第一章 3話スキルの真髄③
このダンジョンはさっき男の子が言っていた通り、モンスターが群れるため複数体と同時に戦闘しなくてはならない。
その出現する数が一人では捌き切れないためソロでは非常に厳しいとされている。
「おっ!いたいた。やっぱり結構いるな〜」
俺の目の前には頭から鋭い角が一本生えたうさぎホーンラビットが8匹ほどぴょんぴょんと跳ねている。
気づかれていないため、全力で近づき一刀で2匹まとめて首を斬り落とした。
仲間がやられたことに気づいたホーンラビットは俺に向かって角を突き刺すために跳躍してくる。
俺はすぐに回避し、ホーンラビットの群れから少し距離を取る。
「やっぱり、速さと攻撃力に関しては俺の方が有利だな…」
正直、避けた後すぐに反撃することができたが、もう二匹が左右に回り込んでいたため、俺も多少の反撃を食らっていたと思われる。
流石に攻撃力、素早さ以外はレベル3の数値のため、ホーンラビットの一撃で致命傷となる可能性がある。
運が悪ければ死ぬ。
ホーンラビット自体はそこまで強くないが群れる習性などからウトルダンジョンは推奨レベル10である。
「さて、どうしたもんか…」
俺はホーンラビットをじっと観察する。
ホーンラビットは左右に広がっており、右前方に2体、正面に3体、左前方に1体という配置をしていた。
正面の3体が一斉に頭突きをしようとしてきたので、跳躍される前に瞬時に左前方にいたホーンラビットは狩る。
もう一度距離をおき、様子を見る。
「ステータス的にヒットアンドウェイが一番安全そうだな」
仲間が殺されて怒ったのか、ありがたいことに2体が突っ込んできた。
そうなったら1体となったホーンラビットを狩り、右にいた2体の攻撃を回避して、1体は離れさせるため蹴り飛ばす。
蹴り飛ばした際にホーンラビットは骨が砕ける感覚があり、その一撃で絶命した。
少し驚いたがすぐにもう1体のホーンラビットを刀で斬る。
残りの2体が来たが難なく処理する。
「まさか蹴っただけで死ぬとは思わなかった」
自分の攻撃力に驚いていたら、頭の中でレベルアップした音が流れた。
「え?!は、早くないか?!」
今までのレベルアップの頻度の少なさに慣れていたため驚いてしまった。
「あ、早く素材を取らないと」
モンスターは倒した後青い粒子となり消えてしまうため急いでホーンラビットの角を回収していく。
ホーンラビットの角は薬として使われるため、需要がある。
冒険者に成り立ての者でも狩りやすく、お金にもなるため、低レベルの間はこのモンスターを狩りつつ、レベルを上げかつお金稼ぎをするのが主流となっている。
しかし、常に群れでいるため、ソロでは狩ることが難しかった。
「蹴り1発で倒せるならもう少し攻め気を強めてもいいか」
さっきの戦闘の感覚からして3.4体でこられても捌けるだろう。
それからはモンスターを探しては狩って、探しては狩ってを繰り返していた。
体力はまだ持ちそうであったが先に荷物がホーンラビットの角でいっぱいになった。
「ん〜、まだ狩りたいけどせっかく狩ったのに放置するのももったいないしな〜、仕方ないけど帰るか」
俺は後ろ髪をひかれながらも諦めて帰ることにした。
角を換金するために冒険者ギルドよることにした。
「角の換金をお願いします」
ギルドの素材換金の受付に行き、パンパンになった袋をテーブルの上にのせる。
「かしこまりました。確認するのでお待ちください」
受付の人は袋を持って奥に行ってしまった。
数を数えるだけだと思うのですぐに終わるだろうと思い受付の前で待っていたところに酒の臭いが漂ってきた。
「よぉエリドォ〜、なんでソロのお前がそんなに角持ってんだぁ〜?」
あぁ〜だるい…めんどくさい男に絡まれた…
この酒臭い男はセッタといいことあるごとにいちいち嫌味を言ってくる。
「自分で狩ってきましたよ」
「嘘つけよぉ〜低レベルのお前が狩れるわけねぇだろ。あ、お前どっかのパーティーにでも入って寄生でもしてたんだろぉ」
寄生呼ばわりされてイラッときたがに反論するだけ時間の無駄だと思いもう無視することにした。
「おぉ〜?図星かよ〜、まぁ、適当に活動してる俺よりもレベル低いもんなぁ〜?仕方ねぇかぁ〜」
こいつはお金ができたら酒を飲んだり女と遊び、なくなったらダンジョンにいき素材を換金しそのお金でまた遊ぶという生活をしている。
腹が立つことにそうやって適当に活動していても俺よりもレベルが早く上がるためいつもバカにしてくる。
もう面倒なため、イラっとする気持ちを抑えて無視を続ける。
早く確認終わらないかなぁ…
思いが届いたのか奥から受付の人が戻ってきた。
「お待たせしました。ホーンラビットの角が80本確認できたため、銀貨8枚となります」
「ありがとうございます」
受付にお礼をいい、宿屋に帰ろうとすると出口の前にセッタが立ち塞いでいた。
「おいおい、寄生するようなやつは罰を与えなきゃならねぇなぁ、罰金としてその金を俺に渡しなぁ」
「別にそんな規則ありませんよ?すいませんがどいてくれませんか?あと酒臭いだけじゃなくてなんか臭いますよ?ちゃんと体洗ってくださいね」
「あぁ?お前調子になってんじゃねぇぞ!」
セッタは酔っていて顔が赤かったがさらに赤くなり、俺に殴りかかってきた。
適当にしているとはいえ、遊ぶ金は稼げているためある程度強いだろうがここまで酔っておりかつ冷静じゃないため、容易に避けることができた。
仕返しに足をかけて転ばせてやった。
「ぐへぇ!」
もともとフラついていたため、簡単に転んだセッタはだらしない声を上げた。
その瞬間、周りにいた冒険者が盛大に笑い出した。
もう関わりたくないためそのまま宿屋に帰ることにした。
後ろからセッタが殺すやら後悔させてやるなど喚いていたが無視した。
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今後の参考にし学んでいくのでよろしくお願いします。