21話 次の日の朝、ギルドにて
女神の寝室にて半ば強引に一泊させて貰った。女神の寝室であるから駄賃など必要ない。まぁしかしながらその女神テティスが五月蠅かったのと流石に“女”神という曲がりなりにも体型がどうであれ異性であるという事を考慮して俺は床で寝た。余りまくってるらしい毛布だけ借りて。正直めちゃくちゃ固いという感想しか沸かなくて寝苦しい事この上なかったのでベッドの側面に背を預ける形で無理矢理就寝した。
どうにもあの女神は起床に関してはきちっとしてるらしく俺が背もたれ状態で寝ていた所を見つけるとすぐさま強制的に起こして文句を垂れた。ざっくり言うと女神が与えた温情に飽き足りずそれ以上を欲するとは何事か、みたいなそんな感じの事だ。
「少なくともあれは今回限りであるからな! あれであろう、貴様狩りをした上で買い取りにだしたであろうからもう寝床も食事も自らでどうにかするのだぞ?」
「まぁ……よっぽど買取価格が悲惨な結果じゃなければ……」
植物の方はよく分からないけれど少なくともあの猪は見せてみたとこでは結構な反応をしてくれていたし価格も期待できるのではなかろうか。
買取価格の値段にもよるが今日は出来る事ならばやりたい事があるので狩りの時間は短ければ短い程有難い。
「ま、私が教えた狩場だぞ、それなりに値が張るに決まっておるわ」
「……その狩場殆ど狩れるモンスターいなかたんですけど……」
「知らん。兎も角早う出ていかんか!」
しっしっと追い出された。仕方なくまたあの裏路地にでもジャンプするか、と頭の中であのワープをイメージして再びテレポートした。
裏路地についてから念のため辺りを見渡して特に問題が無さそうであることを確認してから昨日貰った紙を手にもってギルドに向かう。
「ああと……昨日買取お願いしたんですけど」
受付にて紙を渡しながら喋る。
「ええと植物一つにヒュージボアですね、分かりました」
受付のお姉さんは昨日とはまた別の人になっていた。何れにせよ流石によく分からない植物と猪一頭の買取を頼んだ人間なんて覚えて無かろうから余り変わらないか。
俺の持っていた紙を確認するとすすす、と受付から離れて何かを取りに行った。成程、これで買い取り価格とかを教えて貰いながらお金をゲットできるとかそういう事だろう。
少し待っているとあのお姉さんがもう一度出てきて麻の袋を俺に渡した。
「此方ですね」
この世界にきて初めて自分で手にした金をお目にかかる。麻袋の紐を開けて中を覗く。中身は金属でできたと思われる円い物でこれがこの世界の通貨なのだという事は理解できた。
「内訳ですが……マンイーターが900ケルマ、ヒュージボアの方が此方は下半身部分でしたので少し値が下がって8000ケルマという風ですね。それに買取手数料等を引いて8500ケルマという風ですね」
「マン……イーター?」
内訳を聞き終えて、耳馴染みのないというか何だそれはという単語があったので聞いた。ケルマに関しても耳馴染みこそないけれど、数字についているという所から何となくこの世界の通貨単位であると推測は出来た。人間を食べるもの、という事か?もしかして、と思ってお姉さんの反応を待つと、どうにも俺が戦ったあの植物の正体がそれらしい。めちゃくちゃ物騒な名前からも分かる通りざっくりいうと食人植物だとか。確かにあの植物に関して言えば戦ってる時点でやばい、という感想は抱いたな。発生自体は少なくまた薬草だとかにも重宝する存在で高値で売れるらしいのだけれど俺が持ってきたのが端くれも端くれだったからあの値段になったのだという。この植物ももしや冒険者がこない理由の一つなのではなかろうか。
「今回お持ちいただいたのは何方もそれなりに値が張る物ではあったんですけど、買取の状態的にこの価格に収まってますので……もしももう一度同じものを買取に出していただく場合は状態さえよければもう少し色はつくかと思われますね」
「なるほど……覚えておきます」
とは言え植物も動物も狩った瞬間に関しては死に物狂いというか結構危ない状態での邂逅だったからどうしようもないと言いたい。……言ったところで大して意味はないけれど。
そうしてギルドを後にした。
「……これ幾らぐらいの計算何だろ……」
8500ケルマ。貰った通貨的には何か数字の様なものが印字された硬貨が合計で85枚。一先ずはこれが幾ら程度の価値なのかをきちんと調べよう。とは言えこの世界の誰かに日本硬貨の事を聞いても分かる訳は無いし更に言ってしまえば女神にしたって多分知らないだろう。
「……となれば、買い物か。うんそうだな朝食も取らなきゃいけないし」
そこまでお腹がすいている訳ではないけれど人間と言う時間サイクルの為にも何か食わねば、と街で朝食をとれる場所を探すことにした。




