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48話 狩りもすっかり慣れた……と思う

 無難にそこいらで見つけた食堂で済ませた。何となくの半端な拘りとしてまた違う店に入った。食事事情が発展しているからこれに関しては今の所そこまで苦労はしていない。まぁ今の所そもそも食べてなかったり他人の食卓に入らせて貰ったりもしているが……。

 兎も角として飯を終えた後は宿探しである、元の世界も含めて一人で、っていうのは初めてではなかろうか。それこそ家族旅行とか修学旅行とかあったけど当然ながら一人で止まっちゃいないし。


 何処が良いのかは分からないけど、外観の雰囲気と値段で決めてしまえば良いかな。冒険者の多い街ということもあって宿と思われる施設が多い気がするな。その中から目についた所で一泊を過ごした。料金的には8000ケルマなのでまぁ八千円という事で良いだろう。


 正直な所昨日一昨日と固い床の上で一夜を過ごしたので、今日こそは柔らかなベッドにありつけるというのは本当に有難い限りである。まぁ固い床を所望した日もあったわけだけど。

 兎も角としてそうして次の日になった。今日の予定も雑に狩りをして金稼ぎである。大体どのくらいの金が必要かは分からないけど、日に何万ケルマと稼いでいるのだから今日明日くらいまで狩ってればそこそこ溜まるのではなかろうか。


 朝食を済ませて朝一でギルドを訪れた。受付に紙を見せてフィレナの下に向かう。

「おはよう、サクヤ……って何か眠そうだね」

「何というか……気が抜けているというか」

「平和ボケした冒険者ね。取り敢えず今回の買取分。前言った通りちょっと色ついてるから」

 そう言われて麻袋を貰う。相も変わらず重さマシマシのケルマの小銭である。そもそもサイズ感的にも日本の硬貨より大きいので、俺みたく収納の魔法がないと困りそうだよな……。

「どうしたのさ」

「いや……普通の冒険者ってこのケルマの小銭大量に持ち歩くんだなと……こう、重いんで」

「ああ、そういう事ね。……そうは言っても大体の冒険者はお金は拠点で保管するか一気に現物に変えるかが基本だからそうでもないわよ。というかお金の重さで悩むなんて贅沢なのよ、言っておくけど」

「そう……なんですね……」

 指摘されてしまった。しかし正直な所管理も面倒になってきた感覚はあるんだよな。別段この世界のお金ってどうやって作っているのかは知らないが多分鋳造であろう。で、このお金ただただコインといえば、ああそうだね、となるような形でそれこそ五十円玉みたく穴が開いてるわけでもないので、一纏めにするの結構手間ではないのか?


「そんなに気になるんなら麻袋使って分けてれば? マメな人ならそうやって保管してる人多いらしいし」

 結構貰う側任せなのか。まぁお金の数え方としてはこの世界では色々発明されてるらしくて、それこそ既に支払いで見たのは重さ比べだった。

 硬貨の重さは一定なのでそれを利用して重さが一緒になった所からプラスマイナスがどうなるか、みたいな測り方をしていた記憶はある。


「……そう言えばあの森ってまだ俺が捕まえてないモンスターっているんですかね」

「ん? ああ、あの森ね。ここいらの冒険者は皆あの森いくならそのまま草原に行くのがベターなのよ」

「それは前聞きましたけど」

「それなら何となく想像出来ない? 誰も近寄らないから情報が少ないのよ、あそこ。だからどんなモンスターがいるのか、ってはっきりしてないの」

「ああ……」

 考えてみれば自明の理だったかも知れない。シンプルにあそこ未開拓地みたいなもんだったな。となると俺が開拓者みたいなもんか。

「まぁそう言う訳だから、知りたいなら自分で狩るのが一番だと思う」

 開拓者になりたい訳ではないけれどそれが一番なのだろうな。兎にも角にも、開拓者にせよ第一発見者にせよ金稼ぎの必要性が存在するのであの場所での狩りは継続である。

「そうだ……俺その内この街出て南の……港町の方行くつもりなんですけど」

「ああ、あそこね。いいじゃん」

「それで、こう何が必要かなぁと……」

「何って言っても私別に各地を転々としてる訳じゃないから、経験論じゃないわよ?」

 そう言って親切丁寧にフィレナは紙を取り出してわざわざ書いてくれた。

 ざっくりと見た限りでは既に俺が集めてたものが殆どで、その範囲外のものだと「火を起こすもの」とかが目につくかな。まぁそれに関してはそれこそ魔法で何とかなったりしないかな。氷とか出せたんだし、火ぐらいなら起こせるんじゃないかな?

