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79話 討伐後

 港町に現れた巨大なモンスター、マザーホエール。その討伐を終えた。辺りには証拠と言わんばかりのモンスターの肉片やら血やらが存在している。

「サクヤ、助かった。有難う」

「……いえ。無事に倒せて何よりです」

 軽い会話だけを交わす。どれくらい時間が経ったのだろうか。体感だけで言えばそれこそ一時間に時間だとも思えるし同時に五分くらいにも思える……そんな不思議な体感が残っている。

 二人、ぐったりとした状態で水に濡れた地面に倒れるように座った。

「あ、あれっ!?」

「っはぁ……はぁっ……は? ……もう終わりやがったのか?」

 するとイドロヴィアの人達が狩場に戻ってきていた。若干息を切らしているのが分かる。それでもってこの状況に彼らは皆一様に驚いていた。まあ命令されたこと終えたら多分すぐさま参戦するつもりであったのだろうけれどいざそのつもりで来たら全て終了しているというのだから驚くのも無理はないのかも知れない。それに辺り一帯が血の海が如しな状態だからな。


「おう、避難指示とギルドへの報告は済んだのか」

「う、うっす! ばっちりっす!」

「こっちも抜かりなく」

「終わってるよ。そんですぐさま戻ってきたつもりだったんだがな」

「ほんとっすよ!! さっすがリーダー!!」


「いや……仕留めたのはオレじゃねぇ」

「「「え?」」」

 イドロヴィアの三人が全く同じような反応を見せた。さっきから驚いてばかりに見えるけれどもまぁ当たり前と言えば当たり前だよな。


「え、じゃあ誰が倒したってんだよ」

 オルカの問いかけに対してガレオスは言うのではなくて無言で親指でもって俺の方を指示した。それでもってやはりというべきか三名はまたもや驚愕する。

「えっえっ……えっ?」

「信じられねーけど……ガレオスがんな嘘つく奴じゃねぇからなぁ」

「だな。まぁ……リーダーが気に入った奴だからな。確かにありうる……かもなぁ」

 しかしながらガレオスの発言だからという事なのか、彼らはそのリーダーからの言葉に納得している様子であった。……カラマリを除いては。


「えっ……つまりサクヤさんがアレを倒したって……そういう事っすか!?」

「そういう事だ」

「え、サクヤさんマジっすか!?」

 この人忙しいな。

「まぁ……はい」

「うおおお! ほんとっすかあ!?!?」

 カラマリだけが嫌に興奮した様子である。しかしながらそんな彼に対してオルカが後ろから拳骨を入れた。

「取り敢えず黙れ。……ガレオス、一先ずギルドに戻る形でいいか?」

「……ああ、そうだな。狩場云々はまぁ後だろ」


 ▼


 一先ずはマザーホエールを討伐し、それからイドロヴィアの人々と集合してからギルドに戻ることになった。しかし体が血に塗れたからだろうけれど臭い。この世界ってシャワーとかの概念あるのかな? まぁ水魔法で最悪体を洗えばいいんだけれども、それで臭いがとれるかどうか少し心配になる。最悪女神に何とかしてもらえばいいか。

 そう言う訳でギルドに到着したのだが、こちらのギルドに関しては宿泊施設だとかは存在しないので多分身体洗ったりとかは出来なさそうだよな。


「あの……体とか洗わなくていいんです……か?」

「あ? 洗うに決まってんだろ、何言ってんだテメェ」

 ガレオスにマジの反応を食らった。っても川に突っ込んだ時はそんなのなかったよな。それに少なくとも説明受けた分と実際に見た分とでの話にはなるがそんな施設見た記憶ないぞ。

 不安がる俺を他所にイドロヴィアの人達は当たり前のようにギルドに入る。そこにはあり得ないくらいの人で溢れ返っていた。恐らくはマザーホエールによって避難指示を受けた人たちが不安になって集合しているとかそんなのだろうか。ガレオス達が入ってくるのを見るなり一斉に皆声を荒げて何か言っているのが分かる。けれども本当に皆一斉に言うからなにを言っているかまでは聞き取れないが。それはガレオスも同じようで最初のうちはあまりに気にせずにスルーしている風だったのだが次第に肩を震わせてとうとう限界に達したようで、叫んだ。

「るっせぇぞテメェ等!!! マザーホエールは既に倒したからちったぁ大人しくなりやがれ!!!」

 途端に他の冒険者たちは黙りこんだ。それと同時にガレオス達に対して道を開ける。……モーセみたいだ。

 俺もガレオス達の後をついていくのだけれどもちょっと他の冒険者たちの目が若干此方に向いている気がしたから何だかこう……気が気でなくなるな。

 そう言う訳で後をついて行ったところ、そのまま階段を下りてまさかの解体所へと入って行った。

「えっ?」

 驚く俺に対して前にいたクテイスが此方を振り返る。

「どうした? 早く入れよ」

「えっ……いやここ解体所……では?」

「だからだろうが、早くしろって」

 どういう事だろうかと怪訝な様子で解体所の中に恐る恐る入って行った。何をするつもりだ……? まさか解体中に汚れた手だとかを洗う流して体を洗うとかそんないかれた行動でもするつもり……なのか?

 彼らの後をついていく。ギルドの解体所自体は入った事はあるが全貌を見た記憶はあまりないな。チラ見程度の記憶しかない。


 ……?


「え、あれって……?」

「シャワールームだぞ」

「えっ……えっ、そんなのあるんですか」

「何言ってんだ、あるに決まってんだろ」

 驚く俺に対して逆に驚くかのような目でもって此方を見て来る。そして彼らは一定の方向を指さした。何があるのかと指し示されたほうを注視する。

 ……なんかそれらしい施設が見えた……気がする。何でここに設置してるんだ……?

「解体やってっと血だのなんだので汚れるからな。特にデケェ獲物だとより一層な」

「宿だとか家だとか向かってる時間がアレだからな。数が多い訳じゃねぇがガレオスとサクヤさんだけなら別に問題はねぇさ」

 確かによくあるシャワールームが幾つか存在する形状っぽくて各々に扉が見える。数自体は確かに多くないな。片手で足りる程だ。兎も角として使わせてもらえるのであれば有難く使う限りなのだけれど……こう……セキュリティというかシャワールームだとしたら何かこう……心許なく感じてしまう。まぁ見た限りじゃこっちの解体所にはフィレナみたいに女性の姿とか見えないんだよな。だから成り立ってるのかな……。


 取り敢えず体を洗った。

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