90話 カムバック
釣り竿を購入したものの、疑似餌がないって事なので毎回毎回餌を何かしらつけるって事が手間に感じてしまった。それと共に資金優先ってことで効率の良い森での狩りをすることにした。
一先ずは昼前まで行って昼頃に狩った得物を出すついでに昨日買取に出したものの分を受け取るかな。朝食に関しては収納魔法の中にストックが存在していなかったので今日は外食。セルモクラシアに向かうとなれば再び資金と共に道中の食料問題も気にする必要があるな。
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「こんなもんかな……」
昼前がデジタル的な時刻としては分からないので感覚だけでの判断となるが、まぁそろそろ良い時間だろうな。捕まえた獲物としては昨日と同じく猪とか熊とかが中心である。それと共に薪になるらしいファントムツリーであろう化けた木も幾つかゲットすることが出来た。ただまぁこれに関してはあまり高額でなかった記憶があるので後は他のモンスターがどれくらいの値段になるかが問題だな。前の時は……四日前後くらいの食料を用意してて……その時はどれくらいの資金を費やしてたっけかな。
ま、前の街と同じ程度の金銭で済むかどうかは分からないしあと数日くらいは港町に滞在するが。
「うーん……」
狩り自体は順調である。今現在こうして放った唸る声に関してはただの無意味な考え事である。
単純に一度元の街に戻ろうかな、とかそのくらいのことだ。あっちの街にて仲良くなったロイという少女、あの街を出る際に彼女に対してたまに会いに行くという事を告げてあれから大体一週間くらいが経過しようとしている……と思う。たまに、というう言葉に明確な時期は設けていないけれども、多分彼女のことだからそろそろ会いに行った方が良いかな? とそういう考えがある。まぁそれは兎も角としても、サラシア辺りなら何かしらセルモクラシアについても知識持っていそうだし相談出来るかな? という淡い期待もある。前にも似たような感じで訪れた時はまぁ忙しいらしかったけれども。ガレオスが頼りないとかそういう訳ではないけれども、少なからず知識ベースの話になると流石に頼りないのは目に見えている。ガレオスはまぁパワーとかマインドとかそういった方だろうな。
まぁ一度戻るかどうかはまだ決めていないし、一先ずはこのモンスター達を解体に出してから考えるでいいかな。時間帯も昼に合わせて一度打ち止めしたので昼を食ってから次の行動を決めるか。今日の昼は……まぁ地下食堂で良いだろう。ついでにあれだ、昨日のマザーホエールの一件、あれをギルドに報告として貼り出している筈だからそれの確認も必要はないだろうけれども一応見ておきたい。アステールの手によってうまい具合に誤魔化されている……と思うけど、どうなったのかが何となく気になる。昨日の時点で貼られていなかった気がするがどうなっただろうか。まぁ正直、ガレオスが既に俺の存在を語りまくっているから効果って部分は怪しいけれども。
ギルド……特に一階は長居していると視線を感じるので報告書の確認に関しては出来る限り早めに、さっと見つけて一通り読んでから地下に行くとするかな。
ギルドに入る。出来る限り陰キャ的なオーラを醸し出して極力此方に視線が出ないようにする。ちらっと見るだけですぐに地下に行きたいかな。
「……」
うん、アステール自身はちゃんと仕事をしてくれたというか俺が望んだ通りにちゃんと綺麗に誤魔化している。簡単に言うと「討伐にあたってガレオスとサクヤとの二名によって行われた」程度の書き方でつまりは俺が一撃で仕留めたみたいなことは書かれていない。のだけれども、やはりガレオスが既に触れ回っているので無意味の用紙に等しいな。取り敢えず此方の方はちゃんとしているようで何よりだ。変に噂話とかが始まる前にさっさと地下に向かってしまおうか。
「あれ……」
「おう、買取か?」
「ああ……はい」
地下に繋がる階段を降りてすぐさま左の扉を開くと地下にある解体所。そこは広々とした空間で幾つかのテーブルと作業中の人達の姿が見えるのだが……。ガレオスの姿が見えなかった。まぁタイミングが悪ければこういう事もあるか。今丁度狩りに出かけている可能性だとか仕事中の可能性だとか考えられる事は大量にある訳だし。
まわざわざ尋ねる程でも無いからと特に受付の人に聞く事はしないでいいか。
「これと……これと……ああそうだ、昨日買取に出したモンスターとかあったと思うんですけど、買取終わってますかね?」
「紙あるなら見せてくれ。昨日なら多分終わっている筈だから探してくるよ」
獲得したモンスター達をテーブルの上に置いてから昨日の夕方頃にギルドにて買取に出した筈のものの様子を尋ねた。何時頃に出来るかちゃんと覚えてはいないけれどもまぁそろそろ終わっていていい頃だろうし……というかそうであってくれみたいな。解体所の規模的には前の街と大差ないように感じるので少なくとも解体作業って所では問題ないと思われる。気になるのはあれだ、鑑定部分。此方の鑑定に関しては誰が行っているのかとかを良く知らないし人数にしたって不明である。尤も向こうの街にしたってサラシアが仕事人間ってことで仕事量とかペースみたいな部分は問題ないなって勝手に思ってた限りなんだけど。優先買取の制度がこっちにも存在しているらしいし最低限の人数はまぁいるんだろう。
「こいつだな。ロックボア二体にハイドベアと……」
港町も前の街と同じ事情なのか、それとも単純に魚系統を狩る人間が多いのかは分からないが森だけでしかゲットできないモンスターに関してはそこそこ貴重らしく中々の買取価格がついた。それを証明するように麻袋はそこそこ重かった。
「えーっと今回も似たようなものばっかか。それとファントムツリーがいるって感じか?」
「そうですね。優先買取とかはいらないんで。えーっと明日には出来ますかね?」
「そうだな……今なら問題ないだろう。えーっと紙……紙……」
買取に出し終えたので解体所を後にして扉を出て反対側、地下食堂を訪れた。ギルド内に直接存在しているからなのだろうか、それとも単純に俺が選んだ店の問題だったのだろうか、ギルドの地下食堂の値段設定は大分安く感じる。ちょっと記憶が曖昧だけれどもサラシアの街、あそこで食べてた記憶と比べてもやっぱ安い気がする。
そんな訳でちょっとだけお得な感じがする昼食を終えた。魚メインの日々が続いているから何となく健康体になっていきそうな感覚がしないでもないが多分プラシーボ。でも明らかに運動量は増えてるから食事は兎も角健康体ではあると思う。
兎も角として、午後はどうしようかな。資金集めかそれとも先程考えていたサラシアの街に戻るか。
「……戻るか」
狩りばっかしてたら流石に飽きるし、気分転換という事にしておこう。
ギルドを出て幾らか歩く。以前にも訪れた、人目に付きにくい場所だ。今の所ここで女神とかとの通信も行っている事が多い。今のところは此処が安全地帯って事だな。って事で此処からワープを開始する。この魔法については使う機会がそこそこ存在するから慣れたものだ。
「……ワープ!」




