娘を嫁に出す……、うっ頭が!
その言葉にカズマは置いたままになっていたチューハイの栓を開け一気に喉の奥に流し込んでそのまま天井を凝視した。
いや、ビビった。俺もビビった。シロが邪(淫)神だったなんて。
かわいい邪神様だなと考えながら眠るシロの横顔を見ていると
「いや、その表現は良くないぞ。トウサマ」
とクロが口に出していない言葉に対してツッコミを入れてきた。
「おうクロ。ナチュラルに心を読むな」
「あ、ごめーん」
クロは口の端から舌を出してきゅるんと縮こまった。
「テヘペロしても許さん」
床に放ったらかされているほど伸び放題なクロの髪を俺はわしわしとかき混ぜる。
「フミさんもナチュラルにスキンシップしないで」
カズマは顔を引きつらせながら溜息を吐き、にっこにこの笑顔でクロは話を続けた。
「んでさ。俺は”正の負”、シロは”負の正”な訳よ。だから正しき結界は逆にちからを弱めるだけなんだ。今なら襲い放題だぜ? トウサマ」
「なんで自分の子を襲う必要があんだ? 護るべきものだろ?」
俺が首を傾げるとクロが笑い出し、続けてカズマも笑った。
「フミさんって自覚ないみたいで笑っちゃう。なあ、クロちゃん」
「んだんだ。ここまで来るのにどれぐらいかかるのか、カズマは解るか?」
「俺が聞いた話はマジ苦行だから覚悟しとけぐらいだけど」
「ざっと5桁転ぐらいしないと行き着かないぞ。徳が高ければそこそこ短くはなるけどトウサマには強い蛇が居たからもっと……、それこそ6,7桁になってたかもなー」
「うええ、マジで苦行なんだなあ」
「カズマは上のヤツラと交流あんだなー」
「ああ、指導されてばかりの新人だけどな」
あれやこれやと話すふたりの会話に俺はついていけなかった。なのでシロの寝顔を見ていた。この邪神、かわいい。
でも、娘じゃなくて息子になったんだよなあ……。服は中性的なモノばかり買ってあげてるし。シロとクロの体型はほぼ変わらないから使い回せる。個性が出てきたらそれに合わせてあげよう。
そんな事を思いながらシロの頭を優しく撫でる。クロとカズマは意気投合したらしくあーでもないこーでもないと言葉を交わしている。仕草や言葉はオトコノコっぽいけどクロはオンナノコ、なんだよなあ……。カズマ、クロ、娶る。うっ……。
「絶対やらんぞ!」
「ふわっ!」
俺が出した声に驚いてシロの目が覚めてしまった。気持ちよく眠っていたのにすまない。シロ……。




