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69話 飄々とした男との再会

「ふぅ……」

 危機的状況……と呼んでいいのかは分からないけれども取り敢えず今はそう呼んでおく。そのような状況から一度何度も訪れた街の何度も訪れた路地裏に転移する。それだけで心なしか安心感を覚える。一先ず女神に一度此方に戻った事は報告しとくかな。


 頭の中で念じる。すぐに女神から反応があった。

『どうした……って貴様、此方におるのか』

「ちょっとだけこうなんか心が落ち着かなくて……」

 流石に勝手すぎたか? と身構えたがテティスは

『まぁ貴様に丸投げに近しい状態にしておったからな。こればかりは咎めんよ』

 と返した。

『しかし此処に来て何になる? まさかあの娘の所にでも行くだとかそういう算段なのか?』

「あ……っと……」

 言葉に詰まる。最初はそのつもりで――ロイの所に訪れるつもりでいた。本当に心を休めるために、っていう理由で。とは言え流石にそれは問題解決ではなくて逃避行である。ただただ先延ばしになるだけだ。勿論この問題に関して先んじて何か手掛かりを見つける役目となると本来はこうして念話でもって会話している女神なのだが、彼女から知らされた結果気が気でない。のうのうと狩りだのなんだのに興じる事が難しい。

「最初はそのつもりでしたけど……」

 けれども今は違う。相談という事であれば多分イドロヴィアの人達よりも聡明故に頼りになるであろう存在が思い浮かんだのだ。

 イドロヴィアと同じギルドの管理者であるサラシアだ。港町の事とは言え多分あの人なら何か知っているのではなかろうか、という淡い期待からくるものだ。

『成程サラシアか。女神ですら飲み込めぬ事態が故に解決するとは思えんが……』

「まぁ……気休めになれば……と」

『それで充足するのであれば好きにするが良い。個人的には勧めんがな……』


 と言う訳で女神への報告も取り敢えずは終わって今一度街に戻ってきたという事実を実感していた。それからすぐに移動を開始する。

 序に言うとロイのところに向かうと多分時間とかの関係でそのまま夜ご飯からの就寝まで勝手に行われそうなので、そこも危惧した。


「お、サクヤさんではないですか」

「えっ……あ……」

 声を掛けられた。けれどもこの声はサラシアのものではない。声がした方向を見るとニコニコとした表情で雲か霧かを連想させるような風体の男がそこにはいた。驚きのあまりというか何というかで言葉につまる。

「ははは、お忘れですかね。私はホトギと名乗った者ですよ」

「え……ああ……そうだ、そうでした……ね」

 何でこう思い出せなかったのだろう、と彼から名を告げられてから思った。兎も角としてサラシアと出会う前に別の男と出会ったという形になる。

「しかし――どうして此方に居られるのですか?」

「え?」

 彼の問いかけに対して頭の中にはハテナが浮かぶ。

「いえ……何処かまでは分かりませんけれどもここ数日の間、何処か旅に出ておられたのでは?」

「そう……です……けれど」

 あれ、でもこの人に出会ったのって一回きりだった筈なんだけどな。記憶が若干曖昧だけど、確かこの人と会話した時はまだどこに向かうか何て決めて無かった筈――なんだけども。

「あれその件についてお話した記憶が無いんですけれども……」

「ああ、それは推測というものですよ。最近ギルドの方での買取が平々凡々と言いますか。変わり映えのない様子でしたから」

「ええと?」

 詳しく聞いてみるとホトギ曰くこの街において高額の……というか森で狩れるモンスターを買取に出すのが俺くらいしかいないらしい。ちょっとした情報通であれば買取に出されたモンスターに何がいるのか、とかを知るのは容易いらしい。つまりは俺が買取に出していたモンスターが突然パッと途切れたが故に彼は俺が何処かに出かけている、という結論に達したのだとか。こうして推測の流れを端的に言われたらまぁ納得出来るといえば出来るんだけれども、推測だけでそこまでいけるのか……。

 ついでに加えられた言葉としては森独特の香りがしなくて代わりに潮風のような匂いも気になっていたとのこと。確かに海近くの川に一度突っ込んだけれども。

「差し詰め港町……ですかね? うん、期間を考えると徒歩距離ならこの位ですかね。戻ってきた方法は私がアドバイスとして言ったテレポートでしょうか?」

 本当にこの人神か何かかってレベルで全てを見透かしてくる印象がある。以前に出会った時も確か俺がこんな身なりで冒険者であることを当たり前のように言い当てていたっけか。何だかこう話しているうちに身元とか勝手に推測されて異世界からきてるとかバレたりしないか? いや幾らなんでもそんな概念神様レベルじゃないと知り得ない事……だよな?

「何を言っても見透かしてきそうですね」

「ははは、それは過大評価という物ですよ。私はこの手の推察が好きなので、ちょっとだけその方向には強いというだけです。流石に幾らなんでも全てを見透かせる等という芸当は難しいものです」

「そう言うもんですかね……」

「ははは、まぁ良いではないですか。それより今お時間等ありますか?」

「え……ああいや……ギルドの……サラシアさんの所のにちょっと」

「そういう事でしたら難しいかと思いますよ」

「難しい?」

「ええ。この時間ですからね。席を外してる頃合いですよ」

 時間的には……まぁ夕餉時だから丁度そういった時間帯ってことなのかな。


「私でよければお話位は聞きますが?」

「えっと……じゃあ?」

 ホトギの言葉に対して流れるように答えてしまった。

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