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84話 祝杯の様子

 女神との念話を終了するや否や急ぎ足でもう一度ギルドに入って階段を駆け下りた。結構な長さの階段だから足元が不安になったけれども。

 扉を開けると既に祝杯というか宴会というかは始まっていた。皆が皆好き勝手に飲んで食ってをしているのが伺える。しかも騒いでいるもんだから、俺が入ってきた時のドアの音もその騒がしさにかき消されていた。

 ちょっとこういう空気になると輪の中に入れないという未だに克服しきれていない陰気な性格により気まずい。けれどもガレオスが此方にすぐさま気づいて此方に歩み寄ってきた。俺の入ってきた扉の音には皆無反応だったのだけれどもガタイとか知名度とかそういうものもあるだろうけれど、ガレオスが席を立ったという行為には皆気づいて何名かはその動向を見ている。何だろうこの差は……。


「サクヤ漸く来たか、遅かったけどどうした?」

「ああ、いえ別に」

「? まぁ兎も角とっくに始めちまってるからよ、ほら来い」

 そんな形で漸く飯である。ただまぁ祝杯とは言っても時間が時間というかまだ昼間なんだよな。一応あのマザーホエールが出てきたのも朝と昼との間くらいであった。激動の時間過ぎてすっかり時間感覚を見失いそうだ。しかし……よくよく考えたら昼間からこんな宴会じみたことを繰り広げているんだよな……。しかも酒も雑に飲みまくっているし。この後というか夜どうするつもりなんだ。


 何時もの如く俺はイドロヴィアの人達と同じテーブルに座る。この形での飯しか今の所体験していないのではなかろうか……。まぁお陰で食事代を消費していないのが有難い限りだ。資金に関しての余裕はまぁまだある方だろうな。ただ食事に関して余裕があっても宿泊費だのなんだのがあるから、ソロでもっと狩りして資金を集めていかねば。


「そう言えばサクヤさん」

「?」

 同じテーブルにいるカラマリが此方に話しかけてくる。

「サクヤさんって俺等と合流する前にソロ狩りしてたんすよね?」

「え? そうですね」

 あ。忘れていた。

「ああ、そう言えばサクヤさんさっき獲物出してなかったか」

 気付いたようにオルカも発言した。

 そうなのである。色々な事がありすぎて軽く忘れていたが、俺も魚をゲットしていたのだった。先程はイドロヴィアの人達に言われるがままに捕まえた分のものだけ律義に出していたのだったか。

「何だ、そういう事なら今にでも出してくるか? 何なら俺が調理して……」

「いや、資金貯めたいので……」

 ガレオスの提案をすぐさま拒否して否定する。ガレオスの表情がその短い間で一転し不機嫌になる。


「下手にガレオスに渡すと生け作りとかで帰ってくるからなぁ」

「流石に解体依頼で出されたもんまでんな真似、やんねーっつの」

「俺が獲ってきたやつそうしただろうが」

「いいじゃねぇかテメェらどうせ金なんて飯くらいだろ」

「こちとら家庭だってあるわ!!」

「てかリーダーだって家庭あんだろ。生活費どうなってんだよ」

 口々に叫ぶ。気づけば俺は会話の外にいた。しかしながら顔にこそ出さないが今心の中では驚きしか生まれていない。……いやしかし年齢が幾つか知らないけれども多分二十代後半とか三十代前後とかだろうから家庭をもっていてもおかしくない年……なのか。

 まぁまだ二日くらいではあるけれどもそんな話聞いてないんだよな。これだけ自由奔放ならば何かこう、もっと垣間見えてもよさそうなものだが。少なくともカラマリだけはガレオス達に比べて大分若く見えるというか喋りだったり言動だったりから察するに俺と同じくらいか少し上程度だろうから……まだだよな? そんな眼差しをカラマリに向けたのだけれども彼はそれを気にする様子はない。

 此方の目線に気づいたものの、彼の頭の上にははてなマークが浮かんでいる。


「どうしたんすか?」

「あーいや……」

 流石にこんなタイミングで切り出せるわけもなく。有耶無耶にして黙り込むことにした。まぁ、聞いたとて何か起こるわけでもなし。

 時間が経つにつれて人々の移り変わりみたいなものが激しくなっており取り分け同じテーブルにいた筈のガレオスなんかは好き勝手に移動しており何やら楽し気に話している様子であった。しかしながら他の三名はずっと同じテーブルである。

「やーガレオスは相変わらずだな」

「ほんとっすねー」

「ていうかアレリーダー酔ってんじゃないのか? 昼間っから飲んでただろ」

 その光景を見て平然とした表情を浮かべつつも笑っているようだった。彼らはガレオスみたいに移動とかしないのかな。……いや知り合いがこのイドロヴィアの面々しかいない身としては一人ぼっちになってしまうことになるからこのままの方がまぁ……良いんだけども。


「皆さんはガレオスさんみたいに……何か移動とかしないんですね」

「いやアレはガレオスが異常なだけだ」

「そっすよ」

「カラマリは意外とおっさん連中から好かれてるじゃねぇかよ」

 クテイスがそういいながらカラマリの頭を掴んでいた。ガレオスが異常って……結構な口ぶりだな。まぁでも確かに顔の広さっていう事で言えばこの短い間に痛感させられた節はあるな……。それこそ服屋の店主だのあとはこういった地下食堂だので人気者って感じがしたし。まぁイドロヴィアっていう括りで見たら多分この三名全員人気者だと思うけれどなぁ。少なくともカラマリがおっさん連中から好かれているという話に関しては妙に納得感がある。

 そんな感じでガレオスを除いたイドロヴィアの人達と共に祝杯としての昼食を過ごしていると後ろになにやら気配的なものを感じた。振り返ると……ガレオスだった。


「サクヤ、ちょっと来い」

「えっ?」

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