75話 イドロヴィアの人達と合流
狩りをもう少し続けるかと決めたは良い物の、あんまり人が少ないスポットって少ないな。やっぱり港町だからってのもあって端っこでも海付近だとやはり人の姿がちらほらと見えてる。魚ってなると水面とか揺れるし草原の上だとかよりも目立ちそうなんだよな。
適当に歩いている。一匹とはいえサイズがデカい魚を一匹確保出来ているから……一日分の生活費くらいにはなってくれる……よな?
ちょっと心配ではあるがまぁため込んだ分の金もあるし大丈夫だと信じたい。まぁこんな心配しなくとも本来は良いスポットが他に見つかればある程度は丸く収まる……が、やはり女神の言葉が行動を縛っている。
海にそって陸地を歩いていると当たり前ながら川に近づいているのが分かった。狩場の陸地は途中に大きな川が地を分断しているのでどうあがいてもこの川には行き当たる事になる。それでもってふと気づくのだが、ここイドロヴィアの面々の狩場だったか。流石に交流がある程度で暗黙の了解とはいえ専用狩場で行う訳にもいかないな。
そう思って一先ずは橋を渡ってある程度距離を置こうとした。その所に背後から声を掛けられた。
「サクヤさんじゃないっすか」
「えっ……あっ……あれ?」
噂をすればなんとやら。イドロヴィアの人達の姿がそこにはあった。しかしながらリーダーであるガレオスの姿だけは見当たらない。いるのはその他のオルカ、カラマリ、クテイスの三名であった。
「ガレオスさんは何処に」
「お? リーダーに用事でもあったか?」
「ガレオスは今ギルドだよ。あれでも管理者だからなぁ」
「まぁその内来るんじゃないっすかね」
そう言えばあの人管理者だったな。それらしい立ち振る舞いみたいなものを見ていなかったから忘れていたよ。とは言え確か本人もサラシアみたいに仕事が出来るわけじゃないからある程度は他人にやらせているんだったか? それでもまぁ流石に最低限のやるべき仕事くらいはあるだろうからソレに追われてるのかな。
「狩りっすか?」
「え……まぁそんなところ……ですかね」
俺がそう言うとカラマリだけ目を輝かせている感じがして此方に興味を示しているのが分かる。
「おお、何か獲れたっすか?」
「一応一匹だけは……ちょっと狙う場所変えようかな……と」
人が少ない所に行きたい。個人的にはイドロヴィアの人達が普段狩りしている場所で出来たらば、と思う所はあるが流石にそんな権力をかさに着る真似は出来ないしな。例え向こうから許可を貰えたとしても周りの目がそれこそ気になる結果になるだろうからまぁ断るのがベターだな。……とまぁ勝手に話すら持ち上がってない仮定の話を考えているわけだが、痛々しい思考この上ないな……。
「おお、凄いっすね! 俺無理っすよ!?」
「カラマリ、それはお前がソロで狩り出来ない雑魚なだけだろ」
「ほんとそれ」
関心の目を向けるカラマリとそんな彼を会われむ他二人。やっぱりガレオスもそうだったけどこの町の人からしたら普通なんだな。さっきも初めてとは言え色々手間取った部分もあるしなぁ……。
「そう言えばサクヤさん昨日顔色悪そうだったが……大丈夫か?」
「ああ、はい……ひと眠りしましたし一応は……」
全然大丈夫じゃないけどな。流石に不必要な心配をかける訳にはいかず嘘を吐いた。
「狩りに来てるんだから最低限大丈夫だろ。まーそうはいっても無理はすんなよー」
「あ、そうだ昨日の模擬戦闘の続きしましょうよ!」
「馬鹿かカラマリぃ。お前今の会話聞いてなかったのかよ」
カラマリを頭に拳骨を入れながらクテイスが言う。
「えーでも結局昨日俺負けたまんまですし」
「しかもお前がまた戦う気かよ」
「だって負けたまんまなの悔しいっすし」
「相手の迷惑考えろ」
再び二度目の拳骨。それを食らったカラマリが小さく「いでっ」と呟いていた。それからカラマリ以外の二名、クテイスとオルカが
「こいつの頼みは基本的に効かなくていいからな」
「そーそ。馬鹿のいう事だからな」
言われたい放題だなカラマリ。ちょっと気の毒になるがまぁ年下のポジション独特の奴って感じだろうな。可哀そうに。
「いやぁ自分は気にしてませんから。それにイドロヴィアの人達にそうやって買ってもらえてるのは有難い限りですよ」
社交辞令っぽいフレーズをつらつらと並べたところまたもやというべきかカラマリが反応を示す。
「あ! じゃあこうするっすよ! サクヤさん一緒に狩りしましょうよ!」
「えっ……?」
「まぁたお前は勝手に口走りやがって」
「サクヤさん、もう一回言うけど此奴の頼みとか無視して良いからな」
二人はそう言ってくれた……が、少し考え込む。正直女神のあの予感とやらがいつ起こるか分からない以上、イドロヴィアの面々と共に行動しておくのは悪い話ではない……と思う。それとやはり魚を獲得するってなると誰かに教わった方が良いだろうし……。特にサーチなんてチートな魔法普通の人には使えないらしいから、普通の人はどうやって魚を探してるんだろうか、という好奇心もある。
「酷いっす! 良いじゃないっすか! それともオルカさんもクテイスさんも嫌なんすか?」
「誰も嫌とは言ってないだろうが」
「相手の都合考えろってんだろーがよ」
彼らはそう言うがしかし俺はそのカラマリの提案を受けることにした。……まぁ他二人も問題ないと了承してくれない限りは言い出しづらかったけど。
「差し支えなければ……ご一緒させてください」




