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20話 寝室にて、女神の本音のようなもの

 作戦決行。をするのであれば善は急げというもの。一先ず失敗しないように目と鼻の先程度の距離で試してみることにした。この世界においての魔法はイメージによって成り立っているという。そこで俺はぬんぬんぬん、と頭の中に想像していく。今回に関して言えば転移、即ちテレポートであるからイメージする分にはそこまで難しいものではないと思う。

「テレポート……瞬間移動……目の前の地点に着地するイメージ……」

 頭の中にじっくりと思い描いて固めていく。今回に関して言えば一度一応ではあるけれど女神にこのテレポートを使ってもらった例があるため、多少なりとも想像は難しくないはずだ。そして水魔法を出す時に右手に込めていた力、それを全身に纏うかのように感覚を張り巡らし心を落ち着かせる。右手を握りこぶしにして胸の前辺りでぐぐぐ、と力を入れる。

 そして今だ、と頭に言い聞かせて叫ぶ。


「テレポート!!」


 ぐわん、と何だか体に不思議な感覚が訪れたかと思うと俺は少しだけ移動していた。それはそう、思い描いていた目と鼻の先程度の距離の場所。つまりは成功、という事になる。

「よし、これなら……」

 さて今度は、とまたも念じる。念じるというよりはイメージと言うべきか。先程の感覚を頼りに想像を膨らませ、強固なものへと変えていく。

 全身に不可思議な感覚を纏わりつかせ、叫ぶ。


「テレポート!」


 体はもう路地裏にはいない。


「おわっとぉぃ!?」

「うわっ!? は!!?」

 変な声が出てしまった。なんというかエレベーターが到着する瞬間の何とも言えない浮遊感のようなものがそこにはあった。座標的に離れすぎた場所を指定しが故に来る衝撃のようなものだろうか。

 俺の変な声と同時に聞きなれた声もある。辺りをきょろきょろと見渡すとそこはあの女神と最初に出会った場所、そして俺が最初に落とされた場所に他ならなかった。女神の寝室だ。

「な……!? 何で貴様が!!?」

 目を丸くして女神が言う。そりゃあそうだよな、としか思えない反応だ。

「おお、成功してますね。良かった良かった」

「良くないわ!! 貴様なんでここにおるのだ!? 魔法で呼び寄せた覚えは無いぞ!」

 そりゃあ呼ばれて飛び出てなんて理由じゃないからな。と心の中で彼女の言葉を雑に片付けて

「魔法でこれないかな、と」

 とだけ告げた。

「……なるほど、貴様転移の魔法を覚えたと言う訳か。私が一度見せたし、不可能ではないか……」

 流石女神と言うべきなのか分からないが此方がどうやってやってきたのかは理解したらしい。

「で、何用だ。というか先ほど対話を終えたばかりではないか、その時に話せば良かろうしそれに何よりわざわざ女神の寝室に平然と訪ねるでないわ!!!」

 声を荒げて怒っている。言いたい事は何となくわかるけれどしかしこっちにしたって女神に対してキレたい気分なのだ。というかだからわざわざ訪れたのだし。


「寝床がないもんで……神様の寝室にお邪魔しちゃえ、的な」

「的な、ではないわ! 何故貴様そこで女神の寝室を選べるのだ!? 図々しいどころの騒ぎではないぞ!?」

「いやぁ普段の俺ならこんなことしてないとは思いますね。でもほら女神様がくれたじゃないですか、精神バフ的なもの」

「う……そういえばそうか……貴様のうじうじしたソレを荒療治でどうにかする為に与えたのは……確かに私だが」

 ぐぬぬ、と言い返せない女神様。この顔が見れただけでも気分が少し晴れるというものだ。しかし考えすぎだったのかもしれないが多少は魔力による障壁的なものが宮殿には張ってあって弾かれるとかそういった防御システムがあるのかと思ったのだけれど違うのか。

「そもそも転移の魔法とは知ってる場所しか訪れることは叶わんのだ。私の寝室等世話係の中でも選ばれた人間しか本来は中を見る事も能わぬ場なのだ。故に張る必要は基本的には無い。魔力の無駄だからな」

 つまり魔力が長けていたとしても女神の部屋を知らないのだから行くことなんてできる訳がない、とそういう事らしい。成程それなら確かに張る必要は無いのかも知れない。逆に言えばそういうことがされていなくて助かった、とも言える。途中で弾かれていたら果たして障壁の直前にでも辿り着いていたのだろうか、よく分からないが。

