幕間 とある日の休日
以前の新入部員歓迎会の『いつもの相手』が出てきます。
《お知らせ》
新連載が明日18日から始まります。
よければ見てあげてください。
「なんで最近遊べなかったんだよー」
俺の横でコントローラーを握る男子、前澤翔太は不満そうに訴えた。
「ちょっと色々忙しくてな。ほい、1ストもらい」
俺は相手の攻撃を淡々と処理し、返事をする。
翔太は幼馴染で、付き合いは聖奈たち3人より古い。
あっちは外が多いが、翔太とは家でゲームがメイン。
よっぽどのことがない限り外で遊ばない。
「遊べないせいで腕落ちるしよ。そんなに高校は楽しいか?」
「ああ、楽しいよ。毎日飽きないくらい」
「なんだ?彼女でも出来たか?」
「そんなわけない」と嘘をつこうとしたが、その前の妙な間を疑われ、仕方なく本当のことを教える。
「マジか!俺より先に彼女作られるなんて…。あ!ミスった!」
よほど衝撃だったのか、翔太の操作するキャラは奈落へ真っ逆さま。
俺の勝利でリザルト画面に変わった。
「これで5勝。5-2で俺の勝ちだな」
俺と翔太の間では当たり前になりつつある5勝先取に勝利し、なんとも言えない喜びをかみ締める。
「仕方ねぇだろ!久しぶりで感覚忘れてるし、あんな重大発表されたら」
翔太はこのゲームを持っていなく、俺の家でだけプレイしている。
それでいつも5勝先取で勝ったり負けたりしているのだから、ゲームの腕はかなりのものがある。
おそらく、逆の立場なら5タテされて終わりだろう。
「重大発表ね。実際付き合って2ヶ月くらいたってるし、そこまで目新しいものじゃなくなったな」
「なんで教えなかったよ」
「いや、家きてなかったじゃん」
何度か家に来ると言われたが、部活だったり用事だったりで、ここ数ヶ月は家遊びはなかった。
「でも通話しながらゲームしてただろ。その時言ってくれよ」
「聞かれてないし」
「そりゃ聞くわけないだろ。付き合うなんて思ってもいなかったんだから」
「失礼だな」
「まぁ事実だろ、中学の頃を見てると。で、もう1つの幼馴染は知ってるのか?」
翔太のいうもう1つとは、聖奈たち3人のこと。
同じ小学校で知ってはいたが、特別話したり遊んだりする仲ではないようだ。
「ああ、知ってるよ。てか聖奈もその場にいたからな」
「マジか…。ん?その言い方だと聖奈も告白したとこ見てたのか?」
俺は告白の時の状況を話した。
告白前日のイベントから、最後まで。
「お前、勇気すごくね?」
「勇気が凄いっていうか、あの時言わなきゃいけなかったんだよ。自分もあそこでって思ってたし、もし言えなかったら聖奈に○されてただろうしな」
「まぁ頑張ったな。おめでとう」
「ありがとう」
「今度、会わせてくれよ。写真でもいいけどその前に本物が見たい」
それを快く了承し、再び5勝先取でゲームを開始した。
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