初戦快勝と浮かび上がる課題
遅れましたが、あけましておめでとうございます!
今年は過去一の多忙で、少し体調を崩してしまっていました。
投稿が遅れたのは自分の体調管理が原因です。
本当に申し訳ありません。
「これより、クラスマッチを開催します!」
学年主任の宣誓で、クラスマッチが開幕する。
バレーボール軍は体育館へ、そして俺たちソフトボール軍はそのまま運動場で待機する。
予選は3クラスの総当たり戦。
そして各総当りで1位の2クラスで決勝を行う。
くじ引きの結果、4組は校舎側グラウンドで予選を行う。
「やばいな、どうする」
翔が少し慌てた顔で俺に聞く。
「すまん。くじ運が悪すぎた」
俺が謝る理由。それは俺たち4組の試合が、全体の“開幕戦”だったからである。
既に準備が出来ていた校舎側のグラウンドでは、他の所より30分早く試合が始まる。
なので、バレーボール含め全ての1年が見に来ることが出来てしまうのだ。
「さすがに緊張するな」
試合開始まであと5分。試合時間は1時間で、午前中に予選が終わり、午後からバレーボールと順番に決勝がある。
「でも結局決勝まで残ったら同じなんだし、慣れといて損は無いだろ」
「確かに。まぁ軍師がついてるし大丈夫だろ」
大丈夫・・・だよな。
俺プレッシャーに弱いんだけど。
「整列!」
主審の声が響き渡る。
相手は2組。翔情報によると、そこまで強くないらしい。
元野球部も0で、バレーボールに力を入れている。
俺たちは後攻なので、決められた守備位置につく。
最初のバッター。初球打ち。平凡なサードゴロ。
チームの誰もがホッとした。と、その瞬間。
「あっ・・・!」
サードがボールを弾いて後ろに逸らした。
俺がカバーに走って取るが、ソフトボールの塁間上間に合わない。
先頭バッターエラー出塁。最悪のスタートだ。
「気にするな!次だ次!」
翔の声で、みんなは何とか立ち直る。
次のバッターも、詰まって内野ゴロ。セカンドへ転がった。
すると今度は運悪く、小さなイレギュラーでバウンドが変わった。
前に弾くが、慌てていてファーストへ悪送球。
ランナーは2、3塁になった。
みんな固すぎるな。俺がなんとかしないと。
打順は3番。打席は右。そしてあからさまなオープンスタンス。どこに来てもとりあえず引っ張るタイプだろう。
俺はピッチャーに「外に投げて」と耳打ちする。
ピッチャーは俺の言った通りに外に放る。
バッターはそれを無理に打ちに行って詰まった。
打球の行き先はもちろんショート。俺の所だ。
俺は素早く捕って本塁へ送球し、タッチアウト。
さらにキャッチャーが一塁へ送球し、ゲッツーになった。
このプレーに4組と観客が湧き、2組が項垂れる。
みんなの顔から緊張が無くなっていく。
笑顔が柔らかくなって、動きが滑らかになる。
それを決定づけるように、次のバッターの打球をサードが上手く処理し、無失点で終えた。
「怜ナイス!さすがー!」
ベンチに座っている聖奈を中心に、他のクラスメイト全員に祝福される。
素直に喜ぼうと思ったが、まだ試合は終わっていない、というか、始まったばかり。大事なのはこの攻めだ。
「ここで点差をつけよう。目標は10ー0だ!」
「「「オォーー!!」」」
調子と流れに乗った俺たちは止められなかった。
1番がいきなりのランニングホームラン。
その後打者一巡し、初回に6得点。
守備でも固さはなく、その後の回は三者凡退が続いた。
結果的に13ー0。3回途中で時間が来て、コールド勝ちになった。
次の試合は2組対6組。俺たちは休憩だ。
「いい感じじゃん。このまま行けるんじゃね?」
翔がニコニコして俺に話しかける。
「確かに強い。けど、経験的にやばい」
「経験的に?どういうことだ?」
「えーとな。今回は余裕で勝てただろ。つまり、ピンチが少ないんだよ」
続けて説明する。
「初回は確かにやばかったけど、けっきょく無失点。だから、ビハインド時と接戦時の経験ができてない。負けている状況の時、ひっくり返せる力があるかが分からないんだ」
「なるほどな。じゃあ、次の試合こうしないか?」
「それいいな。そうしてみよう」
俺は翔の提案に乗る。それを実行すれば、ほぼ確実にビハインドになる。いい経験のチャンスだ。
俺は一通りの休憩を終え、校舎近くの小さな塀に座る。
この位置は全ての試合が見れるところで、さらに木陰とベストポジションだ。
そこで俺は俯き、さっきの提案についてよく考える。
本当にいい提案。だが、少なからずリスクがある。
それは・・・
「・・・くん、怜くん!」
現実で名前を呼ばれ、俺は顔を上げる。
「佳乃か…試合は?」
「終わったよ。勝った。聖奈ちゃんの活躍でね」
「そっか。さすがだな」
「怜くんもでしょ?あのプレー凄かったよ。次も頑張ってね!」
「ありがとう。でも、次は出ないつもりなんだ」
「出ないの?怪我でもした?」
「ああ、いや、そういう訳じゃなくて」
「次の試合は、極力野球経験者以外で戦ってもらうことにしようと思ってね」
「?どうして?」
俺は理由を一通り説明する。
「そういう事。私野球あまり詳しくないけど、それってリスク高いんじゃない?」
そうだよなぁ。これには最悪のパターンがある。
それは、6組が2組に勝ってから俺らと戦うことだ。
すると、俺らは勝つしかなくなる。逆に6組が負けると、俺らが負けても得失点差で勝つことが出来る。
「だから、劣勢になったら直ぐに戻すつもり」
「なるほど…。まぁ、頑張って。応援してるから!」
「ああ。そっちも頑張ってな。アベック優勝取ろう!」
そう言って俺は立ち、6組の試合の方へ足を進めた。
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