「じゃあ張られてないお陰で俺はここに着地出来た、とそういう事ですね」


「平然と私の前で言う事ではないわ! 阿保め! ……いや、そもそも、そもそもだぞ人間。そもそも私は納得出来ておらんぞ。なんで貴様、あの女子の家はあんなに拒んだくせに私の寝室であれば平然と入り込めるのだ。しかも魔法で無理矢理等……」

 何で、と聞かれてうーんと唸りこそしたけれどその理由はとても単純な気がする。目の前の女神とロイと、その受けている印象、俺にとっての好印象の差ではなかろうか。まぁ俺に幼女趣味がないのもあるかもしれない。

「やはり貴様……! 体か!? あの女子程私の体に魅力がないからこんな当たり前に入り込めるとでも言うのか!!!? あの女子の前ではあれほど動揺しておったというにか!!?」

 謎の暴走。二たび声を荒げての発言。何故か女神はそんな言葉を口にしては頭を抱え込んでいた。もしかしてこの女神自らの体にコンプレックスでも抱いているのか?確かに女神らしからぬ体躯だとは思うけれど、だとして俺に対して此処まで声を荒げる程の何か因縁のようなものが存在するのか。

「そんなに声を荒げなくても……」

 なだめるも「五月蠅いわ!」の一言で一蹴されてしまう。そもそも確かにロイとテティスとで印象は違う。雲泥の差だ。しかしそうなったのは大体目の前の女神の態度だとかに起因しているのだから自業自得と言うほかないもっと簡単に俺に対して救いの手を差し伸べていたらそれこそ変わっていたかもしれないし。

「というか女神様、そんな体気にするものなんですか? まだ成長期なだけでは」

「私が女神として何千年生きているか貴様は知らんだろうが!! 同じ年の他の国の女神と体躯が雲泥の差なのだぞ!!!」

 成程、大体の理由は察することが出来た。他の国の女神の容姿こそ俺は知らないけれどしかし彼女の発言から取り敢えず体格というか慎重に関しては目の前の幼女然とした体形体躯とは異なって大人びている、とそういう事で良いのだろう。何だかそれを理解してしまうと他の女神の所に落とされたかった気もしてくる。流石にこれを口にしたら殺されると思うし実際問題俺に手厚い魔法によるバフを与えてくれたことには変わりないが。

 彼女の話を更に聞くと、他の女神に体格を弄られるのだとか何とか。なんというかその話だけを聞く限り、女神だそうだけれどノリがただの人間と変わらない感じがする。


「は、はぁ……まぁ俺は違いますけど……その女神様みたいな体系を好いてくれる人もいるんじゃないですか?」

 とそれっぽく適当なフォローをいれたのだけれど、返ってきた言葉としては

「女神とは人の前に姿を現すのは滅多であるが故に私の姿を知る者はこの世界において数える程しかおらぬわ! そんな見目で好くような人間なんて存在せん!!」

 というもの。確かによくよく考えてみるとそうだったな、と気づかされる。女神と今の時点で三度四度念じる事で以て会話を試みたけれど毎度毎度顔は分からなかった。俺で、というとこう過大評価のようなそんな節も感じなくもないがまぁ一応女神からチートバフを貰った唯一の人間であるこの俺ですらそうなのであればただの信徒では女神を見て会話なんてできるとは思えないし。


「まぁ……取り敢えず落ち着きましょうよ……ほら何かあったじゃないですか動揺を鎮める魔法的な奴」

 あれを掛けた存在が目の前でこうも声を荒げているというのは何とも言い難い光景である。本当に女神かコイツ。まぁ体型がどうのこうので話がどんどんと脱線してくれるならそれはそれで有耶無耶になって有難い部分もあるが。

「それにほら、一休みするんでしょう? 俺の事はお構い無く……横たわって下さいよ」

「うぬぬ……ぐぅ……ふぅ。確かに女神たるもの何時でも落ち着いておらねばなるまいが……」

「ほらほら寝るんでしたら読み聞かせでも……」

 冗談交じりの言葉を吐き終えるよりも先に女神から

「私を見目だけで子供として扱うでない!!」

 と殴られた。あのキレ方というか暴れ具合も相まって駄々を捏ねる子供が如しだったのでつい……。

「ふん、もういい。どうでも良くなったわ。私は一先ず寝るからな! 邪魔だけはするでないぞ!!」

 そう言ってぐるん、とベッドに横になったかと思うとシーツを羽織ってそれから女神は黙りこんだ。

 何はともあれこれで今日の所の寝床は確保出来たので良しとしよう。……本当にしていいのか? 兎にも角にも彼女からの拡大解釈すれば許しととれる言葉を頂いたから邪魔だけはしないようにしておこう、とその日を終えた。

最近一段ずらしの編集をしていないことに気づきました。4日分くらいまとめてやりました。

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