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71話 女神とその後の夜ご飯と

 そうだ、そうだと思い出したように今度は念でもって女神に対してコンタクトを試みる。するとどうだろうか、今度はすぐさま反応があった。

『どうした?』

「えっあっ……!」

 思わず声が上ずってしまう。そんな奇妙な声をあげるもんだから通りかかる人がちらりと此方を見てくる。やばい、と思ってすぐに逃げ出して路地裏まで走った。

 一先ず人気のない場所まで移動が出来たので改めてテティスに対して念を送る。

『ったく騒々しい事この上ないな……』

「いや……あの……ええと」

『落ち着かんか! 何がどうしたというのだ』

「いやあの……さっきまで女神に連絡とろうとしても取れなくて……」

『さっき、というのは?』

「ほんとについさっきです。その……店の中で会話してた時くらいに。時間にしても十数分前とかで……」

『む……記憶にないが……。港町の様子を探っていたが故に貴様の声に反応できなかったやもしれんな』

「そういうもん……ですかね」

 それだけで結論づけるのは何かちょっと引っ掛かるんだよな。まぁでもこうして応答が再びあったから良しとすべきかな。

『それで要件があったのではないか?』

「ああ、いえ……解決したと言えば……解決したことなので……。強いて言えば何かあの予言……と言っていいのか分かりませんけれど、何か分かったりとかは?」

『いや、まだだな。港町に関しては基本的に変わり映えらしいものがないしな』

「イドロヴィアの人達が獲れる魚に変化があったみたいな事は言ってましたけど……っても定期的に訪れるものなんじゃないかーって話らしいですが……」

『ふむ……魚か。確かに獲れる魚の変化というものは私も把握していることではあるな。何かあるとは思えんが一応見ておこう』

 そうか一応女神だからこの国全体の様子は一通り見てるし知っていても可笑しくはないかな。

『一先ず貴様はそろそろ港の方に戻れ』

「あ、はい……そうします」

 そうだったな。そう言えばイドロヴィアの人達が狩りに出ていたからその隙に……って感じだったか。こういう時に時計がないのは不便だな……正確な時間が分からない。

 女神との会話を早めに終えた。

 兎に角急ぐか。早い所場所を思い出して……。


「テレポート」


 一瞬で視界が暗転する。

 視界が明瞭になってゆっくりと目を開けるときちんと港町に辿り着けていた。とは言えギルドの目の前、だとかそういう場所ではないので早めに戻らないとな。

 急ぎ足でギルドに戻って階段を下り地下食堂まで向かった。イドロヴィアの人達はもういるのかな? ドアを開けてちらりと中を覗いた。今の所姿は見えない……かな?

 店員さんに話しかけられる。イドロヴィアの人達との約束がある事を告げたのだけれども信用してもらえなかった。いやまぁそうかもしれない。よく知らない冒険者ともとれぬ風貌の人間がイドロヴィアというギルド関係者と繋がりがあるっていうのは想像しにくいか。

 まぁでもそこの繋がりに関しては後で証明すればいいか。それこそ本人たちが来たら多分向こうから話してくれるだろう。という事でひとまずは一人客という事で通して貰った。

 もしかして今解体所とかにいるのかな? だとしたらそっちに顔を出すべきだったか? そんな思考が一瞬過ぎりはしたが、今更考えてもどうしようもない事である。どの道解体中にせよそうでないにせよ待っていれば此方に来るのは確定事項であるのだから、適当に水を飲みながら待つとするかな。

 サーブされた水を飲みつつ食堂の様子を眺めていた。夕餉時だからだろうが人が多い。店員さんたちも忙しそうであるし、遠くに見える厨房も大変そうだ。まるで他人事のように眺めているが実際問題今の所は他人事である。


 暫く何も考えずに更に言えば何も頼まずに座っているとドアが開く音がした。案内された席はそのドアから遠くであったけれども雰囲気だけで何者か分かる。イドロヴィアの人達だ。威勢よく声を張り上げて、キョロキョロと辺りを見渡していた。よく見ると獲物らしい獲物が見えないし更に言えばリーダーと呼ばれていたガレオスの姿も見えないから多分そのリーダーに関しては直接解体所の方に向かった、という事かな。

 俺の存在に気づくとガレオス以外の面々が此方に寄ってきて同じテーブルに腰かけた。

「おっすサクヤ」

「ああ、どうも……」

「何かちょっと顔色良くなったすかね」

 顔色がどうとかというよりは他にも色々謎が増えたからそっちに気を取られているだけな気もするが。気分的に少し楽になったしまぁ良しとしていいかな。


「ガレオスさんは……?」

「ああ、リーダーなら解体所だな。多分すぐに来るよ」

「っすね」

 問いかけに対してクテイスが答えて同じようにカラマリが相槌をうつ。

 やっぱり俺の推測はちゃんと当たってたか。まぁ普通に考えたらそうか。


「デカいの獲れたから期待しとけよ」

「最近調子いいっすよね」

「でけぇだけに持って帰るのも大変だったがな」

 オルカが笑いながら言った。


 談笑しながら席について待っていると再びドアがばん、と開いてガレオスの姿が見えた。イドロヴィアの面々も立ち上がり声を出す。

「おっ来たな」

「ガレオス、こっちだぞ」

「待ってたっすよ~!」


「おー持ってくるから待ってろよ」

 そう叫んで厨房の方から何か持ってきている。大量の皿が見えた。遠目からでは流石に何か分からなかったけれどもガレオスが此方まで寄ってきて皿をサーブした。昼間は刺身とかもあったが今回は揚げ物ばかりになっている。獲れた魚とかで変更しているってことなのかな? 流石に調理済みの状態じゃあ種類までは分からない、か。この辺りの知識云々に関しては生活していく中で身に着ける他ないだろう。幸か不幸か自らの手で料理をする事は多分無いだろうから適当に魚を獲って売ってそれから食糧を買ってってやれば問題はない。


「おうら、食え食え!」

「へへん、戴きます!」

 我先に、とカラマリが綾里に手を付けていた。それを追うようにして他の面々も料理をばくばくと口に運んでいる。傍からその光景を見させられてぽかんとしているとガレオスの手によって口の中に料理を半ば強制的に放り込まれた。

「おら、テメェも食えよ」

 流石に量を考えてくれと言いたいが口の中がいっぱいなので何も発せない。そんな感じで夜ご飯を終えた。

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