第一章 8話 ゴブリン討伐
文字数多いです。
今まで少なすぎたかなって思ったので増やすことにします。
エルザ達のパーティーと食事を楽しんだ後、3日後に俺のことを教える替わりにルナに魔法について教えてもらうという条件で解散した。
この2日間で魔法のスキルを出来るだけ取得したいと思っている。
次の日、ギルドに何か依頼がないか探しにきた。ホーンラビットの角や、薬草採取などはいくつあってもいいため依頼を受けずに素材さえ持っていけば換金してもらえる。
今回俺が受けようと思っているのはダンジョン内の魔物の間引きをする依頼である。
ダンジョン内の魔物はどれだけ倒してもまた復活するがずっと放っておくと増え続け、ゆくゆくはダンジョンの外に出てきてしまう。
ゴブリンなどは繁殖力も高いため、出てきたゴブリンを放置しているといつのまにか群れを作って近くの村の農作物などが荒らされてしまう。
なら初めから出てこないようにしておけばいいと言うことだ。
しかし、この町は初、中級者の冒険者が多いためゴブリンの間引き依頼などはお金ももらえて経験としても効率がいいため、すぐになくなってしまう。
「ゴブリンの間引きをする依頼はありますか?」
素材を換金する受付とは違う受付のお姉さんに依頼があるか聞く。
「ゴブリンの間引きですね。確認しますのでお待ちください」
そう言って受付の人は何枚も書類の束を取り出し探していく。
「ありましたよ。何体倒していただいてもよろしいので倒した際は証明できるよう部位を持ってきてください。あと最低でも40体は倒すようにお願いします。」
「わかりました」
幸いゴブリンの依頼があったため、依頼を受けて俺はサイタンダンジョンに向かった。
戦闘に必要なステータス上昇のスキルを全てとったため、昔のように少ない数のゴブリンだけを選んで倒すなどせずに戦うことができるだろう。
このダンジョンはレベル20ぐらいあればなんとかなる。
昔の俺は自分のレベルよりも少し上の敵と戦わなければほとんどレベルが上がらないため、レベル17くらいから長いこと戦っていた。
ダンジョン内を散策していると4体のゴブリンと遭遇した。
「4体か…余裕だな」
いつもの先制攻撃をしたが、流石に察知されてしまい、避けようとしてきたがさらに奥に踏み込み首を刎ねた。
3体のゴブリンが俺を三方向から取り囲んだ。
2体のことを無視して前方にいるゴブリンに斬りかかる。持っていた棍棒で防ごうとしたのだろうが棍棒ごとゴブリンを叩っ斬ってすぐに振り向く。
2体のゴブリンが棍棒を振りかぶっていたが、ゴブリンは子供くらいの大きさと持っていた棍棒もそこまでリーチがないため、避けるのに距離を取らない。
ギリギリの距離を見定めバックステップで避け、また踏み込み1体のゴブリンを斬り、すぐに刀を返してもう1体のゴブリンを逆袈裟で斬る。
「まぁ、昔ですら3体は同時に倒せたんだからできるに決まってるか」
それでも一度の戦闘での時間は段違いに早い。
ゴブリンの耳を回収したあと、また歩き出す。
次は8体のゴブリンがいた。さらに厄介なのが棍棒ではなく剣や弓を持っていることだ。
きっと無茶をして挑んだ冒険者が返り討ちにあい、殺して奪ったのだろう。
たしかにゴブリンは強くはないが今までの魔物と違い低脳ではあるが知能があるので連携してくため、練度の低いパーティーでは殺されるだろう。
この依頼は稼ぎが悪くなくかつレベル上げにもちょうどいいため、お金に切羽詰まった者や魔物を舐めている者が調子にのって依頼を受け、殺される。そしてその装備はゴブリン達が使うことによりさらに面倒になる。
「死ぬなら剣や弓ぐらい折ってから死んでくれ」
軽く悪態をつき、戦闘に頭を切り替える。
先制攻撃を仕掛けるが奥にいる弓を持ったゴブリンが察知して、叫ばれたことにより体制を整えられた。
遠距離待ちがいるのは面倒なので奥のゴブリンを狙おうとするが剣を持ったゴブリンと盾を持ったゴブリンに阻まれる。
一旦距離をとって考え直すのがいいだろうがそれをすると奥のゴブリンに狙われるため、剣を持ったゴブリン達を中間に置き、射線を遮るように立ち回る。
ゴブリンが剣で攻撃してくるがそれを避け斬ろうとしたところ盾のゴブリンが邪魔してきた。斬るのをやめ、盾の上からゴブリンを蹴り奥に吹っ飛ばす。すると他の剣を持ったゴブリンが襲ってくる。
「チッ…本当に厄介だな…」
パーティーで挑めばこの数でもなんとかなるだろうがソロとなると手数が足らなくなる。
多少は攻撃をくらって無理に反撃するという手があるがそんなことを繰り返していたらいつか強敵が現れたとき死んでしまうだろう。
仕方ない、使うか
俺は腰に刺していた投げナイフを取り出して剣を持ったゴブリン2体の眉間を狙って投げる。
投げナイフはあまり耐久性が高くないため外して壁に当たったりしたら買い直さなければいけないためあまり使いたくない。
