97話 翌日の転々具合ときたら
次の日の朝、我先にの勢いでワープを使い港町まで移動しようと思ったのだけれども、先に朝食だけ済ませておきたかったので、此方の街で頂くことにした。多分向こうの街の朝食となると魚介類が中心であろう。それに関しては昼夜にこれでもかと食えるからな。多分。
そんな訳で朝食を終えてから港町にワープでもって移動した。早速ギルドに向かって階段を下りた先の解体所に入る。ちょっとイドロヴィアの人達がいないかな、と思ったのだけれども解体所にはその姿は見えなかった。昨日もこんな感じだったよな、確か。
一先ずガレオス達に関してはまぁ別段用事もないし、すぐに見つけられなくても問題は無い。強いて言えばサラシアから尋ねた話をそのまま伝える位だけれども下手に話をしてしまうと、サラシア自体と話をしていた時もそうであったがこう、俺の移動速度というかについてめちゃくちゃ怪しまれるからな、流石にこれは時間を見つつになるだろうか。
取り敢えず今は買取の査定を聞かなきゃな。確か昨日は港町の方にある森で狩りをしていたっけかな。
受付のいた人に買取の話を告げて麻袋を持ってきてもらう。時間がまだ朝早く、ギルドに訪れる人の数もそれほどいなかったという事もあってお金の入った麻袋を貰うまでとてもスムーズである。……のだが、ガレオスによって一躍町の有名人となってしまったこともあって話す人話す人が大抵何かしらの反応というか雑談だとかをしてくるようになった。
「おお、あんたはあれかガレオスさんが言ってた……」
「ああ、どうも……」
「いやぁマザーホエールを一撃とはなぁ、恐れ入ったぜ。んで何の用だ?」
「えっと昨日買取に出したと思うんですけど……これを」
言いながら紙を渡す。
「ほうほうほう……これもしかしなくても森にしか出てこねぇモンスターばっかりじゃねぇか。やっぱりガレオスさんが認めたってなると変わったところで狩りをするもんなのか?」
紙を貰ってからも男は雑談を続けそうな雰囲気であったので、先に麻袋を持ってきてもらうように頼んだ。
ちょっと待っていると流石に持ってきてくれて、それをテーブルの上に置かれる。
「ほら、これだな。中身が……えーっとベア種に植物種……ボア種で……」
先に討伐したモンスターの種類を告げられてその後細かな買取価格の内訳が告げられる。やはり俺の場合は森で只管に狩りをしていた方が効率がいいのだなぁと思ってしまうな。釣りも狩りもどっちもしたことが無いんだし、それで言うなら釣りの方がまだハードル低そうに感じるんだけど、不思議なものだ。まぁ女神の魔法のお陰で雑に強いモンスターとも戦えるっていうのがでかいのかな。
「……って感じで全部で18000ケルマだな。ベア種の頭部破壊が無ければ20000も手堅い感じがするが……」
「なるほど、有難うございます」
麻袋を受け取って収納魔法で仕舞った。今は特に買取に出せるものは無い為これから少しだけ狩りをするとしようかな。サラシアとの約束に関してはざっくりではあるが昼という事だった。流石に朝から行くのは向こうにとっても迷惑であろうし、此方としてもまだ完全に頭が回りきっていない。その状態で彼の話を聞くのはちょっとな。狩りをしてある程度頭を回転させておかねば。
そんな訳でギルドを一度出て狩場の方まで移動する。
軽く伸びをしてからちょこっとだけ運動をしてから森に入った。この時間であれば狩場であっても人が少なく狩りをするのもまぁ快適と言えば快適なのだけれども、それでも皆無と言う訳ではないしそもそも草原の方であるとモンスターの種類的にあまりおいしくないから森である。あとは他の冒険者に出来る限り見られたくないっていうのもあるが。
「さて……と、始めるか」
今日の所は狩りをして金を稼ぐのもそうだが、出来る限り良い状態で買取に出せるようにしたいな。まぁ高額買取してもらいやすいモンスターばかり狩っているからそこまで問題は無いのだけれども、こればっかりは気分の問題だな。
「よし、サーチ!」
目に映る光を頼りに捜索開始。けれども頭部破壊を防ぎつつ出来る限り早めに仕留めるとなると心臓を狙うべきか。けどものによっては心臓が高額買取されるケースもあるよな。それこそ肉だとハツって確か心臓だったよな。
……まぁ考えても仕方ない。どんどんと狩りを進めていくか。
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「……うん、こんなもんかな」
結構な数のモンスターが獲得できたと思う。正直心臓狙いがめちゃくちゃ大変だった。というのも頭部は一目見れば容易く判別できるし、的にしても大きいから狙いやすいのだけれど、心臓は内部になるから見えるものじゃないし、そもそも的としても小さい。特に動物ってなると人間とは違う位置に内蔵があったりするから、仕留める事こそ出来たけれどもそれが「状態が良い」って奴なのかは分からない。つまり何だかんだ言っても勘で狩りをしている。
そんなモンスター達を仕舞ってギルドに戻った。再びギルド地下にある解体所にて買取を頼んだ。朝の時と同じおっさんが受付におり、俺を見るなり反応した。
話半分におっさんの喋りを聞きつつ再度解体所の様子を見渡した……のだけれども今現在もガレオスはいないのか。前までは、それこそマザーホエールより前とかか、それくらいの時は何か狩場なり解体所なりに入り浸っている印象があったんだけどな。
「あの……ガレオスさんって今何方に……?」
「ん? ……そう言えば昨日今日は見てない気がするが……何処にいるかは分からないな」
「そうですか……」
少なくとも解体所には来てないって事なのか。だとしたら管理室とかにずっといるのかな。それこそ、マザーホエールの一件で忙しいとかなのだろうか。……まぁ考えてもどうしようもない事である。
ひとまずギルドを後にして早いうちに向こうの街に向かった方が良いかな。




