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0話 最後の春休みと異世界

 遥か昔、この世界では四つの神があった。そこに住まう人々は各々の意思がままに一つの神を信仰し、発展を望まんとしていた。故に布教を理由とした戦争は続いた。それが神の意思だと言わんばかりに、それが神の思し召しだと宣うように。

 それでもその戦の終末など誰も予想しえなかった。この戦争は唐突に終わったのだ。やがて講和が結ばれ四つの神の存在はそのままに東西南北にそれぞれの地を分けて世界は平和になった。四つの神毎に国が如く別れ互いに協力をしその世界毎発展を続けた。今や戦争などは過去の話である――。


 ■


 本を閉じた。寝転がっていたから視線は自然と天井になる。どこにでもあるようなテンプレートめいた設定が散りばめられた物語が綴られていた小説だった。何んと無しに表紙に惹かれて買ったけれど自分の期待したものを超えてくれるほどのものではなかった。まぁそんなこと分かり切っていたがなんとも味気ないものだ。金の無駄だ、とまでは言わないけれど読み途中のその小説を机に置いた。それから部屋を出た。

 高校三年間の学生生活を終えて今は春、大学生になる直前であるのだけれど俺はと言うと既に受験は終わっており在り来たりな大学への合格が決まっている。だからこそ今はその大学生になるまでの余暇というやつだ。特に今したい事は無くてだからこそ本を買って読んでいたというわけだ。まぁそれもあまり意味のある行為ではなかったかもしれない、言ってしまえば小説がつまらなかった。先に書いた通りだ。長々と語っているが俺と言う人間は元から小説はよく読んでいた……まぁライトノベルとジャンル分けされるものがメインではあったけれど兎も角そういった俺と言う人間からしたらもう神がどうのこうのというあの手の小説はお腹いっぱいだった。まぁそれを表紙で読み取れなかった己が悪いと言われたらそれまでであるが。

 しかし本を読む気が失せた。かといってアニメやらネットで動画やらを見るのも何だかなぁという気分だ。春休みという長期の自由時間なのだから何か別の事をしたい。……これと言って何も浮かばないけど。

「……」

 部屋の小説の事を思い出した。それからふと思いついたように部屋に戻って本を手に取る。別段これをまた読もうと思ったわけではない。売ろうと決めたのだ。そしてついでに外の空気を吸いながら古本でも探そうという算段だった。

「近くで本売れる所は……ええと……」

 左手に本を直に持ち、肩から少し小さめのバッグを掛けて右手にスマートフォン。マップアプリを開いて古本屋かそれかリサイクルショップでも売れないか、と調べながら歩いていた。


 スマートフォンばかりを見ていた。だからこそ、気付いておらず、そして同時に安全だ、と高を括っていた。自分の視界端から車が来ている事など、意識の埒外にあった。


そこで意識は途絶えた。


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― 新着の感想 ―
[一言] 文字詰めすぎて見にくいから、もう少し余白を取り入れてもよさそう
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