しかし、見事に的中し、すぐに最後の剣を持ったゴブリンを斬る。
弓を持ったゴブリンが矢を放ってきたがまだゴブリンアーチャーにまでなっていないのだろう動かなくても矢があたらず、次の矢を番える前に接近する。
盾を持ったゴブリンが2体邪魔してくるが1体を蹴り飛ばし、もう1体は盾を掴み持ち上げる。腕に固定していたのかゴブリンも持ち上がったため、先程蹴り飛ばしたゴブリンに投げる。流石に重く、勢いがないためそのまま殺すことはできなかったがすぐには動けないだろう。
それまでの間に3体の弓を持ったゴブリンを斬る。
近接武器のないゴブリン達はなすすべもなく殺される。
あとは投げたゴブリンだが、打ちどころが悪かったのか動かないためとどめをさす。
「流石に武器を持っていたら大変だな」
幸いだったのはゴブリン達が装備の扱いに慣れていなかったことだろう。
剣を上手く扱えるようになったゴブリンはゴブリンソルジャーと呼ばれるようになる。
盾はゴブリンナイト、弓はゴブリンアーチャと呼ばれる。
まぁ、こんな低レベルのダンジョンで出てくることはほとんどないだろう。
出てきたとしても俺は獣などより父と修行していたことで人型の方が戦いやすいっちゃ戦いやすい。
そのあとゴブリンの耳を回収し、装備は固めて壁際に置いておいた。
持って帰れば剣などは鉄を溶かして再利用できるため、悪くない値段で売れる。帰りに持って帰れるように紐で結んでおく。
それからは何体もゴブリンと戦ったが武器を持ったゴブリンとはほとんど出会わず、いたとしても4体とかだったため、すぐに倒すことができた。
そう考えたら俺ってこのダンジョンの一番危険な奴らを倒したのでは?
追加で報酬もらえないかな〜なんて淡い期待をしながら帰ることにした。
「依頼の報告に来ました。これが討伐数です」
俺はテーブルの上に一杯になった袋をのせる。
数は途中から数えていない。
ゴブリンは数が多いのでそれほど一杯になるのに時間はかからなかった。
「あと、武器を持ったゴブリンがいて回収してきました」
「あのゴブリンたちを倒してくれたんですか?!ありがとうございます! あのゴブリンたちがいたせいで他の方達がゴブリンの依頼を失敗したり、受けたがらなかったんです!」
「そうなんですか?パーティーを組めばそんなに難しい的ではないと思いますが?」
「殺されてしまったパーティーの持っていた装備がそこそこに良いものだったため、上手く倒せなかったようです」
たしかに俺の蹴りを耐えて死んでいなかったということは悪くない装備だったのだろう。
そりゃお金のない冒険者じゃいい武器と最低限の武器じゃぶつかったら折れたり、刃こぼれをしてそれの買い替えや修理でお金が嵩むため、倒しても旨みが少ないだろう。
どうりでゴブリンの依頼が残っていたわけだ。
やられた冒険者はどっかの商人の息子かなんかでいい装備を買って、それで簡単に魔物が倒せたために、調子に乗ってしまった奴らだろう。
やはり身の丈に合った装備で戦うことが大事だな。
俺の刀はどうなのか?
俺はちゃんと修行してきたからいいんだよ。
「ただこの袋を見る感じ相当倒しましたね。これなら数日は依頼が出ないと思いますね」
あ、マジか。
「そ、そうですか…と、とりあえず確認をお願いします」
これはゴブリン達の繁殖力に期待しよう。
こんなときに増えなければ何のためのゴブリンだ。
頑張れゴブリン。
まぁ増えたら増えたで俺が殺しに行くんだけども。
「かしこまりました。数が多いので少しお待ちください」
待っている間に装備を素材換金の受付に持っていくことにした。
素材だけじゃなくこう言った装備も買い取ってくれるためギルドは便利だ。
「キャミーさんこの装備いくらになりますか?」
「エリドさんお疲れ様です。見たところ悪くない装備なので、全部で小…いえ、少し研いで手入れをすれば使えそうなものもあるので中金貨ぐらいはあるかもしれませんね。確認してきますのでお待ちください」
キャミーさんとはセッタとの件のときに自己紹介をして少し仲良くなれた。
冷たいイメージがあるが、容姿の良さもあり、ナンパや告白されてしまうため塩対応に勤めているだけらしい。
それでもやっぱり依頼受付のお姉さんのように感情豊かではないが。
「エリドさん!討伐の確認が終わりました!」
依頼受付のお姉さんが呼んでいたため向かう。
「討伐数が120体でしたので小金貨3枚、そして武器を持ったゴブリン達を倒してくれたことの追加報酬で小金貨2枚で計小金貨5枚です!」
「そ、そんなにですか?!」
たしかにゴブリンの依頼は稼ぎはいいがここまでではないはずだ。
追加報酬もここまで貰えるとは…
「はい!それについてギルドマスターが説明してくださるということですので奥の応接間にどうぞ」
「ギ、ギルドマスターが?」
俺はなぜここでギルドマスターの名がでてくるのか分からず疑問を浮かべながら応接間に向かった。