「てかこれなら表の冒険者共に聞けば?」

「まぁそうなんですけど」

 正論でしかないけどわざわざ聞くのが何か憚られるんだよな。女神様にその辺りも如何にかして貰ったハズなんだけどそれでも何だかな、という言語化出来ない緊張感みたいなものが存在している。

「……取り敢えず知ってる人から何かしら情報欲しいなって……特にこう、日持ちする食糧とか特に」

「日持ちを気にするなら、売り物屋に行けば勝手に進めてくれるわよ」

 何か服屋の店員みたいだな。


 彼女から受け取った麻袋を収納の魔法の中に、紙は面倒なのでポケットに入れてギルドを出た。ギルドやら一部の店やらは兎も角として結構な数の店がまだ時間帯が時間帯なのでオープン前である。なので取り敢えずの狩りだな。


 森に到着してサーチの魔法を発動する。辺りをきょろきょろ見渡して光を確認した。すぐさま光を発見する。数にして三つほどだ。どれから探るか考えたがまぁ左端から順にやっていくとしようか。どんなモンスターか分からないけれど移動が確認でき、動きとしては何方かといえば大きい方で、光の位置がそこまで一定ではないな。少なくとも動物系であるし更に言えば、動きからしてフォレストディアーではないのだろう。まぁ対象のモンスターを判別できるほどの知識はまだないし近づくか何かしなくてはな。

「一発……うってみるか?」

 いやでも今回は動きが結構あるから、普通にやったら外れる確率の方が大きいかな。もう少し近づいて様子を見るか。動くものとなると、ベアかボアかスネークか、といったところかな。

 草木を掻き分けて進んでいると、何やら音が耳に入る。もう近いのだろうか? と思って辺りを見るが木に隠れているのかなんなのか、まだ姿が見えていない。耳を澄ましてよく聞いてみると足音のようである。それから動きに伴って発生しているのであろう草木に触れる音。特にばき、ばきという音が混じっているように感じる。

「サイズデカいのかな」

 だとするとヒュージボアか? 確かにフィレナから聞いた話にしても森の中で遭遇した時もそうだが動きは機敏というかこの位動いていても不思議ではないくらいの挙動はしていたかな。

 動きの癖らしい癖はないから、流石にスナイプするのは俺の腕だと難しいな。もう少し近づくか。

 ちょっとだけ身を屈めて進んでいく。音は段々と近くなるが一向に姿が見えない。

「やっぱりサイズは大きい感じがするな」

 それなら雑スナイプしても問題ないかな。右手を前方に構えて動きをまずは読み取る。癖らしい癖は無いが愚直的でもあって、基本的に一定の方向が多い。ならば、読みきれると思う。

「……左向き……このあたりか」

 ショット。

 少し待つ。耳を澄ましてみる。

「グゥッ」

 呻き声が聞こえた。時間差で聞こえたという事はその時間差分を計算すれば距離が分かるであろうけれど、そんな計算何て必要ないだろう。多分きちんとヒットした……と思う。光の移動を見てみると……というか周りから聞こえてくる音が既にもう物語ってくれているのだけれど、どうにも中途半端に攻撃したらしくて呻き声をあげながら暴れているかのような音が聞こえる。失敗したようだな。

「くっそ……いや一撃で……仕留めれば……」

 暴れているまだ姿がきちんと確認できていないモンスターに対して出来る気はしないが、それが一番楽な方法だ、と信じて放った。

「アクアボール!!!」

 また上半身が掛けたものを買取に出すことになるかもしれないけれど知った事ではない。中途半端に殺めたその状態から早く解放してやらねば。

 どおん、と大きな音がして途端に木やら何やらの他の音が途絶えた。


「いけた……のか?」

 光は……動いていない。完全停止している。それに無音状態の今がそれを物語っている。

 とは言え用心である。ゆっくりと近づいていくと段々とその全貌が明らかになる

「うわぁ……あ?」

 何といえば良いのだろうか。少なくとも、というか明らかに、正しく明らかに以前……ロイが追っかけられていた時の猪よりも二回りほどは大きな猪だ。しかし色合いだとかは似てる……よな。

「でか……え、なにこれ……」

 流石の大きさに言葉を失う。辺りを見てみると木々が幾つか倒れていたり欠けていたりという様子が見えた。散々暴れたからな、まぁこれくらいにはなっているかな……。

 サイズが相当大きいので持てるか不安ではある。重いだけなら女神の魔法からくるバフのお陰で大した問題ではないのは理解しているが、ここまで大きいとそもそも掴めるのか、とかそっから上手く収納できるのか、とかそういった疑問の方が浮かんでしまう。

 まぁそれを悩んだとて意味は無いから素直にそのまま、取り敢えず足を掴んでどうにかしまい込んだ。これ取り出す時も大変だよな。

「いきなりヒュージボアは幸先が良い方だよな」

 確かヒュージボアは前半部分というか……上半身と形容して良いのかは分からないが頭とかその辺りが高く値が付くって教えられた記憶がある。


「よしよし次の光を探すか」

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