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6話 そして狩りへと流れていく

「さて、貴様はこれで無事魔法を扱えるようになったし、あとは好きに動くが良い」

「好きに……と言われましても……」

人間本当の意味合いでの自由を貰ったとしてもそれは持てあますというものなのだ。完全なる拘束も好かないけれど完全なる自由も何をすればいいのかわからない。チュートリアルは人生にはないからな。

「なんだ?」

「いや……まぁええと他の国も渡り歩く……でしたっけ? それをすればいいのは分かってるんですけど、こう、具体的に何かすることと言うか……指針と言うか」


「貴様は赤子か……。まぁ異世界に来たばかりであるからな、多めにみてやる。ひとまず、貴様は恰好から変えておくが良い、その恰好じゃ外では目立つからな」

「恰好……か、確かに……」

ふと自分の服を見て私服であることを思い出した。この世界の人達の服装とやらは知らないけれど、彼女の発言的に似つかわしくない格好という事でいいのだろう。

「そうは言っても……その……お金解かないし……」

使える気はしていないけれど、思えば掛けていた筈のバッグも何処かに消えている。自分がトラック事故にあった上で異世界転生だとかをしているのであればその時に肩から外れて飛ばされたのだろうか。そもそも手に持っていた本やスマホだって無い。まぁあったとて何の意味も持たないだろうけれど。

「その着ている服と交換でもして貰えばよかろう。腐っても異世界の服だからな、多少の値は貼るというものだ。…それに、金策などこの世界では幾らでも存在しておるから安心せい」

曰くこの世界ではテンプレートにもモンスターなるものが存在しているようで、その討伐報酬や素材の売り買いで生計を立てている、所謂冒険者と括られる人は一定数存在するのだとか。これもファンタジー世界では定番と言うべきか、それを取り纏めるギルドと言う存在があるらしい。魔法の世界に冒険者とギルドそしてモンスターというどこまでもテンプレートをなぞってくれている。

「ええと……ひとまず適当にモンスターを狩って、それを売って食べ物とか必要なものを買う……とかそういう事をすればいいって事か」

「そこだけはえらく飲み込みが早いのだな」

まぁこればっかりは今まで沢山見てきたものだしな。大まかな仕組みはどの作品でも同じようなものだし、恐らく大丈夫だと思いたい。ならばもう大丈夫か、と寝室の中にある恐らく出口とみて良いだろう扉の方に駆け寄ったのだが、そこでふと気づく。


「……そういえば」

「なんだ? 早く行け」

「ここって女神の寝室ってことは……宮殿的な何かなんですよね?」

「そうだな」

「これ俺そのまま出ても大丈夫なんですか……?」

この世界の構造は情報としてはなんとなしに分かったとはいえそれは全てを知り得たわけではない。寧ろ先程の金策同様知らない事も大量にある。その一つとして、ここが具体的にどこなのか、という問題。あくまで与えられた情報と言うのは自分が取捨選択して知り得たものではなくて女神テティスからもらったものであるから彼女が必要ない、と判断した情報は基本的にない。

詳しいわけではないのだけれど、神様の宮殿とするならば普通は付き人的な存在が何処かにいて然るべきではなかろうか? それこそそこいらの金持ちですらメイドや執事を雇っているイメージがある。……まぁ実際の所は知らないけれど、ただそれでも女神、という存在であるならば身の回りの世話をしてくれる人はいるはずだ。そしてその人は今の所この部屋には訪れていない。が、しかし何処かにいるはずだ。何が言いたいのかと言うとそんな立場の人に俺と言う存在が、寝室から出てきた俺と言う存在が見つかって大丈夫か、という心配だ。もしかしたら殺される気がする。そうでなくともこの世界においての社会的信用というものが崩落しそうだ。


「確かに、使いの者もおるからな。良い貴様をどこか適当な地上に転移させてやろう」

転移、といった。流石に無理だろうけれどその魔法を使えば異世界転移とかできるのではなかろうか? ……いや女神が事象として知らない事なのだから、やはり不可能な事なのか。

テティスは手を俺の方に向けると呪文を唱えた。途端に俺の全身が光に包まれ、思わず眩しさに目を閉じる。


ようやく場所が変わるとかなんだ

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