これが、無垢な天使……!」

 まじまじと見つめる俺の視線を全く気にせずその子はじっと立っていた。

「あ、ごめん。服、着て。本当にごめん」

 頷く事もなく素直に従う白い子。

 ああ、何と言うか罪悪感しかねえな。

 無知は罪ってどこかで聞いたけど、これから俺は生きる知識をこの子に伝えなければならない。

 この子はアダムでありエヴァでもある。どちらに傾くのかわからない。俺としてはエヴァに傾いて欲しいけどこの子がどう思うのか。

 先の事はわからないが、護り育てねばならない。始祖のふたりが蛇の唆され禁断の果実を食べて楽園を追放された様な事を俺が繰り返さないように、この子が安心して暮らせるように頑張ろう。




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