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36話 狩ったモンスターについて

 その後も何体か探し回りひとまず5体ほどを狩ったので中断することにした。これらを売ればそこそこ金が入るんじゃないか、と僅かな望みを胸に。時間的にはもう少し余裕こそあったけれどもそろそろ日が沈みそうな時間帯だったということと森のモンスターは既に何度も聞いてはいたけれどやっぱり厄介なものが多かったのでこれで一度お終いだ。当初……それこそ今朝の段階ではまぁ明日までの精算とかでいいかと思っていたけれどダガーを買ってしまったのでそうも言ってられないな。出来れば消費するお金に関しては安上がりであってほしいけど仕方ない。精々高値で売れる事を願うばかりだ。


 謎に顔の様なものが見えた木の他には蛇とか熊とかが見つかったのでそいつらを狩った。熊は俺も良く知ってる動物園何かでも見た記憶のあるサイズ感だったけれど、蛇の方はというとサイズ感というか細さで言うと俺が知ってる蛇と比べたら雲泥の差で細くてコードのようだったのだけれど、長さがめちゃくちゃあった。まっすぐに伸ばしてないから分からないけど少なくともそこいらの木よりは余裕で高いだろう。勿論この森の中での木である。しかしそんな長さがあっても地味な色と前述した細さのせいで蔓か何かかと思っていた。その所為で不意打ちで噛まれてしまったけれど、痛みこそあったがヒールですぐに回復できたし毒のようなものも無さそうだからよかったいうべきか。まぁこの細っこい蛇にしても木にしても買取の価値があるのか不明だけれど。10でも100でも売れれば最低限良しとしようか。


 そうしてギルドにまで戻ってきた。動物系のデカいモンスターなら軒並み裏口らしいので、木も裏口で見せればいいか、と裏口に直行した。受付の所に昼頃にも会話したおっさんがいた。カラボスとかいう名前だったかな。

「お、お前昼の……サクヤつったか」

「ああ、カラボスさん……でしたっけ」

「おうよ。で、今度は何とってきたんだ?」

「五体くらいいるんですけどこの場所にそのまま置いて大丈夫ですかね」

「そんなにでけぇなら開いてるテーブルに案内するから置きなよ」

 言われてカラボスについていく。ちらりと中を見ると奥の方にフィレナの姿が見えた。何か解体しているのは分かるが背中を向けてるのでこっちには流石に気づいてないな。

「あ? フィレナなら仕事だぜ。残念だったな~」

「いやいやいや……そんなんじゃないんで」

 この年齢のおっさん大体こういう絡み方してくるよな。悪い人じゃないんだろうけれど、正直というかめちゃくちゃうざいのでやめて貰いたい事この上ないな。

 開いてるテーブルに案内される。どうにもこのテーブルがカラボスの仕事場所らしい。

「ほれ、出せ出せ」

「あ、はい……えーっと昼と同じでフォレストディアーと……それからあとのモンスターは名前分からないんですけど、何か木のやつと……それから熊と蛇と……あとちっちゃい猪ですねこれ」

「何言ってんのかよく分からんが、そのモンスターが何かは分かるぞ」

 言い終えてから気づいたが、そうか、熊も蛇もこの世界じゃ通じないのか。猪もボアって大体言われてたのを忘れてたよ。


「この木は……これ全部同じ奴だよな」

「そうですね……でかかったので切っちゃいましたけど……」

 普通の冒険者はこのデカい塊どうやって運んでるんだろうか。切るにしても限界があるよな。

「じゃあこれはファントムツリーだな」

「ファントムツリー?」

「化けた木だよ」

 カラボス曰くこれはちゃんとモンスターらしくて名前をファントムツリーという。森にしか存在しないモンスターでざっくり言うと森の中で冒険者を迷わせるためだけに存在するとかいうめちゃくちゃ厄介なやつだそうな。攻撃自体は殆どしてこないが、先に言ったとおり只管うざいらしいので、森での狩りがあまり人気でない理由になっている。

「売れるんですかこれ……」

「あー薪として売る事が殆どだな。丈夫な木だから建物の素材にも出来なくはないが……」

 元のモンスターがモンスターなだけにこの世界の住人的にはこのファントムツリーを家の素材として使いたくないらしい。代わりにというか燃やしても長持ちするらしく薪としてはそこそこ重宝されてるとか。


「で、これ……ヴァインスネークだろこれ」

「ヴァインスネーク……?」

「は? お前知らねぇで狩りやがったのか!?」

 俺の何だそれ、みたいな反応に対してカラボスは大層驚いた反応を見せる。そんなに驚くことなのか。

「いや、お前これ毒性持ちだぞ」

「えっ……」

 噛まれたんだけど……。

「噛まれたその辺りが痺れるんだよ。発生率自体は本当に極まれだし蔓に似てるってもめちゃくちゃ長いのと動くって所で何とかなるがな」

 更にカラボス曰く低級の薬草やら回復の薬みたいなものでも対処は簡単にできるらしいので脅威という点で見るとそこまでなのだけれど、少なくとも初心者の冒険者が相手するには難しいというか面倒くさいらしい。

「お前……何も知らずに狩りやがったのか……悪運強いな」

「あ……はは……」

 これも魔法否定による効果の一つなのか? それとも神様がくれた大量のバフの一つが毒性を打ち消してくれたんだろうか。少なくとも噛まれたことを報告するとそれはそれで面倒なことになりそうなので大事にならない限りは黙っておくか。何かあったら女神に連絡をとってどうにかして貰う方が多分確実だろうし。

 カラボスは更にこのヴァインスネークについて教えてくれた。その毒性を活かして回復薬を作るのに使用されるらしい。毒をもって毒を制すみたいなことをするのだな。いやワクチンも似たような方法で免疫を予め作るらしいしそれを考えると意外と妥当か?


「これって買取としてはどのくらいに……?」

「ヴァインスネークは長さの割に使える部分は細さも相まって微妙だからなぁ、鑑定師さん次第だけど3000ケルマいったらいい方だろうな」

「3000……」

 安い。俺の場合は不思議な力でもって毒性が無効化されるから狩りに関しては楽な方である、とは言え安いな。毒で回復薬作れるならもう少し重宝してもよさそうだけれど、他にもっと楽に捕えられる毒性持ちのモンスターがいるという事だろうか。


「で、フォレストディアーと……こいつはブラッディーベアに普通のボアね」

 普通のボアという概念が存在したのか。確かにサイズ感もめちゃくちゃ普通というか元の世界の猪を彷彿とさせるような大きさだったし色合いにしても似たような感じがしたが……。

 それと先に出たブラッディベアは熊の事でいいんだろうな。血染めの熊ってことなのかな。確かに見た目だけで言えば結構赤みがかってはいるなぁと思ったが。


「ブラッディベアも結構強いって聞いたことあるんだがな、お前ほんとにすげぇ変なもんばっか狩ってくるな」

 あはは……と苦笑いする他無い。

「明日には余裕で鑑定も終わらせられるから明日の朝にでも来いよ」

「あっ……先に買取お願いしたいんですけど……あの有料のやつ……」

「ん、あれか。っても解体の都合もあるから夜までには幾つか鑑定させておくことはできるが……」

「と……取り敢えず今金が必要なので……」

「ふーん。ま、詳しい事はきかねぇが……っと紙……紙」

 言いながらカラボスが紙を取り出すとさらさらと何か書いて渡してくれた。例の予約的なものを示す紙だ。

「今だと解体終えた奴以外は鑑定ねーから何とかなるとは思うが……取り敢えず夜飯食い終わってからでも来いや」


 紙だけ貰ってギルドを後にした。

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