13話 キュアテイルとやらの見た目
彼女を回復し終えたけれどなんかまだ顔が赤い気がする。流石にそれはロイに失礼だしそんなワンチャンスなんて望んじゃだめだ、とぶんぶんと顔を横に振って平静を保とうとする。彼女の切り替えの早さからしてそんなもんだと言い聞かせる。
「そのキュアテイルって沢山生えてるものなの?」
「そうですねぇ、この時期が生えてる頃なんですけど、それでも数が多いわけじゃないんですよね。私もまだ見つけられてませんし」
「ふうん、レアなんだね」
「そういえばサクヤさんは冒険者らしいですけど、ここで何をしてたんですか?」
「ああ、えっと一応今日の生活費を稼ぎにと言うかで狩りをちょっと……、ここの街に詳しくないからこんなところで狩りをしてるわけだけどね……」
頬をぽりぽりかいて言う。流石に女神に適用な事を言われてここに来たとは言えないし。
「珍しいですね、ここで狩りなんて」
「まぁ色々あってね……」
主に騙されたとかね。
「そういう事でしたら先程のヒュージボアなんかは結構重宝されると思いますよ! 私じゃ持って帰れませんし、サクヤさんが仕留めて下さったものですから宜しければ……」
おお、なんと有難いことか。だとしても買い取ってもらえるのは明日だったか。特に猪となるとよく分からないけれど多分部位ごとに分けたりだとかがありそうだし更に時間がかかるかもな……。まぁ最悪即時換算してもらえればいいのかな。
「そういう事ならお言葉に甘えさせてもらおうかな」
「そういえばサクヤさんってバッグとか持ってないんですか? あ、魔法で収納するとかですか?」
「え? そんなことできるの!?」
驚いた俺に対してロイは、何で知らないんだろう、とでも言うような目を向けている。だって来たばっかりだし知らない物は知らないよと言いたいがそれを言っても何も始まらない。
「私は出来ませんけど、魔法の力がすごい人なら出来るって聞いたことがあるので……」
しかしそれならば良い事を聞いたのかも知れない。彼女の言葉からして女神はイメージすれば何だと言っていたけれど、魔法が使えれば何でもできる訳ではなくて、その力に比例して使える魔法に制限があるという事だろう。その制限のルールこそ分からないけれど女神の言葉と彼女の言葉とを合わせて考えるなら、魔法で出来る事の範囲はその力によって制限があるけれど女神の超絶バフでもってやばい程の魔力を手に入れた俺ならば殆ど事が出来る、と。さっきの回復魔法もいい例か。
っても収納か、インベントリみたいな概念だとしても流石にイメージが上手に浮かんでこない。アニメでなんかあったかな、こう何もない空間から物を取り出すようなもの……。小さい頃にあったよな、何もない空間からじゃなかったけど、そんな風に物を取りだすもの。無理矢理それを自分なりに行う図を想像する。
「……まぁまた帰りにでも回収しつつ試してみるよ」
「分かりました、では再開しましょう!」
元気そうな声音で言ってくる。
「そうだね、早く探そうか。そのキュアテイルって地面に生えてるんだっけ? 具体的に木の根元だとかなんか特徴ってないの?」
「私も別に頻繁に取りに来ているわけではないので分かりませんけど、感覚的には木の付近とかよりはちょっと離れた所の方が多い気がしますね」
「へぇ、じゃあ広めの場所探した方がいいのかな」
等と当然ではあるけれどオチも何もない会話を続けていると、唐突にロイが「あ!」と叫んだ。突然の声に少し吃驚しているとたたた、と彼女は駆け出しそして座り込んだ。
という事は見つけることが出来た、という事で良いのだろうか。
「あったの?」
「あ、はいそうです!」
そう言いながらキュアテイルを引っこ抜いて此方に見せてくれた。初めて見るキュアテイルであったけれどその風貌はとても初めてという感覚が薄くて、まぁ言ってしまえば似たものを知っていた。茶色っぽい上が細長の球体、そんな植物思い返してみれば一つあるではないか。彼女が見せてくれたキュアテイルは明らかにつくしに似ていたのだ。まぁ何でこれにキュア等というネーミングが施されているのかは俺の知るところでは当然ないが、しかし確かにつくしを食べる事もあるのだったか、俺は食ったことないけど。
「あ、へぇ……こんな見た目なんだ。昔似た植物見たことあったわ」
「あ、そうなんですね、でしたら、心強い限りです」
そうして二人でさらに進むと森の中であるけれど少し開けた場所があった。彼女の話をそのまま信じるならばここはベストなスポットではなかろうか?
「ここ結構開けてるしありそうだね、手分けして探そうよ。ここなら何かあっても助けられると思うし」
「分かりました! じゃあ私は左手側で探しますね」
じゃあ俺は右手側だな、とちょっとだけ離れて行動を開始。つくしみたいなものを探せば良いのであれば知らないだけで実は既に見かけていた可能性すらある。
「ま、いいか。探すか」
本当に面白いくらいあった。
暫くして手には大量のつくし擬きのキュアテイルでいっぱいになっていた。そろそろ彼女に渡すか。……薬草らしいけどこんな風に直に手にしてよかったのか分からないけれどそれを気にしたところでまぁ今更の話である。というかこれのついでに収納の魔法とやらを試せばよかった気もするな。
ロイに見せると大層喜んでくれたようで、凄く深々と頭を下げてお礼の言葉を述べまくっていた。
「これくらいで大丈夫?」
「はい! それじゃあ戻りましょうか、ついでにボアの回収もするんですよね?」
「そのつもりだけど、大丈夫? さっき気絶しちゃってたけど」
「あははは、あの時は追いかけられてた恐怖とか……色々事情が」
なるほど、そういうものかもしれないな。まぁ彼女が大丈夫だっていうならその言葉を鵜呑みにしよう。万が一再び気絶したとしてもその時はおぶるなりして街に戻ればいいだろう。多分今の状態ならそれをしても怒られたり侮蔑されたりしないと信じたい。勿論気絶しないのが何よりだが。ていうかそもそも遠ざけてと言うか隠して置いてあるからちょっと離れて貰えばいいだけか。




