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27話 魔法も便利じゃないらしい

 サーチの魔法についてぼんやりと、外観だけを語ったところで途端に彼女は固まった。すぐに再起動が如く動いたかと思うと

「いやいやいやいや」

 と否定語を繰り返す。

「えっと……そういう魔法っていうのはつまり……」

「えーっと、サーチって言って伝わりますかね? こう、魔法を使うと何かしらモンスターに対して淡い光が視界に入り込むんですよ」

「……」

 怪訝な目で見つめて来る。疑いの目だ。

「いや、何その魔法、聞いたことないんだけど」

 聞いたことがない、と言われても現にこうして体現してしまっているのだが。それに女神曰く魔法っていうものに形というものは無いのではなかったか?基本的には想像力で体現するという話だったはずだ。だとすればそういった探す、という事そイメージというか想像力とあとは魔力次第で体現できるものではないのか?

「私一応ギルドの職員って扱いだから多少は冒険者の情報に詳しいつもりだけど……そんなこと出来る人間聞いたことない」

「そ……そんなに……」


 イメージとは何だったのか、女神様よ。いや、想像という事であれば俺がこのサーチ魔法を発動するに至った時、確かイメージしたものはサーモグラフィーだったはずだ。最もその想像元から大分離れたものが出来上がってこそいるが、兎も角その技術は流石にこの世界には存在しない。つまりイメージしたくてもどうしたものか、要領を得ないものであれば、魔法として体現したくても出来ないという事なのだろうか。火の概念がない人々に火魔法を使えと言っても無理な話だろうし、そういう事か。

 だとしたらちょっとまた不味いことになるかな……。

「そんなによ。冒険者にとって大変なのは勿論、モンスターを倒すこともそうだけど、探すのも大変だから」

 グリーンボア程出現率が高ければ問題ないが、その程度の出現率のモンスターとなると売値も当然に低くなる。それを考えると探すのも大変という事になるのか。

「正直言ってそんな魔法、使えるって言われても信じれないけど」

 使えるから信じてくれと言う他ない。流石にこの場所でモンスターが何処にいるか、なんて多分当てずっぽうでも当たると思うから証明になるとは思えない。

「っても証明しようがない……というか……」

 証明が出来ない事であるから、そのまま初心者の法螺だとかで片付けて貰えないだろうか。そう願ってはいてもフィレナはと言うと俺のその魔法に関して大層興味がおありのようで、

「いいよ、ギルド戻るまで私まだ時間あるし、森行こうよ」

 そんな誘いをしてきた。いや、誘いと言うよりは命令に近しいもので、具体的には既に俺の腕を掴んでいたのだ。そして有無を言わさず連行された。


 森についた。あまり人気の狩場ではないらしいのだけれど不思議なことにそんな狩場を昨日今日と訪れている。

「あの……」

「なに?」

 平然と森の中に、意気揚々とした様子で入ったフィレナ。しかしながら彼女の格好、意外とラフと言うか、胸部と膝下辺りこそ鉄防具を纏っているけれど軽装の部類だろう。この森の奥に行けば行く程肌やらなんやら傷つきそうに思えて心配しているのだけれど、当の本人は気にする様子がない。


「ああ、服の事? 別に、解体やってたら幾らでも汚れたり傷ついたりするから、今更……」

 そういうものなのか。……まぁそれこそ牙のあるモンスター何て沢山いそうだし気にならなくなるのかな。少なくとも俺はというと服のほつれやら何やらが気にならない等と言う質ではいられないので正直御免こうむりたい気持ちもあるのだが。

 いや、でも俺が抑止力という存在であるのであれば、目立った方が神様の言う通りになるのか? いやでも悪目立ちとなるとよくないはずだ。一番危惧する事があるとしたら、流石に無いと思うけれどこの力が自分が元から持っていたものじゃない、という事実がバレる事だ。

 まぁ女神からバレるな、とは一言も言われた記憶は無いけれど流石にばれちゃ駄目だろうし、他の女神とやらに何かしら伝わりでもしたら問題がありそうだ。

 長々と語ったが結局のところとしては下手な事はしたくない。それこそ、そのサーチの魔法という誰も知らない魔法を今からやろうとしている事とか、目立つこと請け合いでしかないだろう。間の悪いことに目の前で行動を半ば強制的に共にしている彼女はただの冒険者じゃなくてギルドの関係者ときたもんだ。

 いや、それなら失敗したふりでもすればいいのか。それこそ、魔法を使った時に光が出て来るわけだが、それを完全に無視すれば……。彼女の言葉を鵜呑みにするならばこのサーチに関する魔法は珍しいというものではなくて聞いたことがないもの、即ち誰にも成し得てないものだ。ならばそれが失敗しようが嘘をついているという証明は出来ない……だろう。


「ん? どうした?」

 なるべく表情は変えずに考え事をしている俺に言葉を投げかけて来た。妙に鋭いというか……。

「言っとくけど誤魔化そうってのは無しだからね?」

「えっ……」

 読心術でも心得ているのだろうかというその心の読み具合に驚かされる。昨日であったあの男もなんかぽんぽん言い当ててたしこの世界の人間はそういう人ばかりなのかな……。いやシンプルにフィレナの場合は他人の視線に鋭いから、目線とかそういうので何となく読み取れる……とかなのかな。

「まぁ全ては読み取れないけどね。目線が泳ぎまくってるから流石にこれくらは分かるよ」

 一言もしゃべってないんだけれど、平然と会話でもしているかのように話をされた。

 予め釘を刺されてしまった以上、下手に嘘をつかない方が良いのかも知れない。

 とは言え変に目立つのも何だかなぁ……

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